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自腹の取材旅は最高だ!
同僚の記者から「自腹でいいので〇〇の現場に行かせてもらえませんか?」と言われることがある。特に大きな地震や台風被害、日本を震撼させるような事件が起きたときだ。
一応、管理職なので、「う~ん、もしものとき、労災問題が出てくるからなあ」と二の足を踏んで見せるのだが、内心、「記者としてえらいなあ」「放送にたずさわる人間なら、現場、見たくなるものだよね」と拍手を送っている。
実際、出張で取材に行くと、現地でのアポイントや生中継が気になり、予定をこなすので精一杯になる。「あ、もう3時か、サキドリでもうすぐ呼ばれるな」とか「〇〇さんとのアポ、早く行かないとやばい」といったありさまだ。ところが自腹の取材旅なら何にも拘束されない。だから寄り道ができる。見えないものも見えてくるものだ。
最初の写真は、ほぼ毎年、クルマで遠出している宮城県名取市の閖上で撮ったもの。毎年、同じ場所に行くと、東日本大震災被害からの復興状況がよくわかる。漁業関係者や定食屋のおばちゃんと話していると、何が足りないのかもわかってきたりする。
上の写真は、ニューヨークのトランプタワー。中に入ると、警備の厳しさと同時に、2016年の選挙で彼に投票もしくは寄付した人だけ、特製Tシャツが買える仕組みになっていることがわかる。トランプの性格が見えてくるようだ。少なくとも3つは、キンキラキンの建物周辺でネタがとれる。
出張でニュースの現場に行けることもありがたいことなのだが、自腹で行く自由な取材旅はいい。
遠くでなくとも、人が減った銀座を歩いてみる、一度でも横浜地裁に並んでみる、クルーズ船が停泊するふ頭に行ってみると、新聞やネットを眺めているだけではわからないものがきっと見つかる。キャスター以下、報道ワイドに関わるメンバーの中で、こんな気持ちを持ってくれる人間が増えると、サキドリはもっと面白くなると思ってる。
そんなアタシは週末に渡米する。普段は、ほぼ飲まないのに、ビール飲みながらアメリカ人記者と話したり、名物のチーズケーキを食べながら、現地に住む方に、大統領選挙で台風の目になるかもしれないブルームバーグ氏の風評を聞いたりしてこよう。現場を知らない者は喋るべからず。 番組責任者 清水克彦