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4月2日(月)〜4月6日(金)
今週のテーマは、「東京 花紀行」
今週は、「東京 花紀行」と題して、東京の花どころをご紹介してまいります。
4月2日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「都心のオアシス、都立日比谷公園」をご紹介します。
わが国初の西洋式庭園として1903(明治36)年6月にオープンした日比谷公園、間もなく開園104周年を迎えます。この公園、一年中、色とりどりの花が咲いていますが、4月は花の種類が一番多いんです。なかでも・・・。
愛らしい姿で親しまれているチューリップが見頃を迎える時期でございます。チューリップは、中央アジアからトルコ、地中海沿岸が原産地といわれる花で、16世紀にヨーロッパに伝わりました。特にオランダで盛んに栽培されました。ヨーロッパに伝わった際に、「ターバンに似た形の花」という説明が、誤って、花の名前として広まったといわれます。ターバンを意味するチュルバンが、なまってチューリップになったんですね。わが国に伝わったのは、江戸時代の後半。本格的に栽培・普及が始まったのは、大正時代になってからでした。毎年毎年、新しい品種が登場していて、現在、世界中でおよそ2000種類も栽培されているんです。
さて、広い日比谷公園のどのあたりでチューリップが見られるのでしょう。公園の正門であります日比谷門、日比谷通りに面し帝国ホテルに向かい合う門でございますが、ここから公園に入ります。公園のシンボルとも言える大噴水の左手にある花壇、第二花壇と名付けられている大きな花壇がチューリップ畑です。昨年の12月に、国内最大のチューリップ球根の生産県・富山県から贈られた球根、およそ1万球が植えられました。従来からあるものを加えて、およそ2万本のチューリップを楽しめます。
実は、富山県は、お隣の新潟県と激しいチューリップ日本一の競争を続けているんですね。球根生産は富山、切り花生産は新潟・・と日本一を分け合っています。 県の花、県花というものがございますが、富山・新潟の両県とも、チューリップが県花に指定されています。
チューリップと言いますと、赤や黄色、ピンクといった原色の花を思い浮かべますが、今年の日比谷公園では、全く違った色が楽しめるようです。と申しますのは、間もなく咲く新品種は、淡い紫や、淡い水色といった、これまでになかった色なんですね。従来からある品種は、そろそろ見頃を迎えます。そして、不思議な色が見られるという新しい品種は、今月中旬から見頃を迎える見込み、と伺いました。
そうそう、花言葉というものがございますね。チューリップの花言葉は、「愛の告白」そして「まじめな愛」となっております。
日比谷公園の最寄り駅は、地下鉄・日比谷駅、霞ヶ関駅、JR・有楽町駅です。
4月3日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「文京区・根津 根津神社」をご紹介します。
世継ぎに恵まれなかった五代将軍徳川綱吉が後継者に選んだのは、兄の子供の徳川綱豊(のちの六代将軍家宣・いえのぶ)。後継者として江戸城西の丸に入った後、それまで下屋敷であった場所に、千駄木にあった根津権現、現在の根津神社を移しました。
さて、六代将軍家宣のお父さん、甲府25万石の大大名でありますが、つつじが大好きでした。下屋敷にたくさんのつつじを植えておりまして、「つつじが岡」と呼ばれるほどの名所になっていました。神社となっても、つつじの庭園はそのまま残されたんです。
根津権現は、江戸市民の信仰を集め、加えて、つつじの名所としても人気を集めました。江戸でも有数の花の名所になり、門前町の賑わいぶりは江戸時代の名所図会にも描かれています。明治時代になっても、神社側の行き届いた手入れによって、見事な「つつじ」が
見られ、現在も300年以上の伝統が受け継がれております。
さて、この根津神社でございますが、300年前の建物がほとんど残されております。華麗な装飾が見られる権現造りの建物は、とりわけ外国人観光客に人気があるんです。現在、2000坪ほどの広さの「つつじ苑」には、50種類およそ3000株のつつじが植えられております。毎年キレイな花を、良い状態でごらん頂くために、神社側の大変な努力があるんです。
根津神社の橋本さんに伺いました。
若い株を福岡県久留米市から取り寄せているほか、200年、300年もの長い間楽しませくれている木も手入れが行き届いています。黒つつじと呼ばれているカラフネ、花弁が風車のような形をしているハナグルマなど珍しい品種も含めて、さまざまな種類のつつじも見ることが出来ます。
今年のつつじ祭りは、4月7日から5月6日まで、早咲きから遅咲きまでいろいろな種類があるので、長く楽しめます。なかでも、4月20日から月末にかけてが見ごろだそうでございます。昨年は、10万人以上の入場者がありました。なお、この時期、「つつじ苑」への入場は、大人200円のご寄進が必要になります。
わが国では江戸時代から栽培が始まったといわれるつつじ、花言葉は「愛の喜び」そして「向上心」でございます。
根津神社の最寄り駅は、東京メトロ千代田線の根津駅と千駄木駅、南北線の東大前駅です。
4月4日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「北区・王子 飛鳥山公園」をご紹介します。
飛鳥山といえば、昔も今も、桜の名所として知られています。現在、およそ650本の桜の木がありますが、今日はこれから楽しめる八重桜をご紹介いたしましょう。
飛鳥山が桜の名所になったのは、ある人物が大きくかかわっております。ある人物とは・・・。お馴染み徳川8代将軍・徳川吉宗でございます。
将軍様、江戸市中が賑わうのはよいが、どうも人々が楽しむ場所がすくない、と考えたんです。そこで、江戸の日本橋から二里およそ8キロ離れたところにある飛鳥山に、2年がかりで桜1270本をはじめ、松や楓などを植えました。
テレビ画面ではバッタバッタと悪人を切り倒す吉宗公、実は、江戸市民のための大レジャー施設を作った功労者だったんですね。桜を植えてから10年ほどすると、花見が出来るまでに桜の木が成長し、あっという間に、たっぷり1日楽しめる名所として定着しました。花が楽しめ、眺めも良い。高い建物がなかった時代ですから、筑波山がよく見えたそうです。茶屋や料理屋が次々に出来、桜の季節ともなると、江戸郊外でも有数の賑わいを見せました。人出が多いだけではありません。歴代の将軍が眠る寛永寺の支配を受けていた上野では禁止されていた三味線などの音曲や余興も許されていたんです。そんな様子がお馴染みの落語にございます。(「花見のあだ討ち」)
さて、今も有数の花見の名所として名高い飛鳥山ですが、これからは八重桜が楽しめます。飛鳥山公園には、およそ20種類、150本の八重桜がありますが、薄い緑色の花を咲かせる御衣黄という珍しい種類もあります。およそ7万平方メートル以上あるという広い公園ですが、八重桜が多く見られるのは、本物の蒸気機関車や都電の車両が置かれている「こどものひろば」の一角でございます。
飛鳥山公園の八重桜、木にいちばん勢いのある樹齢40年から50年のものが多い、と北区の担当者から伺いました。こちらの八重桜の見頃でございますが、4月の中旬から下旬と予想されております。
なお、八重桜の花言葉ですが、「豊かな教養」、でございます。
8代将軍・吉宗公も側近を引き連れ、賑やかに花見を楽しんだという飛鳥山公園、最寄り駅は、JRと東京メトロ南北線の王子駅、そして、都内唯一の都電、都電荒川線の飛鳥山駅でございます。
4月5日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「足立区・西新井 西新井大師」をご紹介します。
昨年暮れの「東京歴史探訪」で、東京の門前町として西新井をご紹介しましたが、西新井大師は、江戸時代から「花の寺」として知られていました。なかでも、有名だったのが、そう、牡丹。
牡丹の原産地は中国で、国家、国の花になるほどに愛され、多くの文学作品や工芸品に登場しております。最初は薬用として、後には観賞用の花として広く栽培されるようになりまして、あの楊貴妃も好んでいた花として知られています。わが国に伝わったのは、奈良時代の初めとされていますが、あの弘法大師が持ち帰った・・・という説もございます。豪華で優美な姿から、ボタンにはいろいろな別名があるんですね。
花の王様という意味から「百花王」、見た目の印象から「富貴花」、花の王様「花王」、花の神「花神」・・・実にさまざまです。「二十日草」とも呼ばれるそうですが、これは、咲いてから散るまで20日間ほど、ということから付けられました。
江戸時代になりますと、武家の権威の象徴として定着しておりまして、獅子と共に、江戸城内の襖絵や屏風に実に多く描かれておりました。庶民にもボタンの人気は高かったようでありまして、昨日ご紹介した飛鳥山と同様、丸1日かけて楽しむ行楽地だったんです。
現在、境内には大小4つのボタン園がありまして、100種類・4500株のボタンを観賞することが出来ます。150年も経つ木もあるんですよ。見事な花を咲かせるためには日頃の手入れが欠かせません。1年を通じて、5、6人の園芸業の方が丹精して育てている、と西新井大師の広報担当の方に教えていただきました。
色とりどりの大輪の牡丹の花が咲いている様子は、まさに百花繚乱。優美な花の代表の地位は、不動のようでございます。申し添えますと、牡丹の花言葉、「王者の風格」でございます。
西新井大師のボタン、見ごろは4月中旬から下旬。最寄り駅は、東武大師線の大師駅、駅の目の前が西新井大師です。毎月21日は縁日。今月の縁日は牡丹の見頃と重なって賑わうことでしょう。
4月6日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
最終日の今日は、「江東区亀戸 亀戸天神社」をご紹介します。
歌川広重の「江戸名所百景」の中に描かれているように、早くから藤は亀戸天神社の名物になっていました。
藤の花の原産地はどこか? 実は、日本原産の花なんですね。鮮やかな藤の色は江戸っ子好みでありまして、江戸市中や近郊の寺社は、藤棚で見せる工夫をして、人気を集めました。なかでも人気が高かったのが、亀戸の亀戸天神社。船を使えば、江戸市中から楽に行けたんです。隅田川から竪川に入り、さらに横十間川を使えば、ほんの少し歩くだけで着けました。
神社にお参りしてから花を見て、美味しいものを食べて、土産を買って帰る、こんな休日を楽しみにして、江戸の人々は働いていたのかも知れません。江戸近郊には、こんな花名所がたくさんあったんです。現在も、毎年、たくさんの人が亀戸を訪れます。
今年も恒例の「藤まつり」が行われます。今年の会期は、4月21日から5月6日まで。昨年は、ほぼ2週間の会期中に、およそ30万人の見物客がありました。今年も午前0時までライトアップが行われますから、夜遅くまで賑わうことでしょう。
今年は暖冬の影響で開花が早そうですが、現在のところ見頃は、今月20日から月末にかけてではないか、と言われています。取材にお邪魔した時、神社の方が、モミ殻と氷を藤の木の根の部分に敷き詰めているのを見かけました。
早く咲かないように、1日でも開花を遅らせることが出来るかどうか、テストをしているということでした。暖かければ暖かいなりに、寒ければ寒いなりに、ご苦労があるようです。
そうそう、花言葉が抜けておりました。
藤の花言葉は、「恋に酔う」そして「歓迎」でございます。
手元に、歌川広重の「江戸名所百景」のうち「亀戸天神境内」と、同じ場所で撮った写真がございます。おなじみの太鼓橋といい、池の風情といい、雰囲気があまり変わっていないことが分かります。
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