金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司さんと、団塊世代プロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
この記事では、青山学院大学 法科大学院 教授を務める大垣さんが、放送された内容をさらに詳しく、読んで得するコラム形式でご紹介していきます。
2020年5月9日の放送は、大垣さんが理事を務めるJTIのマイホーム借上げ制度について。コロナ渦の今だからこそ、自分の持つ資産をいかに有効活用するかを考えてほしい!というお話です。
離婚した夫の、実家の土地に建てた家を貸しに出したいのですが......
今日はですね、私が理事を務める移住・住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借上げ制度」について、ご質問のメールをいただいております。
ラジオネーム、タイコさんから。長いメールなので要約すると、タイコさんは今、住んでいる家からマンションに移ることを考えられているそうなんですね。それで、家を貸しに出すことを検討していて、JTIのマイホーム借上げ制度の利用を考えていらっしゃるそうなんです。
ただ、問題があって、この家、元・義理のお母さんが持っている土地なんだそうです。元というのはどういうことかというと、家だけ夫婦名義で建てたあと、離婚をされたということですね。
ちなみに、旦那さまはそのあと亡くなられているそうです。なので、元・義理のお母さんが亡くなられた場合は、タイコさんの娘さんが土地を継がれる。
こういう場合でも、マイホーム借上げ制度を使って、家をJTIに借り上げて運用してもらい、毎月の安定した収入に変えることはできるのか、という質問なのですが。
賃貸に出すときは「使用貸借」であることに気をつけて!
これ、結論から言いますと大丈夫です。
まず、タイコさんと元義理のお母さんとの関係は、民法では「使用貸借契約」という名前の契約になります。普通、自分の名義ではない土地の上に住む場合はお金を払いますよね。支払わずに住んでいる場合、「使用貸借契約」という名前が付くんです。
ちなみに、お金を払って住む、いわゆるふつうの賃貸のことは「賃貸借契約」と呼びます。
「使用貸借契約」の良い点は、もちろんお金を払う必要がないところですが、悪い点は、土地の持ち主の権利のほうがより守られる、ということ。なので、原則としては、持ち主が「その土地を使うから返して」と言ってきたら返さないといけない。返すというのはつまり、家を壊して出ていくということです。
でも、そんなことを言われたら困りますよね。もちろん、当事者間できちんと約束をしていたら、そんな横暴はできないはずなのだけれど、前の民法ではそこのところが少しあいまいでした。
そこで、2020年の4月に民法が改正された際に「当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。」ということがはっきりと書かれました。つまり、書面として「いつまでこの家を使います」と残しておけば、この期間は、土地の持ち主は、家の持ち主に「土地を返して」と言えない、ということです。
ですから、タイコさんの場合、お義母さまと次の2点を話し合って書面に残しておいておかれると良いと思います。
1)タイコさんが亡くなるまではこの家を使うこと
2)タイコさんが自分で住むだけでなく、その家を賃貸に出す場合もあること
この二つを書面できっちり契約しておけば、JTIの「マイホーム借上げ制度」を使って、問題なく賃貸に出すことができます。
ただ、お義母さまも自分の敷地にまったく赤の他人が住むことを快しとされない可能性もありますから、了解をとられた上で、JTIまでご相談ください。
住まない家は、給付金・10万円以上の大きな資産に変えられます
さて、JTIの話が出たので、コロナ渦でJTIが考えていることについてお話しできればと思います。
現在、おそらく、コロナの影響を全く受けていない人っていうのはかなり少ないですよね。
収入が減った方もいらっしゃるでしょうし、それどころか、休職や退職せざるをえなくなり、収入がゼロになった方もいらっしゃる。そんな中で10万円の給付金が出ても、ありがたいけど焼け石に水、と思っていらっしゃる方も少なくないはずです。
そういう方々の中で、もしも、住まなくなった家を持っている方がいらしたら、ぜひJTIの「マイホーム借上げ制度」をご活用いただけないか、と思うのです。
マイホーム借上げ制度の「空室でも賃料保証」制度とは?
先ほどのタイコさんの話でも出ましたが、マイホーム借上げ制度というのは、皆さんがお持ちの家をJTIが借り上げ、賃貸物件として運用する制度です。
特徴として、一度借り手が付いたら、それ以降は、空室が出ても賃料が必ず毎月保証されます。
ちなみにJTIには国の基金が設定されており、運営が危なくなるなどの万が一の場合でも、皆さまに不利益が出ないように設計されています。もちろん、今年で14年目となりますが、基金を使う必要が生じたことは一度もありませんし、JTI自身としても十分な積立金を確保しています。
JTIは、制度を利用して家を賃貸に出されている皆さまに、毎月、地方でも5万円から8万円程度をお手元にお届けしています。10万円を超える方もいらっしゃいます。
10万円の給付金がいつくるのかを待つよりも、こうやって、ご実家など、お持ちの家を「資産」として捉えて、お金を作りだしてもらうという考えは、これからの日本の社会に必要なんじゃないかな、と思っています。
そんなわけで今回は、JTIのマイホーム借上げ制度についてお話ししました。
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
◆放送日
土曜 6:25~6:50
◆出演者
大垣尚司(青山学院大学教授・JTI代表理事)
残間里江子(団塊世代プロデューサー、club willbe代表)
鈴木純子アナウンサー