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7月25日(月)〜7月29日(金)今週のテーマは「花火だドーン!」 都内各地で開催される花火大会と、その土地の歴史をご紹介します。
7月25日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「神宮外苑花火大会」です。
都心の夏のお楽しみ、神宮外苑花火大会。
今年はちょうど一週間後、8月1日開催予定です。
国立競技場、神宮球場、秩父宮ラグビー場、
そして絵画館前の軟式野球場の4つの会場では、打上前に
さまざまなゲストが出演し、ライブが繰り広げられます。
文化放送の地元、四谷の土手にも見物人が押し寄せますし、
実はこの文化放送の上の方のフロアからも、
きれいな花火が見えるんですが、
来年4月には浜松町に引っ越してしまいますから、社内での
神宮花火見物は、今回が見納めということになりそうですね。
さて、神宮外苑といえば、思い出すのが「銀杏並木」。
青山通りから遠く絵画館を望み、軟式野球場まで一直線に続く、
長さおよそ三百メートル、東京でも指折りの見事な並木道です。
左右それぞれ2列の銀杏が、9メートル間隔で合計百四十六本。
実はこの銀杏並木、
木によってそれぞれ高さが違うのをご存じでしょうか。
青山通りの入口に近い木がもっとも高く、
そこからだんだん低くなっていくように植えられています。
これは風景に奥行きを与えるため、
絵画の「遠近法」のテクニックを用いたもので、一番高い木と
低い木とでは、およそ十一メートルもの差があります。
並木が植えられたのは、1923年(大正十二年)。
新宿御苑で集めた銀杏を豊島御料地に埋めて発芽させ、
6メートルほどに育ったおよそ1600本の中から選ばれた、
いわば銀杏のエリート集団というわけですね。
銀杏の芽が出たのが1907年(明治四十一年)ですから、
樹齢98年。
四年に一度は、美しい形が保たれるよう、
余計な枝を切り取り、徹底的な剪定作業を行います。
プロポーションを維持するためには、
木であろうと人間であろうと、
やはり努力がいるものなんですね。
銀杏並木を突き当たりまで歩き、
左に曲がって神宮球場を過ぎると、
見えてくるのが花火の打上が行われる、神宮第2球場。
ここは以前、相撲場があった場所で、
終戦後、国技館が占領軍に接収された昭和22年から
翌年にかけては、大相撲の本場所が開かれました。
天井もなく、テントを張っただけの寒々とした土俵で、
とても本場所という雰囲気は感じられなかったそうです。
7月26日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「葛飾納涼花火大会」です。
今日、七月二十六日は、葛飾納涼花火大会。
映画「男はつらいよ」でおなじみ、柴又帝釈天のすぐ近く、
江戸川河川敷で、午後七時二十分から打上が始まる予定、
悪天候の場合は、明日に順延されます。
さて、柴又…といえば、もう一つ、忘れられないのが、こちら。
細川たかしさん、ちあきなおみさんなどの歌でおなじみ、「矢切の渡し」。
江戸時代の始め、幕府が地元住民のために、
江戸川水系に設けた15ヶ所の渡し場の一つ、
ということですから、既に四百年近い歴史があるわけです。
この渡しを有名にしたのは、1906年(明治三十九年)に
書かれた伊藤左千夫の小説「野菊の墓」。
少年の悲しい恋を描いた名作で、何度も映画化されています。
1981年(昭和56年)に公開された、
松田聖子さんの最初の主演映画も「野菊の墓」。
見事なおデコが話題になりました。
主人公、十五歳の少年と、恋の相手である二歳年上の
少女・民子が、最後の悲しい別れをするのも、矢切の渡し。
矢切の渡しは、「野菊の墓」から1世紀を隔てた今も健在。
冬場以外は毎日、あさ9時ごろから日没まで、
観光客や帝釈天への参拝客などを乗せ、
ギッチラギッチラ、元気に江戸川を往復しています。
7月27日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「東京湾大華火祭(はなびさい)」です。
東京ウォーターフロントの夏の風物詩、東京湾大華火祭。
ことしは八月十三日の土曜日、開催予定です。
花火が打ち上げられるのは、晴海埠頭沖に停泊する
2隻の船と、晴海埠頭公園、合計3ヶ所。
晴海エリアだけでなく、お台場、芝浦、汐留など、
周辺のどこからでも楽しめるのが魅力です。
東京の海の玄関口、晴海埠頭。
世界中から豪華客船や貨物船がひっきりなしに訪れます。
南極観測船「しらせ」が出港するのも、この埠頭です。
銀座方面から、晴海へ出かけるには、勝ちどき橋を渡り、
もんじゃ焼きで有名な月島を通り抜けて、
晴海3丁目の交差点を大きく右に曲がります。
この交差点脇にあるのが、ショッピングセンターや
レストランなどが集まった「トリトンスクエア」ですが、
1997年(平成9年)までここには、
日本で初めての高層住宅である、
日本住宅公団「晴海高層アパート」がありました。
「晴海高層アパート」が建設されたのは、
このコロムビア・ローズ「東京のバスガール」がヒットした、
1957年(昭和三十二年)のこと。
当時としては画期的な10階建てで、
コンクリート打ちっぱなしの
モダンな外観が印象的な建物でした。
まだエレベーターの操作が一般的でなかった時代ですから、
エレベーター・ガールつき。
電話もすべて、専属の交換手が取り次ぐシステムでした。
当時は大学卒の初任給が一万二千円の時代でしたが、
月収三万円以上がないと入居できない決まりで、
住人は医者、国会議員、経営者、タレントなど。
眼下に広がる東京湾を眺めながらお茶を飲んだり、
銀座の夜景を楽しみながら風呂につかったり、
優雅なマンション・ライフを楽しんでいたそうです。
時にはベランダにカモメが飛んできたりして…
7月28日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「足立の花火大会」です。
今日、七月二十八日は、足立の花火大会です。
日光街道、千住新橋の上流、
荒川河川敷で、午後七時十五分から打上が始まる予定、
悪天候の場合は、明日に順延されます。
この花火大会、もとは1924年(大正十三年)、
千住新橋の開通を祝って始まったもの。
戦争などで中断がありましたが、
1979年(昭和五十四年)復活、現在に至っています。
さて、このあたりの名所と言えば、なんといっても西新井大師。
打上場所から北へおよそ2キロ、
天長年間の創建と言われますから、
およそ千二百年近い歴史を持つ、由緒あるお寺です。
当時、かの有名な弘法大師が関東地方を回っており、
このあたりにやって来ると、疫病が流行っていました。
そこで、大師様自らが十一面観音像を作り、
二十一日間加持祈祷を行ったところ、
枯れ井戸から清らかな水が湧き出し、病も消え失せました。
これが西新井大師の始まりです。
「西新井」の地名は、井戸がお堂の西側にあったことから、
「西の新しい井戸」という意味でつけられたそうです。
毎月21日、弘法大師様の命日は縁日。
多くの善男善女で賑わいます。
境内には梅、桜、藤などが植えられ、
四季折々の花が楽しめますが、もっとも有名なのがボタン。
春になると七千株ものボタンが咲き乱れ、
関東のお寺では一番のボタンの名所となっています。
また、毎年7月には「風鈴祭り」が行われます。
今年も先日、21日まで、全国各地から集められた風鈴が
境内を彩り、夏の訪れを爽やかに告げました。
由緒あるお寺だけに、参道の商店街にも風情あるお店が多く、
また、柴又帝釈天と同様、草だんごの店もそこかしこに。
実際、映画「男はつらいよ」を制作するにあたって、
山田洋次監督は車寅次郎の故郷を、柴又にするか、
それともここ西新井にするか、最後まで迷ったのだそうです。
7月29日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「隅田川花火大会」を取り上げます。
1733年(享保十八年)旧暦五月二十八日に始まった、
両国・川開きの伝統を今に受け継ぐ、隅田川花火大会。
今年は明日三十日、午後七時十分開始予定です。
川開きとは、納涼の季節の始まり、
そして水難事故の防止を願うための行事。
八代将軍・徳川吉宗公が、飢饉やコレラの流行などの
災厄を払うために行ったお祭りがもとになっています。
大層な賑わいぶりは当時から変わらず、
その模様は、落語「たがや」にも描かれています。
三遊亭金馬 師匠の録音を少し、お聞きください。
この有名な「たーまやー」「かーぎやー」の掛け声は
当時、腕を競い合った二軒の花火職人、
「玉屋」そして「鍵屋」を讃えるもの。
残念ながら「玉屋」は火事の火元となってしまったため、
一代限りで断絶してしまいましたが、
「鍵屋」は現在まで伝統の技を受け継ぎ、
各地の花火大会で活躍しています。
一方、「両国の川開き」は、
戦争などによる中断をはさみながらも、
1961年(昭和三十六年)まで脈々と続けられました。
しかし、交通渋滞が大きな問題となり、この年で終了。
そのまま下町の伝統行事が消え去るかと思われましたが、
1978年(昭和五十三年)に無事復活。
「隅田川花火大会」と名前こそ変わったものの、
現在も夏の恒例行事として親しまれています。
桜橋と言問橋の間の第一会場、駒形橋と厩橋の間の第二会場、
二ヶ所合せて打ち上げられる花火はおよそ2万発で、
今週ご紹介してきた花火大会の中でも最大規模。
人混みの中、出かけてみる価値は、十分にありそうですね。
明日の大会当日は、水上バスも特別プランを実施して、
水面から、一味違う花火を楽しませてくれますが、
花火の日以外でも、この季節の隅田川は気持ちのいい場所。
船でのんびりと川風に吹かれながら、ビールをゴクリ。
東京の夏を、しみじみ、楽しめます。
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