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  • なぜ増える?所有者不明の土地

    こんばんは。細木美知代です。
    今夜はドラフト会議。
    文化放送の社内でも、
    スタッフが結果に一喜一憂して盛り上がっていましたよ。


    さて、今朝のニュースで
    気になる数字が出てきました。


    全国で所有者の分からない土地が、
    2040年には約720万ヘクタールになるという
    推計が
    民間の研究会から発表されました。
    でもこれってどのぐらいの広さなんだろう?とピンときませんよね。
    なんと北海道の9割ほどの広さなんだそうです。
    これだけの規模の土地で、
    なぜ持ち主が分からなくなってしまうのか...
    問題点を専門家に伺いました。


    民間のシンクタンクである
    公益財団法人 東京財団の吉原祥子さん。
    吉原さんは9年前から土地制度の調査・研究をされてきました。


    この問題には様々な原因が潜んでいますが、
    その中でも大きな問題点が2つあると
    吉原さんは指摘しています。


    まず1つ目。
    日本の地籍調査が52%しか完了していない点です。
    この土地は誰のもの?広さは?隣との境界線は?
    こういったことを調査する地籍調査が
    今の日本の土地で半分しか進んでいないなんて!
    これまでも「農地台帳」や「固定資産課税台帳」など、
    所有者の情報を管理してきたものはありました。
    でも、管理の目的がバラバラなため
    土地の所有者を特定するための
    完璧なデータとは言えません。
    これだけ発展している日本で、
    土地の持ち主を把握し管理する体制が
    きちんと整っていないことに私は驚きました。
    え?登記簿を見れば情報がちゃんと載ってるんじゃないの?と思われた方...
    そこが2つ目の問題点なんです。


    2つ目は、日本の登記制度です。
    売買や相続などで土地の持ち主が変わった時、
    登記するかどうかは今の日本の制度では任意となっています。
    そうなると...
    都会にある資産価値の高い土地であれば、
    「私の土地です!」と権利を登記しておくことが必要かもしれませんが、
    田舎の土地では登記するメリットが感じられないのが正直なところ。
    登記するにはお金も掛かるし、手間も掛かります。
    「任意だったら登記しなくていいかぁ」と相続後何十年も放置しているうちに、
    代が変わって相続人が分からなくなったり、
    相続人が増えて全員の合意を取ることが困難になったりしていくのです。
    こうして持ち主の分からない土地が増えていくんですね。


    では、持ち主が分からない土地が増えるとどんな悪影響があるのでしょうか。
    例えば震災が起きた時、
    権利関係がはっきりしないことで復興が遅れます。
    吉原さんのお話では、
    東北ではある程度地籍調査が進んでいたそうですが、
    首都直下型地震が起きた時に東京は復興がかなり遅れるだろうとのことでした。
    その他にも土地が活用されないことで
    経済的な損失が出たりと影響は様々なところに及びます。


    ただ、この問題を解決する万能薬がないのも
    もどかしいところ...。
    個人個人が登記してこなかったことが積み重なった結果なので、
    まずは問題意識を持ってもらうことが大切だと吉原さんは言います。
    そして、国も所有者不明の土地を活用する案を示して早急に対策を取る考えです。


    う〜ん...
    今回のブログは、かなり長くなってしまいました^^;
    でもこれは、人口減少時代に日本が直面している大きな課題です。
    今すぐにどうなるという問題ではないものの、
    じわりじわりと広がって取り返しがつかなくなる前に何とかしなければいけない問題です。
    空き家問題と同じように
    もっと多くの人に問題意識が浸透して
    議論されて欲しいと感じた取材でした。

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