文化放送は、戦後75年という節目を迎える今年、シリーズ企画として『文化放送終戦75年企画 シリーズ~封印された真実』を放送します。
56年ぶりに東京でオリンピックが開催される2020年。2020年は日本の敗戦をもって太平洋戦争が終結してから75年という節目の年でもあります。 文化放送は5年前、終戦70年企画として戦争体験者へのインタビュー構成による番組『アーサー・ビナード 探しています』を1年間放送しました。番組ではアメリカ人の詩人、アーサー・ビナード氏が47人の戦争体験者を訪ね、貴重な体験談を聞くため、日本全国を行脚しました。この放送から5年、残念ながらインタビューに答えてくださった戦争体験者のうち既に10人以上の方が亡くなっています。戦後生まれの人口が8割を超え、戦争そのものの風化が年々進んでいく中、文化放送は、この戦後75年という長い時間の中で埋もれ、誰も語り継いでくれない史実としての戦争「封印された真実」を発掘していきます。
初回放送は3月28日放送。テーマはBC級戦犯。
4回に渡り放送するテーマは下記の通りです。いずれも約1時間の録音番組となります。放送日時および正式番組名は現在、初回放送のみ決定しています。
①番組名:『文化放送終戦75年企画 シリーズ~封印された真実 BC級戦犯~翻弄された人生』
2020年3月28日(土)午後6時00分~6時57分放送
極東国際軍事裁判(東京裁判)で裁かれたA級戦犯は28人。東条英機、広田弘毅ら戦争指導者たちで、7人が死刑となりました。一方、B級戦犯とC級戦犯の裁判は、戦場となったアジア各地を中心に国内外49カ所で行われ、被告はおよそ5700人。そのうち死刑判決が984人に下され、死刑を執行されたBC級戦犯は920人とも934人とも言われています。戦後75年を迎える現在、例外なくBC級戦犯たちの高齢化も進み、戦争に翻弄された体験談を直接聞く機会も困難になりつつあります。番組ではA級戦犯と比べてフォーカスされる機会が少ない元BC級戦犯のひとり、李鶴来(イ・ハンネ)さん(95歳)へのインタビューを中心に、戦争に翻弄された人生にせまり、戦後75年の今、あえて問題提起を行いたいと思います。
②テーマ:軍属ラジオ局~解き明かされたミッション
※2020年8月放送予定
文化放送のAM波を発信する送信所は昭和27年の開局当時から埼玉県川口市新郷にあり、放送を行っています。
もともとはNHKラジオの送信所として設立された施設でしたが、送信所移転により、戦争中は放送機工作所として供用されていました。戦争も終盤、本土空襲も始まり、情勢が厳しくなってきた1944年後半、戦局対応放送を行うための「地下スタジオ」が建設されます。はたしてこの「地下・秘密スタジオ」の目的は? 戦争におけるラジオ放送の役割とは? 文化放送自らが封印された「川口送信所」の役割に迫ります。
③テーマ:生き延びて語る~ホロコーストを忘れさせない~
※2020年8月放送予定
今年1月、110万人が虐殺されたアウシュビッツ強制収容所の解放から75年を迎えました。大戦中に起きたユダヤ人への迫害は、中東情勢を混乱させ、歴史の歪みはミュンヘン五輪の選手村で起きたテロ事件をはじめとする新たな悲劇もおびき寄せました。第二次世界大戦を語る時、日本の戦前、戦中の歴史とは切り離せないナチスの戦争犯罪に焦点をあてて、民族とは何か、国家とは何かを考えます。先日、ユダヤ人であることを隠してヒトラー青年団に紛れ込み命を長らえた生き証人であるサロモン・ペレスさん(94歳)が来日。アメリカ生まれの詩人、アーサー・ビナードさんがサロモンさんにインタビューしました。番組ではこのインタビューのほか、日本に在住する唯一のホロコースト生存者や、杉原千畝の発給したビザで日本に逃れたユダヤ人たちを自宅で保護した女性の家族へのインタビュー、さらにはアウシュビッツの現地ポーランドへの取材も予定しています。
④テーマ:歴史の闇に消えたオリンピック
※2020年8月放送予定
1964年の東京オリンピックが戦後日本の復興を象徴する一大イベントであるならば、1940年の幻の東京オリンピックもまた日本の興隆を後押しするものとなるはずでした。しかし戦禍とともに、五輪もまた大日本帝国の闇の歴史の1ページとなりました。そもそもこの幻の五輪の存在自体が時間の経過とともに薄れゆきつつあります。紀元二千六百年記念行事として行われるはずであった東京五輪、その意味するものは何だったのか?そしてなぜ返上することとなったのか? 東京という大都会の路地裏や都心に拡がる森の影に、80年前の五輪の足跡を探します。