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PART1 くにまる東京歴史探訪
ONAIR REPORT
6月18日(月)〜6月22日(金)
スペシャルウィーク特別企画 「邦丸黄門漫遊記 飛騨路尋ね人の巻」
先週に引き続き、おなじみ邦丸黄門が、遠路はるばる岐阜、飛騨路へと足を伸ばします。今回も珍道中の模様、ごゆっくりお楽しみください。

6月18日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「星降るいで湯の宿 悠峯の巻(前編)」をご紹介します。

この飛騨地方には、古くから伝わる、「両面スクナ」の伝説がございます。
「両面スクナ」、とは…その名の通り、顔が二つ、そして手も二対、足も二対という、異形の存在。かの有名な「日本書紀」には、人心を惑わす化物として描かれ、朝廷から派遣された部隊により征伐されたことになっています。ところが、地元、飛騨地方では化物ではなく、この地域に仏教を伝え、いくつもの寺院を建立した、いわばヒーローとして親しまれる存在。おそらく、両面スクナは当時この地方を支配していた豪族で、大和朝廷と対立したため滅ぼされたのではないか…という歴史学者も多いようです。
作家、坂口安吾は、かつて、この「両面スクナ」が、実は「日本武尊」であるという大胆な説を唱え、論議を巻き起こしましたが、さて、真相はいかに。
私ども黄門一行は、その両面スクナが大活躍したといわれる、奥飛騨へと足を進めて参りました。
平湯大滝の涼しげな音、お楽しみ頂けましたでしょうか。山、また山の飛騨の国、あちこちに滝は見られますが、この平湯大滝、やはり、一味、違います。

6月19日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「星降るいで湯の宿 悠峯の巻(後編)」をご紹介します。

我々一行は、東京から、信州松本を経て、高山へと入って参りましたが、その逆に、高山から信州へと、こちらは辛い旅を続けたのが、明治時代、製糸工場で働くことになった女工さんたち。
現在は、トンネルが開通した安房峠越えが通常のルートですが、当時の主なルートといえば…そう、「野麦峠」。戦前のリポートである「女工哀史」や、戦後の「ああ野麦峠」などに描かれた、悲しい悲しい物語です。明治時代、日本の花形産業といえば「生糸」、蚕を飼って糸をつむぐ、絹糸をこしらえる仕事です。絹でできた着物は美しいけれど、その材料、生糸をこしらえるのは過酷な重労働。現金収入の乏しかった飛騨の農家では、娘は12歳になると、信州の製糸工場へ働きに出されます。工場での労働は一日十三から十四時間。寮には、脱走防止のため、がっしりとした鉄の桟がはめられていたそうです。
彼女たちに自由が訪れるのは大晦日、そして正月だけ。大晦日になると一年分の給金が与えられ、それを持って飛騨の実家へ戻ります。待ちかねていた実家では、その金で年末の 支払いを終え、ようやく年を越すことが出来たのだとか…。
今では、そんな悲しいストーリーのかけらも感じられない、のんびりとした奥飛騨温泉郷で、豊かな日本社会に感謝しつつ、「星降るいで湯の宿 悠峯」のお風呂を楽しませて頂きました。

6月20日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「飛騨牛 丸明の巻」をご紹介します。

飛騨高山の町でも、奥飛騨温泉でも、いえ飛騨全体はおろか、岐阜県内のどこへ参りましても、目に飛び込んで来るのは「飛騨牛」の大きな看板。今や、岐阜県の名物と言えば、いの一番に名前が挙がる「飛騨牛」ですが、その歴史は、実はまだ、浅いんですね。今を去ること二十六年前のこと、岐阜県内でおいしい牛肉を生産しようと、畜産関係者が本場兵庫の「但馬牛」、その中でも肉質のよい血統「あつた蔓」に注目。清水の舞台から飛び降りる覚悟で、超良血の種牛を買い入れたのです。当時の県知事により、「安福号」と名付けられたこの牛は、関係者の願い通り、次から次へと優秀な子を出し続け、平成五年に亡くなるまで実に三万七千回もの受精に成功、オスメス併せて二万七千頭の父親となりました。
うらやましいと申しますか、お疲れさまと申しますか…。現在「飛騨牛」と名付けられ、売られている牛肉は、すべてこの「安福号」の子孫に当たるんだそうです。今回お邪魔したのは、高山市内に二つの店を持つ専門店、「丸明」。店頭に大きな飛騨牛の像が飾ってあります、立派なお店のお座敷で、絶品のお肉に舌鼓を打ちました。
普通「焼き肉」といえば、フニャーとスライスしたお肉を思い浮かべますが、この飛騨牛焼肉用はちょっと違います。形はどちらかといえば正方形に近くカットされていますが、厚みがたっぷりあって、噛みごたえがあり、肉そのものの味を、思う存分、楽しむことが出来ます。

6月21日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「深山桜庵の巻(前編)」をご紹介します。

新緑の季節、ということもございましたが、飛騨路の旅、クルマの窓から眺めておりますと、美しい森が実に印象的です。
高山市全体に占める森の割合は、実に92・5%!世界平均は30%、日本でも60%程度が普通だそうですから、飛騨は本当に「森の国」なんですね。これだけ材料が豊富にあれば、それを活かした木工の技術が発展するのも頷ける話。技術の高い飛騨出身の木工職人を指して、「飛騨の匠」と呼びますが、そんな言葉が生まれるのも納得です。たとえば、法隆寺の国宝・釈迦三尊像などを作った鞍作止利も、飛騨出身…という説があります。地元に伝わる話によれば、聖徳太子に命じられ、お寺を作るための良質な木材を飛騨に探しに来た帰化人、多須奈が、地元の娘と恋に落ち、生まれたのが止利。後に都に上った止利は、父親に彫刻を学び、釈迦三尊像を始め、多くの名作を残すことになりました。
また、時代は下って江戸時代、日光東照宮などに数多くの名作を残した左甚五郎、この方も飛騨出身と言われています。「左甚五郎」、実は「飛騨の甚五郎」のことで、飛騨出身の腕利き木工職人たちの見事な技の数々が、いつしか「甚五郎」という架空のヒーローの作品として、一つにまとめられていったのではないか… 美しい奥飛騨の森を眺めながら、そんな話を聞くと、確かに本当らしく思えてくるから不思議なものです。
本日の宿、「匠の宿 深山桜庵」も、その名前の通り、そんな飛騨の匠たちの手になる建築です。

6月22日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
最終日の今日は、「深山桜庵の巻 後編」をご紹介します。

飛騨のヒーローとして今も語り継がれている、顔が二つ、手足がそれぞれ二対あるという異形の人物、「両面スクナ」。飛騨地方のお寺には、この両面スクナの像が残されていますが、中でもユニークなスクナ像を彫ったのが、江戸中期、十七世紀に活躍した仏師・円空。彼の彫った仏様は「円空仏」として、現在も熱心なファンを引きつける存在となっていますが、円空は高山市丹生川にある千光寺が気に入り、2回に渡りここを訪れ、およそ六十体の仏像を作り上げました。
その中の一つが「両面スクナ」像。実際の両面スクナは、顔は前後に一つずつあったそうですが、円空のものは、一つは普通の位置に、そしてもう一つの顔は、左肩の上にニュッと突き出されています。正面の顔はニコニコと微笑んでおり、どても穏やかな印象。当時、飛騨に滞在した円空が村人たちから、「スクナ様は化物などではなく、飛騨を開き、皆から崇められた仏様のような方じゃった…」と話を聞き、その印象を素直に刻んだ物なんだそうです。
歴史からは消されてしまった古代の飛騨に、いったいどんな文化が花開いていたのか?そんな古代のロマンに思いを馳せるうち、夕食の時間となりました。
本日の宿は「匠の宿 深山桜庵」、こちらのお食事は囲炉裏を囲んだ「和懐石」が売り物です。食事処の天井は、曲がる木材を経験とカンでハメ込んでいく、飛騨の匠の究極の技で仕上げられ、それは見事なモノ。もちろんお食事そのものも、すっぽんと飛騨牛、どちらか好きなコースを選べて、こちらも絶品。本当にゆったりとした時間を過ごせる飛びきりの宿でした。

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