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PART1 くにまる東京歴史探訪
ONAIR REPORT
6月4日(月)〜6月8日(金)
今週のテーマは「都電荒川線 紀行」。
チンチン電車の愛称で親しまれております都電、現在はたった1路線が営業されているだけになっております。古くて新しい乗り物として、注目されております。
そこで、今週は、「都電 荒川線紀行」と題しまして、魅力たっぷりで楽しい都電の魅力をご紹介してまいります。

6月4日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「荒川線の歴史」をご紹介します。

都電は、手軽な交通機関として愛用されておりました。都電の最盛期は、戦後では1955年(昭和30)。1日の利用者が、およそ175万人! 都内に網の目のように路線が張り巡らされていたのをご記憶の方も多いことでしょう。しかし、やがて急速な自動車ブームによって交通渋滞が起きまして、
「都電が邪魔!」
「時代遅れの乗り物なんか、いらない!」
そんな声が多くなり、昭和40年代になると、都電の路線は次々に廃止されていったんです。
奇跡的に残ったのが、都電荒川線です。もともと一般道路を走る部分が少なかったこと、代わりの交通機関が少なかったこと、そして、地元の強い反対があったことで、廃止されなかったんです。荒川区の三ノ輪橋と新宿区の早稲田の間、およそ12.2キロを、53分かけて、のんびりと走っています。
荒川線の前身は、1911年(明治41)に開通した王子電気軌道鉄道、略して王電、と呼ばれました。96年もの長い歴史があるんです。4月に都内の「八重桜」の名所としてご紹介いたしました、飛鳥山への行楽客を輸送するための路線として作られたんですね。
昭和40年代に、次々に都電が廃止されていく中で、この線だけが残ったわけですが、鉄道ファン・都電ファンならお分かりでしょうが、ちょっとした手直しがありました。27系統・三ノ輪橋から王子駅を経由して赤羽に行く路線と、32系統、荒川車庫から大塚駅を通って早稲田まで行く路線をひとつにまとめたんです。一部の路線は廃止されたんですが、都電がなくなることは避けられました。
都電が相次いで姿を消した時代から40年が経ちました。地元の住民の大切な交通手段になっているほか、全国の鉄道ファンからも暖かく見守られているんです。
近年、全国的に路面電車の役割が見直されているのは、ご存知の通りでございます。
見どころ盛りだくさん、他にもいろいろな楽しさが待っている荒川線紀行、三ノ輪橋停留場からもうすぐ出発です。

6月5日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「三ノ輪橋〜荒川遊園」をご紹介します。

全長12.2キロの都電荒川線。早稲田行きが発車する三ノ輪停留場です。すぐ近くには賑やかな商店街がございますが、線路沿いには驚くばかりの眺めが見られます。それは、見事なバラ。地元・荒川区では、20年ほど前から荒川線の線路際にバラを植え、丹精して育ててきたんですね。20年間の努力が実を結びまして、現在では、三ノ輪橋から、およそ4キロ先にある「荒川車庫前」停留場までの間の両側に、バラが植えられています。140種類、およそ13000株、見頃は過ぎましたが、あと1週間ほどは色とりどりのバラを車内から楽しむことが出来ます。
「バラの会」というボランティアグループをはじめ、住民の方々が年間を通して手入れに協力されていると伺いました。
電車は住宅地を抜けて走ります。最高時速40キロ、路線の平均時速は12キロほどで、新幹線などの高速の乗り物に慣れた身には、とても新鮮な感じがいたします。そして・・・。停留場の間隔は、およそ400メートルほどですから、気が向いたら途中で降りて、ぶらぶら歩くのも楽しいでしょう。やがて、沿線で見逃せない観光スポットに近づきます。それは・・・。
停留場から歩いて5分ほどのところにあるのが、荒川区立荒川遊園。都内でただひとつの区営の遊園地なんです。開園したのは、1922年(大正11)。最古の民営遊園地で、戦後、昭和25年に荒川区が整備をして開園しました。ここは、以前はレンガ工場があった場所で、現在も古い煉瓦塀が残されています。戦前からある観覧車をはじめ、主な遊戯施設は6種類、ほかにも、20種類以上の動物がいる「動物ひろば」や釣り堀もあって、週末には家族連れや若いカップルで賑わいます。年間の入場者、およそ45万人。知る人ぞ知る「くつろぎスポット」なんです。入園料は、大人200円、小中学生と65歳以上の入園料は100円です。
大きなテーマパークも楽しいですが、子供の頃に連れていってもらった、懐かしい素朴な味わいの遊園地、こちらも楽しめますよ。
来月20日からはプールの営業も始まります。プールの料金は高校生以上が350円、中学生以下は150円となっております。もちろん、1日分の料金です。
さて次の停留場、全国の鉄道ファンにはお馴染みなんですが、ご紹介は、明日・・にさせていただきましょう。

6月6日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「荒川車庫前」をご紹介します。

ゆっくり走る都電荒川線。現在、使われている車両は、42両あるんですが、その車庫が、そのまま駅名になっています。「荒川車庫前」です。鉄道ファンなら見逃せない場所なんですが、つい先週から、車庫の中に「都電おもいで広場」がオープンしています。
往年の名車5500形と、旧7500形、朝の通学ラッシュ時間に活躍したために「学園号」という愛称がついていた車両の2台が展示されています。ただし、公開は土曜日曜と祝日のみで、午前10時から午後4時までです。月曜日の放送でご紹介した見事なバラ、始発の三ノ輪橋から、この荒川車庫前まで、およそ4キロの区間で目を楽しませてくれます。実に見事な眺めです。
次の停留場・梶原 には、有名な名物があるんですが、ご紹介は最終日、金曜日にいたしましょう。
やがて、王子駅に到着します。王子といえば、そう、狐が有名ですね。お馴染みの落語「王子の狐」でございます。江戸時代には門前町として、また将軍吉宗の命令によって作られ、格好の行楽地となった飛鳥山で遊ぶ客向けに、料理屋や土産屋が軒を連ねていました。落語にも登場する「扇屋」さん、現在も営業を続けていらっしゃいます。王子名物の「卵焼き」は昔ながらの味で、お土産用に人気があるんです。
王子は、四季おりおりに人出があった江戸名所のひとつでございまして、明治時代に入っても、変わることなく賑わっていたんです。現在の都電荒川線の前身、王子電気軌道鉄道が、飛鳥山への行楽客の便宜を図るために開業されたことは、既にお伝えしております。
12.2キロの都電荒川線、この王子駅が、ほぼ中間点なんです。王子駅を出ると、飛鳥山駅までの間の長い上り坂を、ゆっくりと進みます。荒川線が廃止されなかった理由の一つが、専用軌道、電車だけが通れるように作られた部分が多いことでした。全長12キロあまりの、およそ90パーセントが専用軌道なんですが、ここは違います。王子駅から飛鳥山までは、一般道路を車と一緒に走るんですね。絵になる風景で、都電を狙うカメラマンの姿もチラホラ見られる場所でございます。
さて、いくつかの停留場を過ぎまして、電車が止まるのが・・・。ここから歩いてまいりますと、依然として東京一活気のある商店街と言われる「巣鴨地蔵通り商店街」、おばあちゃんの原宿、でお馴染みでございます。私どもの「東京歴史探訪」でも、スタート早々の2年前にご紹介いたしましたが、相変わらずの賑わいでございます。毎月4のつく日は縁日でございまして、6万人とも8万人とも言われる人出があり、普段にもまして大賑わいになります。

6月7日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「大塚から終点・早稲田」をご紹介します。

都電荒川線の沿線で目立つのが、由緒あるお寺や神社です。中でも知られているのが・・・。はい、鬼子母神ですね。江戸時代から「安産」「子育て」のお寺として信仰されてきました。境内には、樹齢600年、高さ30メートルもある大銀杏があります。境内には有名な駄菓子屋さんがあります。なんと300年以上前から続く、上川口屋さんです。13代目の内山雅代さんにお話しを伺いました。鬼子母神の参道には、ケヤキの巨木があり、この街の歴史を感じさせてくれます。この周辺にはお寺が多く、そのせいでしょうか、落ち着いた街並みになっているんですね。
いよいよゴールが近づいてきたんですが、体力に自信のある方は、ぜひ、次の「学習院下」で降りていただきましょう。停留場のある広い通りは明治通りです。学習院側ではなく、反対、東側に入っていただきます。実は、このあたり、豊島区高田2丁目ですが、急坂が多いんですね。なかでも、「のぞき坂」と呼ばれている坂は、2車線の道としては都内で一番の急坂だろう・・・といわれています。短い坂なんですが、見上げると確かに大変な傾斜であることがわかります。坂道歩きが静かなブームになっておりますが、都電に乗ると、こんな楽しみも体験できるんですね。
再び荒川線に乗りますと、電車は大きくカーブします。左手には、線路と並行して神田川が流れています。あの名曲の舞台になった神田川です。
やがて、電車は終点に到着。
ハンカチ王子こと斎藤佑樹選手も通う街、早稲田です。今年、創立125周年を迎える早稲田大学、シンボルの大隈講堂の改修工事が行われております。外側の工事中は、すっぽりとシートに覆われていましたが、既に取り外されていて、現在、内装の手直しが行われているそうです。学生街・早稲田のブラブラ歩きが、都電荒川線のゴールになりました。路線の全長、12.2キロ、所要時間53分ですが、できれば、途中下車を楽しみながら、のんびり一日かけて回ってみたいものです。
ちなみに、都電の普通運賃は、大人160円、子供80円ですが、お得な1日乗車券がございます。こちらは400円です。さらにお得なのが、都営地下鉄と都営バスにも乗り放題の700円券です。車窓から面白そうなものを見つけたら、すぐ途中下車、そんな好奇心の強い方にピッタリな一日券です。

6月8日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
最終日の今日は、「都電荒川線あれこれ」をご紹介します。

停留場の数、30。全長12.2キロ、見どころが多く、沿線も変化に富んでいることを改めて知りました。
活気のある商店街がたくさんありました。工夫の末に考え出されたお土産も多いんですね。他に多いもの、お寺と神社、花、史跡・・・それから、学校。下校時になると、女子高生がホームから溢れそうになる・・・という停留場もあるようでございます。
さて、皆に愛されている都電伝荒川線、今年は14年ぶりに新しい車両が投入されました。先月末にデビューしたのは、最新鋭の9000形。昭和初期の東京市電をイメージしたレトロな車両です。外見はレトロでも、中身は最新鋭の技術が使われておりまして、安全性・乗り心地とも格段に向上しています。ぜひ乗ってみたい・・・というファンが多いようなんですが、何しろ42両のうちの1両だけ、1日に4往復運転されているそうです。たまたま乗れたら、運が良いのでしょう。
ところで、都電荒川線といえば、あの名物に触れないわけには参りません。水曜日に、わざとご紹介しなかったんですが、全国に知られているお菓子がありますよね。お店は、梶原停留所のすぐ近くにあります。その名は、「都電もなか」。今では東京土産の定番になっている都電もなかですが、ではいつ頃、どのようにして生まれたのでしょうか?発売もとの菓子店、明美さんで伺ってまいりました。
今からちょうど30年前。都電の路線が次々と廃止になっていた頃でございます。「次は荒川線の番だ・・・」という噂、いや実際に、廃止計画があったんです。菓子店のご主人、「それならば、何とか形に残しておきたい」という思いと、「沿線に新しい名物菓子を作り出したいものだ」とい思いから、考えた末に生み出したのが、「都電もなか」だったんですね。幸いにも荒川線廃止計画は消え、新商品は大ヒットしました。今年は、創業50周年、都電もなか発売30周年にあたります。デビューしたばかりのレトロ車両、9000形の「もなか」も発売されました。スタジオに、その「都電もなか」がございます。
現在、都電荒川線の1日の乗車人数は、およそ5万4千人、決して多くはないんですが、通勤・通学・買い物の足として、さらには観光客も集めて健闘しています。遠くに高層ビルを眺めながら走ったり、急カーブがあったり、レトロな街並みが見えたり・・・変化に富んだ風景を見るだけでも、十分に楽しめます。そうそう、都電荒川線は、交通機関としても重要な役割りを果たしているんです。日比谷線・千代田線・京成線・JR京浜東北線・南北線・三田線・JR山手線そして有楽町線、主なものだけでも、これだけの路線に接続しています。思った以上に、とても役に立っている便利な乗り物なんですね。

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