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34年
乗客乗員520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故からきょうで34年。
私が生まれる前の事故なので、リアルタイムであの映像を見たことはありません。
番組でも少しお話しましたが、
私の母は以前日本航空のCAをしていて、この事故が発生したときはモスクワ便に乗務していました。行方不明の知らせを聞いた時の衝撃は忘れられないと言います。モスクワからの帰りの便のお客様が不安になられて、この便は大丈夫なのかと何度も聞かれたそうです。
事故の惨状がわかるにつれ、悲しみは深くなる一方。
でも、あのような事故を二度と起こしてはならないと会社が一丸となって安全教育により一層励むようになったと、そしてあの時に受けた訓練は今も自分の中に生きていると私に話してくれました。
人の命を乗せて大きな空を飛ぶ飛行機。
小さいころから飛行機に乗る機会があった私ですが、いつも横に座る母が私に教えてくれていました。緊急時の避難経路の確認、安全のしおりをチェックすること。いつ何が起きるかわからないから、自分の中でまさかの事態のときに動揺しないためにも確認すること。
強く言われたわけではないけれど、かつて乗客の命を守ることを考えながら仕事をしてきた母のまなざしは、幼い私にもしっかりと届いたように思います。私は今も飛行機に乗るときにすべてを確認しています。母は、私が生まれる前にはCAの仕事から離れていますが、あのときのやり場のない思い、悲しみ。胸に刻み込んだ沢山の思いは一生消えないのだと思いました。
8月は胸が締め付けられる出来事が多い。
亡くなられた方が、その遺族が、事故に関わるすべての人の心が救われますように。
番組で「見上げてごらん夜の星を」を聴きながら、祈りました。
加納有沙