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2月25日(月)〜2月29日(金)
今週は、墨田区両国にございます「江戸東京博物館」をご紹介してまいります。
2月25日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
ユニークな外観でも知られている江戸東京博物館が開館したのは、1993年(平成5)3月。来月、開館15周年を迎えます。これまでの入場者は、およそ2700万人!東京名所のひとつとして、人気があるのは皆様ご存知の通りでございます。この施設、どんな目的で作られたのでしょう? 学芸員の米崎清実さんに伺いました。
徳川家康により、東国の都市江戸が幕府の拠点として開かれてから400年余り、火事や地震、戦争によって何度となく大きな被害を受け、その度に復興し、発展してきました。江戸そして東京の「文化と歴史」を一ヶ所で知ることが出来る場所、それまでにはなかったんですね。
江戸東京博物館は、小中学校の遠足や修学旅行などで、たくさんの児童・生徒が来館するそうです。地域の歴史を学ぶ校外学習の場所として利用されている博物館であることがわかります。また、外国からのお客様が年々増えているそうです。これは、「江戸の生活や文化」が世界的にも注目を集めている証拠といえるでしょう。
江戸の暮らしは、リサイクル社会と言われていて、大変に「節約型」の生活でした。また、浮世絵や出版物などの文化は、職人たちの高い技術に支えられた、たいへん豊かなものでした。浮世絵がモネ・セザンヌ・ルノアールなど、印象派に影響を与えたことは有名ですね。
都内や近県からの小中学校の見学、家族や小グループ、世界各国からの観光客・・・さまざまな人が訪れています。江戸・東京の歴史体験をするには、エレベーターやエスカレーターを利用して6階へ。ドアが開くと、そこは江戸の街。どんなタイムスリップ体験が待っているのか・・・この続きは、明日。
2月26日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
江戸東京博物館常設展示室の入り口は6階。エレベーターを降りると、江戸の街にタイムスリップします。
日本橋。五街道の起点でありました日本橋が再現されています。江戸後期の図面をもとに、正確に作られておりまして、全長168尺、およそ51メートルのうち、北側半分が忠実に再現されています。入館者は、必ずこの橋を通るわけで、気分は次第に江戸時代に入っていく・・・まことに心にくい演出でございます。
この展示室には、他にも、歌舞伎の芝居小屋・中村座、明治時代に銀座煉瓦街に建てられた朝野新聞社が実物大で復元されています。また、江戸時代の棟割長屋や大正から昭和にかけての民家なども、調査研究に基づいて実物大で復元されているんです。
日本橋を渡り終えると、そこは江戸の世界。精巧な模型が展示されています。なかでも、大名屋敷の見事なこと。現在の千代田区大手町にあった越前松平家の上屋敷が30分の1の模型で作られているんですが、これが豪華絢爛。有名な明暦の大火で焼失する以前、各大名は広大な敷地に桃山風の豪壮な屋敷を建てていました。黒塗りで金銀の装飾をほどこした華麗な門は、将軍を迎える時に使われる御成門。敷地の四周に作られた櫓風の建築物、幕府が奨励したため設けられた能舞台、数寄屋庭園などが作られたことがわかります。大名屋敷の模型の隣には江戸城の大広間、松の廊下の部分が展示されています。松の廊下は、忠臣蔵で有名な赤穂事件が起こった場所です。
大名屋敷や江戸城本丸の模型に並んでいるのが、日本橋近くの町人地の賑わいの風景。町人地模型の回りにはオペラグラスが用意されています。オペラグラスでのぞいてみると、まるで江戸の街の中に入ったようです。江戸初期の人々の風俗が精巧に復元されています。武士、町人、曲芸を披露する大道芸人、野菜や魚を売り歩く棒手振りなど、生き生きとした表情や動作のままに作られています。
江戸東京博物館の展示室は、精巧に復元された模型だけではありません。ガラスケースの中には、本物の資料がたくさん展示されています。その点数は常時2000点から2500点。しかも、展示資料は、展示コーナー名順に毎月、展示替えをしているそうです。資料保存を図るためと、なるべくいろいろな資料を来館される皆様にご覧いただくためだそうです。現在の収蔵資料は、およそ40万点以上。しかも、現在も、毎年、江戸や東京に関する収蔵資料は増え続けているそうです。
常設展示室の大きさはおよそ9000平方メートル。大きく「江戸ゾーン」と「東京ゾーン」に分かれていますが、行き来は自由。現代と過去とを気軽にタイムスリップできるんですね。また、当日はチケットさえあれば再入場可能。疲れたら、レストランやカフェで一休み、そして、またタイムスリップへ。
2月27日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
江戸東京博物館常設展示室の特長のひとつは、体験型の展示品が多数展示されていることです。持ち上げて、その重さを実感できるのが、千両箱や町火消しの纏。実際に乗れる乗り物が、かご・ダルマ型自転車・三輪車・人力車など。かごは実際に大名が参勤交代で使ったものを忠実に再現しているのだそうです。体験型展示品は、江戸東京博物館に来た思い出を撮影するには絶好のポイントになっています。撮影お勧めマークの付いている場所だったら、フラッシュをたいて撮影できるのが、江戸東京博物館の良いところですね。
日本が近代国家になり、明治の東京を代表する建物が、鹿鳴館と銀座煉瓦街です。鹿鳴館は、英国人技士ジョサイア=コンドルの設計によるもので、不平等条約の改正をめざす欧化政策のシンボルとして、現在の日比谷の一角に建てられました。銀座煉瓦街は築地一帯を焼き尽くす大火の後、近代国家にふさわしい街づくりとして明治政府により計画、建設されました。また、駿河台のニコライ堂の模型も作られています。今ではビルの谷間に沈んでいますが、かつては東京のいたるところから望むことができました。異国情緒あふれる偉容は、独特な鐘の音とともに、よく文学や絵画の題材となりました。この鹿鳴館とニコライ堂、模型が動き、舞踏会の音楽や鐘の音が流れるんです。ニコライ堂の鐘の音をお聴きください。
時代は下って大正や昭和、東京は激動の時代を迎えます。関東大震災や太平洋戦争の空襲の記録は、詳しく展示されていて、家族連れや社会科の勉強に来た小学生のグループが見入っていました。
戦後も、つい30年ほど前まで、どの家庭でも使われていた道具もさりげなく飾られているんですが、まさにタイムスリップ。・・・すぐれた演出なんです。
戦後のコーナーでは、一定の年齢以上の方だったら、なつかしさ満点。ちょっと昔の電化製品や自動車が展示されています。おじいさん、おばあさんがお孫さんを連れて、昔の暮らしを説明している姿を、よく見かけます。
2月28日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
江戸東京博物館の活動を支えているのが、ボランティア活動。6階の入り口のすぐ右手に、ボランティアのカウンターがあります。現在、登録されているボランティアは、およそ250名。ボランティア活動に興味がある方が応募、選ばれた方が、研修を経て活動に当たっています。ボランティアのお一人、山本市郎さんのガイドをお聴きください。
ボランティアによる展示ガイドは好評で、日本語のほか、8か国語のガイドさんがいるそうです。展示を楽しく、わかりやすくご覧いただきたいという江戸東京博物館は考えていました。そして、江戸東京博物館を愛する方々が、博物館にいらっしゃるお客様に、さまざまな知識やキャリアを社会還元したいという気持ちが合致した結果、ボランティ制度に結びついたんです。
わかりやすい説明を聞けば、関心が高まるのはいうまでもありません。この展示ガイド、日本語・外国語とも、事前の予約も可能で、外国の方々の見学や、最近増えている「街歩き」や「史跡めぐり」のグループにも好評を得ているそうです。
江戸博で定着しているボランティアによる「展示ガイド」、数ある博物館の中でもユニークな試みとして高く評価されています。
2月29日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
江戸と東京の文化と歴史を残すために作られた江戸東京博物館、これまでの14年間に訪れた見学者、およそ2700万人!
江戸東京博物館から、近年、もう一つの新たなブームが起こっています。「江戸文化歴史検定」です。一昨年にはじまった「江戸文化歴史検定」は、毎回1万人もの受検者が集まる催しです。10歳から80歳以上まで、日本全国はもちろん、外国人の受検者もいるという、幅広く受け入れられている検定です。第1回目の一昨年は3級と2級だけでしたが、昨年の第2回に初めて、1級検定が行われました。昨年の第2回目は、12歳の女の子が3級に合格したり、一昨年誰もいなかった史上初の100点満点の3級合格者が出たそうです。また、1級は1005名の受検者のうち、合格が2名という超難関だったそうです。皆さん、ぜひ、トライしてみてはいかがでしょう。
今年も11月3日の文化の日に検定試験が行われます。ほかにも、江戸博物では、さまざまな催しを実施しております。どんな活動なのか、学芸員の米崎清実さんに伺いました。
徳川家康から、東京オリンピックまで、江戸そして東京の歴史と文化を学べる博物館。
今週は、来月28日に開館15周年を迎える、江戸東京博物館をご紹介してまいりました。ご来館のお客様の感想・・・伺ってみました。一度行ったことのある方でも、また、ご家族やお友達と江戸東京博物館を訪ねてみてはいかがでしょう。
館内は見所いっぱい、精巧に復元された模型や豊富な資料からは、いままでにない発見がきっとあるはずです。そして、たっぷり1日楽しめますよ。
江戸東京博物館の最寄り駅、JR総武線、都営地下鉄大江戸線の両国駅です。
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