東京・品川区内にある産業廃棄物処理業者「ナカダイ」の本社兼ショウルーム。ゴミとして出されたソーラーパネルを利用したテーブルや、学校から同じくゴミとして出された跳び箱を利用して作られたイスやテーブル、更には不要になった信号機など様々な素材が整理して並べられ、時折、これらの素材を買い求めに来るお客さんの姿も見られます。
産業廃棄物の処理というと、大型トラックで、大量の鉄材や廃材が持ちこまれ、それらを重機でスクラップしてしまうというのが一般的なイメージでしょうが、ナカダイの場合は、その形状を活かしたまま、何かの形で使えないかを常に模索する日本でオンリーワンの廃棄物処理業者と言えます。なぜ、そうした業態を目指したのでしょうか。そしてそこには、どんな苦労があるのでしょうか。ナカダイ専務取締役の中台澄之さんにうかがいました。
先ずは、ナカダイが廃棄物をスクラップするのではなく、その形状を活かしたまま、別の形で利用できる商品として世に送り出すというビジネスを手掛けたのは、どんな理由からであったのでしょうか。中台専務は、そのキッカケをこんな風に語ってくれました。
「廃棄物処理業者は、廃棄物を引き取って、おカネをもらう商売だが、廃棄物が多ければ多いほどもうかるというビジネスから脱却したかった。引き取るゴミの量を多くして、会社の規模を大きくしてきたが、ゴミが沢山出ることを期待するということへの矛盾を感じ、量を集めるシステムからの脱却を目指したのが、2006年から2007年のことだった。
廃棄物は時代を反映しており、日本のメーカーが海外で設備投資を始めるようになると、鉄のスクラップなどの仕事よりも、商品の在庫処分のために、廃棄物が持ちこまれるケースが多くなっていった。それは、2008年のリーマンショック以降に見られるようになった傾向であった」