離職率低下のカギは個性の発見!? 7つの退職理由の対策!『浜松町Innovation Culture Cafe』
昨今、離職率の高さが問題になっています。厚生労働省の発表によると、平成28年3月卒で就職した大学生は、448,309人。そして、その3年目までの離職人数は、143,360人(32.0%)となっています。
離職者数
1年目まで・・・51,158人(11.4%)
2年目まで・・・47,471人(10.6%)
3年目まで・・・44,731人(10.0%)
実際になぜ会社を辞めてしまうのか? 原因を見ていきましょう。
目次
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1. 退職理由と対策
1.1 思っていた仕事と業務内容が異なる
採用時に説明された業務内容と、実際に行う実務にギャップが出たときの退職理由です。
企業側は、応募してきた方が優秀であればあるほど「採用をしたい」という願望が出てくるものです。それが故に、事実と異なる話をしてしまうことがあります。
対策として、実際に実務を行なっている社員を同席させることが有効です。これによって、実務とのギャップを減らすことが可能です。また、すでに契約社員やパートタイム、インターンシップなどで働いている方を社員にするとギャップが生まれにくくなります。
1.2 職場環境が悪い
こちらの理由は多種多様の理由が存在するため簡単に対策することはできませんが、本人の意識次第で変わる可能性があります。
まずは積極的に仕事に取り組み、飲み会を開催するなどして同僚同士のコミュニケーションを活性化するように働きかけます。それでも雰囲気が改善しない場合は、雰囲気を悪くしている本人に直接注意することもひとつの手です。我慢して自分も周りもストレスを溜めるのが一番悪いので、場合によっては勇気を持って指摘してみましょう。
1.3 人材育成の体制がない
人手不足が叫ばれるようになって久しい昨今、一人あたりの業務量も多くなっている傾向があります。上司も例外ではなく、なかなか部下や後輩の育成に時間が割けないことも。
そんななかでも自社内で人材育成をしたい場合、まず上司から自分の業務を見直す必要があります。簡単な業務はクラウドソーシングなどを利用して外部にふることで、自分にしかできない仕事のみを残し人材育成に割く時間を作り出します。それでも難しい場合は、外部の人材育成コンサルなどの企業に頼るのも手かもしれません。
本記事の後半に、ドラゴンボールなどで有名な鳥山明さんを発掘した元天才編集者・鳥嶋さんが行なった「人の力を引き出すための方法」を紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
1.4 昇給昇進が望めない
「人生100年時代」と言われる世の中になりました。それに伴い、多くの方がキャリアアップ・スキルアップをして自分の身を守ろうという意識が強くなっています。
現在、求職者に人気な企業は、社員が自らキャリアアップへ行動できるような指針を打ち出しているところが多くなっています。
また、副業を通じてのスキルアップを推奨したり、外部収入を増やすための副業を解禁したりするのもひとつの手です。
1.5 自分の価値を感じてもらえない
マズローの欲求5段階でも唱えられていますが、人間は誰しも承認欲求を持っています。
まずはこのことを理解し、社員へ日常的に感謝の気持ちを表したり、積極的に褒めたりすることが肝要です。もちろん、賞与を渡すことも有効です。
1.6 有給など、休暇を取りづらい
厚生労働省主導で「働き方改革」が進められています。今のうちから、「年間で有給を5日消化しないといけない」など、強制的に休みを取らせる仕組みを作り、上司から率先して実行していきましょう。
1.7 社長や上司に対して信用や信頼がない
社長や上司がビジョンを語り、実行、成功させることで信用や信頼はついてきます。また、部下の話にしっかり傾聴することも非常に有効です。
離職率を下げるには
・職場環境を良くする
・個々の個性を引き出し、仕事に充実感を与える
上記2点を意識するといいでしょう。
2. 浜松町Innovation Culture Cafe
文化放送『浜松町Innovation Culture Cafe』11月19日の放送では、白泉社代表取締役会長で鳥山明さんを発掘・育成した元カリスマ編集者の鳥嶋和彦さん、ロート製薬広報・CSV推進室部長として副業の解禁など働き方改革に取り組む河崎保徳さんの二人をお招きし、「人の力を引き出すために必要なこと」についてお話ししてもらいました。
数打つことが成功の近道
まずは、鳥嶋会長にドラゴンボールやドクタースランプで有名な鳥山明さんが誕生した経緯について伺います。
鳥嶋 作っては壊し作っては壊しを繰り返して、お互いにどうすれば面白くなるのかを考えていた。読み切り作品の読者からの声を聞いたりもしていた。
入山 なるほど!
鳥嶋 下手な鉄砲は数打てば当たるように、短時間でダメ出しをすると良いものが残っていく。編集者の仕事は、作家が書きたいものと読者が求めているものを繋げることだと思う。もともと漫画を読むのがしんどくて読まずにいた。でも、昼寝にも飽きて漫画を読み始めていくと、ちばてつやさんの「おれは鉄平」に出会い、コマ割りが漫画の文法になっていると気付いた。それから、その「おれは鉄平」で使われた文法を新人の漫画にも適用したことによって、新人の作品もプロの作品に近づいていった。「漫画とは」と疑問を持ち、分析したのが良かったのかもしれない。
河崎 プロとプロが新しいものを生むと思ってしまう。でも、会長と新入社員や社長と地方の営業マンとが話すことで新たなものが生まれるのかも。
入山 プロはプライドがでてきてしまう。好奇心って大事ですね。
鳥嶋 好奇心が強くないとダメですね。
次第に話題は「ダメ出し」に移ります。容赦なく作品をボツにする鳥嶋さんのダメ出しの方法とはいかに。
読者目線を忘れない
入山 ダメ出しは怒る派、褒めて伸ばす派のどちらですか?
鳥嶋 怒ることはないです。まず、打ち合わせでは面白いかどうか。どこが面白くないのか、どうすれば面白くなるのかを提言する。読者は漫画を読むというより、見ている。その感覚で、細かいところは見るのではなく読者のスピードと目線で添削するようにしている。
入山 ダメ出しはするけど、怒りはしないのですね。結構ロジカルな仕組みですね!
鳥嶋さんは作者に「面白くても1週間、つまらなくても1週間」と伝え、次の作品に繋がるように声をかけているそうです。読者は次の週には新たな話を読むため、ずっと面白いものを作ることは求めないといいます。
話が盛り上がり、次は「作者の育て方」の話題に。
作者のいいところを引き出すのか、悪いところを直すのか。鳥嶋さんの指導方法についてお聞きしました。
相手を知ることこそすべて
鳥嶋 作品に対していい、悪いを区別する意味がない。作品はその人自身の個性。一番大切なことは目の前の人がどういった人なのかを短時間でいかに知るか。打ち合わせ30分、雑談30分を心がけ、その人の価値観を知るようにしています。話題の映画を一緒に観て、感想を言い合ったり。自分の手がけた作品ではない分、気をつかわずに感想を聞けるので、その人がどういう視点を持った人なのかわかりやすい。感想を聞いて、次の打ち合わせに活かせることも多いですね。
入山 漫画の話はしないんですね。
鳥嶋 むしろ、漫画の話はしないほうがいいですね。
河崎 短い時間で個性を理解するのは本当難しい。企業は、煉瓦職人のように同じレベルの学生を採用して組織を作っていく。鳥嶋さんは石垣を作る職人のように個性を最大限に引き出している。本当にすごいことですよ。
鳥嶋 漫画家が書きたいものは、二番煎じになってしまうことが多い。だから、その人の個性を見つけ出すことが必要。原点を見つけ、引き出してあげることが大切なんです。たとえば、ドラゴンボールで悟空の胴衣がボロボロになりすっぽんぽんでコケてしまう抜けた感じは、鳥山さんにしか出せない個性。
入山 なるほど。ロート製薬でも社員の「オリジン」を見つけられるといいですよね。
河崎 僕らは逆で、新入社員の個性を殺す教育をしているかもしれないですね。
入山 企業側は編集者になることが求められるのかもしれないですね。
鳥嶋 絵の具にたとえると、寒色系・暖色系だけ集めても良い絵は描けないでしょ。バリエーションがあるってことは多様性があるってことなんです。だから、作者には「ヒットした漫画には寄せないで」と声をかけています。
入山さんは「市場調査をうのみにせず、プロゆえにやってしまいがちなことを、あえてしないようにすることが新しいことを生むのかもしれない」と気付かされたようでした。
番組概要
■タイトル
『みらいブンカvillage 浜松町Innovation Culture Cafe』
■放送日時
毎週火曜 午後7時00分~9時00分
■出演者
入山章栄
砂山圭大郎アナウンサー
田ケ原恵美
■メールアドレス
■番組サイト
■Podcast
http://www.joqr.co.jp/hamacafe_pod/
毎週火曜日、午後7時から生放送でお送りしている『みらいブンカvillage浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さん、砂山圭大郎アナウンサー。アシスタントはVoicy広報の田ケ原恵美さんが担当します。
「みらいブンカvillage浜松町Innovation Culture Cafe」はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。
毎週火曜、午後7時から絶賛生放送中!!