9月22日(火)〜9月25日(金)
今週は、「路線バスに乗って」。自家用車やタクシーでは考えも及ばないようなルートを通る、
通るバスの窓から見える新鮮な風景。路線バスならではの楽しい旅のヒントをご紹介して参ります。
9月21日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
コーナーはお休みしました。
9月22日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
きょうのお話は「東京湾の彼方」。
路線バスの旅、出発点は文化放送の地元、ここ浜松町です。
世界貿易センタービル、別館1階にあるバスターミナル、
9番乗り場から「東京ビッグサイト行き」に乗ります。
ぜひ進行方向、左側の席に座ってください。
竹芝桟橋から日の出桟橋、海の美しい眺めが広がります。
そして、芝浦ふ頭を過ぎると、ゆりかもめの線路と並行して、
レインボーブリッジを渡っていく。
晴れた日ですと、この爽快感、たまらないものがあります。
工事が始まったのが昭和六十二年(1987年)、
そして完成し、通行が始まったのが平成五年(1993年)。
つい昨日のことのような気がいたしますが、
もう十六年もの月日が流れたんですね!
ちなみに、この浜松町からビッグサイトへと向かう、
バスの系統番号は「虹01」。オシャレなネーミングですね。
さて、この「虹01」のバス、無事お台場に着きますと、
海浜公園、そしてフジテレビ前を通って、潮風公園、
そして船の科学館へと回ってまいります。
さあ、ここでいったん、バスを降りて、乗り換えです。
次に乗るのは、系統番号「波01」「中央防波堤行き」。
海の眺めが美しいレインボーブリッジや、
観光地・お台場の賑わいから離れ、次の目的地は
東京のゴミの最終処分場、中央防波堤。
テレコムセンターの先を右に曲がったバスは、それまでの
華やかな風景から一転して、無機質な倉庫街へ入っていきます。
途中、停留所もなく、しばらく走ると海底トンネルへ。
トンネルを抜けると、そこに広がるのは何もない風景。
いったいここはどこなんだろう?と不安にかられるような、
無機質な風景が広がっています。
終点のひとつ前、「環境局中防合同庁舎前」でバスを降り、
庁舎の中に入ると、平日に限り、10階の展望回廊から、
埋立て処分場の風景を眺めることができます。
東京湾のゴミによる埋立てが始まったのは、戦前のこと。
潮見、夢の島、若洲…と続いて、この中央防波堤の内側、
そして外側、さらに羽田空港の羽田沖へと埋立ては広がり、
現在は新海面処分場の埋立てが始まっています。
この処分場は、あとどれくらいすると一杯になるのか。
三年ほど前までは、あと三十年…と思われていましたが、
ゴミの削減やリサイクルが進んだことで、
おおむね五十年は確保できるだろうと予測されています。
その後、新たな埋立て処分を行う予定はありません。
東京都環境局のホームページには、こう書かれています。
「今は新海面処分場が1日でも長く使えるよう、
延命化に全力で取り組む必要があります」
9月23日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
コーナーはお休みしました。
9月24日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
きょうのお話は「夢の下町号」。
大相撲秋場所の熱戦が続いております。
国技館といえば、隅田川の東、両国駅のすぐ北側。
両国に行くとなると、JR総武線をまず思い浮かべますが、
今日は路線バスに乗ってみることにしましょう。
去年の4月から運行が始まった新しい「観光路線バス」、
「東京→夢の下町」。料金は通常と同じ、200円です。
シルバーの車体に白い屋根、そして丸みを帯びた窓。
このユニークなバスを、目にされたことのある方も、
多いのではないでしょうか。ちなみにこのバス、
新しくオーダーメイドで作ったものではなく、
既存の車両に改造を加えたものなんだそうです。「夢の下町」というネーミングの通り、このバス、
東京・下町の観光地を次々に通り抜けて参りますので、
途中下車をされたい方は一日乗車券が便利です。
都バスの一日乗車券は、おとな500円。
IC乗車券・PASMOを持っていれば、
最初にバスに乗るとき「一日乗車券扱いでお願いします」と
運転手さんに言えば、それでもOK.
最初に500円を引かれるだけで、あとは23区内の
都バスなら、その日に限り何度乗ってもフリーパスとなります。
バスの出発点は、東京駅・丸の内北口。
永代通りを右に回ってガードをくぐり、
日本橋交差点を左に。日本橋三越前が最初の停留所です。
ここでオススメのスポットが、三井本館にある
「三井記念美術館」。現在は「夢と追憶の江戸」と題して、
浮世絵の名品がずらりと並ぶ展覧会を開催中です。
ここからバスはさらに北へ向かい、秋葉原の電気街、
そして上野へと向かいます。このあたり、中央通り、
両側の風景を見ているだけでも楽しいですね。
途中下車して秋葉原のメイド喫茶を体験したり、
あるいは不忍池を一回りしてみたり、楽しみ方はいろいろ。
途中の停留所が少ないので、のんびり観光気分を味わえるのも、
この「夢の下町」の楽しさです。
さて、バスは上野で右に曲がり、合羽橋道具街の入り口を通り、
浅草へと向かいます。ちなみに電車では、乗り換えをしないで
東京駅から浅草へ移動することはできません。
浅草でのんびり、お昼ご飯を食べるのもいいでしょう。
先を急ぐなら、そのまま真っ直ぐ両国へ。
バスは再び南へと向かい、厩橋で隅田川を渡ります。
両国駅前で降りれば、国技館はもう、目の前。
近くには、芥川龍之介が子供のころ暮らした家の跡や、
赤穂浪士が討ち入った吉良上野介の屋敷跡があり、
また相撲部屋もたくさんありますし、
江戸東京博物館も見ごたえがあります。
このあたりを、足の向くまま、気の向くまま散歩するのも、
休日の楽しい過ごし方の一つですね。
9月25日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
きょうのお話は「バスで東京横断」。
高田馬場から上野に移動しなければならない、そんな時、
皆さんはどんなルートを思い浮かべますか?
ごく普通に思い浮かぶのは、山手線。
乗り換えなしで、二十分ほどで上野に着きます。
では、上野での目的地が、おなじみの寄席、
鈴本演芸場だったとしたら、どうでしょう?
この場合、上野から十分ほど歩きますから、所要時間三十分。
しかし、あと十分かそこら、余裕があって、
鈴本まであまり歩かずに行きたいとしたら…
そして、普段の電車移動では見られない風景を見たいのなら、
オススメしたいのが、都バスでの移動です。
小滝橋車庫から、高田馬場駅を経て、上野広小路まで。
高田馬場のガード下から、「上69」系統の、
「上野公園循環」に乗ってください。
バスは、西早稲田で左に曲がり、新目白通り方面へ。
左側には、徳川御三卿のうち、清水家の庭園だった、
美しい日本庭園、甘泉園公園が広がっています。
新目白通りを右に曲がると、まもなく早稲田の停留所。
ここから先は、いにしえの都電39系統のルートを
辿っていくことになります。
鶴巻町からは高速道路に沿って東へ真っ直ぐ。
そして大曲で左に曲がり、神田川を渡って小石川方面へ。
ここ大曲の首都高は、昭和四十八年(1973年)1月25日、
天才ボクサーと呼ばれたフライ級世界チャンピオン、
大場政夫が、僅か23歳の若さで事故死した現場です。
坂を上がれば、小石川の伝通院(でんづういん)。
ここは徳川家康の生母、於大の方(おだいのかた)の菩提寺で、
佐藤春夫や柴田錬三郎の墓もあります。
永井荷風が、この寺のことを、
「パリにノートルダムがあるように、小石川にも伝通院がある」
と、褒め称えていることを、付け加えておきましょう。
バスは富坂上から春日を経て真砂坂上、本郷三丁目から湯島へ。
このあたり、泉鏡花の名作、婦系図の舞台となった所です。
若きドイツ文学者、早瀬主税は芸者・お蔦と恋仲になり、
二人で暮らし始めますが、それを恩師に知られて、
芸者と暮らすなどもってのほかだ、別れてしまえ…と
きつく叱られます。義理ある人の言葉には逆らえず、
有名な湯島天神境内での別れの場面となります。
「月は晴れても心は暗闇だ」
「切れるの別れるのって、そんなことは芸者の時にいうものよ。
私にゃ死ねと言ってください」
この名セリフ、お聞きになったこともあるかと思います。
さて、バスは、湯島の坂を下りると、そこはもう上野広小路。
鈴本演芸場も目の前です。のんびりビールでも飲みながら、
しばし、落語でも楽しむことにいたしましょうか。 |