多種多様な食文化が存在しており、国や地域で特色は変わり普段見慣れたものから見慣れないものまであり発見と驚きが繰り返されることは多々あります。その中で、2013年に「和食」が無形文化遺産として登録されています。自然を尊重する日本人の心を表現したものであり、伝統的な社会慣習として世代を越えて受け継がれていると評価され登録されました。
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無形文化遺産とは
「口承による伝統及び表現、芸能、社会的慣習、儀式及び祭礼行事、自然及び万物に関する知識及び慣習、伝統工芸技術」の分野において明示されます。それには民間伝承と伝説、伝統音楽・演劇及び舞踊、冠婚葬祭の儀典、薬草療法等の伝統療法、及び木彫・陶器製造・染織等の伝統手工芸技術が含まれます。
無形文化遺産は、長年にわたって世代から世代へと受け継がれる貴重な贈り物であり、しばしば人々の文化的アイデンティティの基盤及び創造力の源泉となります。歴史的建造物や考古学的遺跡等の有形文化遺産とは違って、無形文化遺産は人の身体と魂を媒介として受け継がれます。そのためにこれらの遺産は壊れやすく、グローバリゼーション等の要因によって引き起こされる生活様式や社会の価値観の変化に影響されやすいです。
無形文化遺産に登録された和食の特徴
この特徴は4つあります。
1つ目として、新鮮で多様な食材と素材を用い、また、その持ち味を尊重する工夫が施されている点が挙げられます。季節の移り変わりがはっきりした日本には、四季折々の新鮮で多様な海の幸や山の幸があり、これらの食材の味わいを活かすため、出汁を使用した調理技術等が発達しています。
2つ目は、栄養バランスに優れた、健康的な食生活を形成している点があります。米、魚、野菜や山菜といった地域で採れる様々な自然食材を用いるほか、出汁の「うま味」を上手に使うことにより、動物性油脂の少ない食生活を実現しています。
3つ目は、食事の場において自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛りつけを行う点です。料理に花や葉等の自然の素材をあしらったり、飾り包丁で自然の事物を表すなどの美意識を根底に有し、旬の食材を好んで用いるほか、季節に合った調度品や器を利用することで季節感を楽しむこころが日本の食文化にはあります。
4つ目は、食が正月行事等の年中行事と密接な関わりを持っていることです。正月のおせち料理やお雑煮から始まり大晦日の年越しそばまで様々な年中行事において、食は欠かせないものです。また、お食い初め、七五三等人生の節目の儀礼においても食は密接な関わりを有しています。
「食」を通じて様々な歴史を受け継ぐことも出来ますし、伝統的な食文化を守ることで伝統的な食器や調理道具を作る職人の技術なども継承されていきます。特に意識せずに「食」を行っているかも知れませんが、こういったところにも未来を見据えたアイデアがあるのかも知れません。
2020年4月4日に放送されたラジオ『浜松町Innovation Culture Cafe』では、鶴頸種苗流通プロモーション代表で現役高校生の小林宙さんとクックパッド ブランディング・編集担当本部長である小竹貴子さんをお招きして、「日本の伝統野菜とタネ」という話から「日本の多様な食文化を守るには」というテーマで議論しました。
タネには2種類存在する
野菜の種にはF1種と固定種の2種類が存在します。
F1種とはメンデルの第一法則「優劣の法則」による、異なる形質をもつ親同士を配合させたことで生まれた強いタネを指します。
私たちがスーパーなどで見かける野菜の多くはF1種から作られた野菜になります。
固定種とは親、子供、孫、ひ孫と代々同じ形質が受け継がれていった種を指します。
日本の伝統野菜とは
日本の伝統野菜とは、固定種を守りながら、固定種を日本の様々な土地で植えることで育まれたその土地固有の種類の野菜を指します。
日本多様な食文化を守るには
小林さんと小竹さんの共通の意見として、日本の食文化を守るにはまず料理を作ったり、野菜を育てたり、実際に自分で体験することが大事だといいます。
小林さんのもう一つの意見として、「文化を守るだけでなく新しいものを作っていくことが文化になり、その結果文化が守られていくものだ」ともお話ししていました。
浜松町Innovation Culture Cafe
放送日:土曜 18:00~18:57
出演者:入山章栄
過去回:Podcast
毎週土曜日、午後6時から放送している『浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんが担当します。
当番組はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。