(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2023年12月29日
12月24日 第598回放送
番組で紹介した話題に反応して様々なお便りが寄せられます。番組パーソナリティーの
鎌田村上コンビが「個人の心に響く言葉を発することのできる人だから」でしょうか?
今週は「今年番組で取り上げた話題」への"反応"や"続報"も含めてお伝えします。
◆軽井沢の男性。今夏紹介した「宮大工の女将さん」の内容に感銘したというメール。
徒弟制度が残る伝統工芸品を扱う店の後継者として生まれ育つ中で、若い住み込み職人
の苦労や不安を察知した50年前の記憶が蘇ったという。伝統の技を継承する大切さと
それを指導する棟梁の立場を思う時、どうか若手職人の未来に幸多かれと祈ると願う。
さらに番組を聴いたリスナーさんが「伝統工芸品」を買ってくれたと嬉しい報告あり。
◆3月に紹介した『福島をリハビリで元気にする会』理事長で作業療法士のOKさん。
『絆診療所』の遠藤先生を座長とする『絆一座』が復活し再始動するというお知らせが
届きました。食べること、動くこと、楽しむことの「食・動・楽」をスローガンにして
①医療講話②栄養講座と実演と実食③運動レクリエーション講座の三部構成で大震災後
「仮設住宅」に定期巡業していたことを今後は福島全県の「復興支援住宅」に広げて、
高齢者の単独世帯で孤立して虚弱化している課題の対策を講じる準備を進めています。
◆川口市の男性。中途失明者になった経緯を以前紹介された者です。現在「カラオケの
サークル」と「点字のサークル」と「歩く会」の3サークルでリーダーを務め、足腰は
弱いが口達者な面々は大切な仲間であり、カラオケで過ごす時間は至福の時間と報告。
◆中野区の女性。両親を自宅で看取り、常時介護が必要な子が一人暮らしを始めたので
介護者でなくなったのに、時間の使い方が分からず、子離れしてないことを自覚した。
2023年12月20日
12月17日 第597回放送
今年一番売れた本は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』
第2位は『大ピンチずかん』という絵本。第3位と第4位にはYouTubeで人気の
不動産ミステリー『変な家』と『変な絵』がランクインしました。当番組の2人が選ぶ
作品は個性的です。2か月ぶりに紹介する『ボクたちおススメの本と絵本』特集です。
鎌田さん推薦は、堀本裕樹著『海辺の俳人』です。上京から25年ずっと海の見える家
を探していたところ「湘南の片隅の一軒家」を見つけ、結婚して女の子が生まれます。
娘を見て一句「西瓜よりいのち貰える児のおなら」など詠みながらのエッセイ集です。
村上さんは、松本秀男著『さだまさしから届いた見えない贈り物』を推薦。著者はさだ
まさしさんの高校の後輩で、45年以上親交があり「ほめる達人・価値発見の達人」が
「気遣いの達人さだまさし」のさりげない言葉から見出した「生きるヒント」集です。
3冊目はヨシタケシンスケ著『メメンとモリ』です。ラテン語の「メメント・モリ」は
「人に訪れる死を忘ることなかれ」という意味の警句ですが、絵本は姉メメンと弟モリ
が失敗を機に「生きる意味や生きる目的」を考え、これでいいんだ!を語り合う作品。
続いても「死をどう考えるか」をテーマにした作品です。青木新門著『つららの坊や』
著者の『納棺夫日記』はベストセラーになり映画『おくりびと』が生まれるきっかけに
なりました。この童話は合掌造りの軒先で寒い朝に生まれた「つららの坊や」の物語。
雪が降り坊やは大きくなっていきますが、暖かくなって屋根雪が落ちたら、自分も死ぬ
のだと聞いて涙がとまらない。そこでトチの木のおじいさんが「死ぬことはちっとも悲
しいことではない」し「水としてみんなのためになっている」と教えてくれるのです。
2023年12月15日
12月10日 第596回放送
パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が始まってから既に2か月経ち
人道状況の悪化は深刻さを増して、事態打開に向けた道筋はまったく見えていません。
また、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。ウクライナの情勢を
めぐる動きも気になります。今回は「共生」が望まれる中東とウクライナのお話です。
10月7日に「ハマス」が境界を越えてイスラエルに奇襲攻撃をしたことが発端となり
今日まで激しい戦闘が続いています。長年にわたる「パレスチナ紛争」はパレスチナと
イスラエルの双方に言い分はあり、また問題もあります。1948年のイスラエル建国
に対立の発端を見る人もいれば、11世紀から13世紀に聖地エルサレムの奪還を目指
した「十字軍』の時代から周辺の情勢は少しも変わっていないという意見もあります。
歴史・宗教・人種差別・面子・利害関係が複雑に絡む難題ですが、人と人の繋がりから
生まれる「共生の策」もあります。鎌田さんの絵本『アハメドくんのいのちのリレー』
はパレスチナの少年の心臓をイスラエルの少女に移植した物語です。少年の父親は言う
「海で溺れている人がいたら国籍や宗教は問わずに助ける。正しいことをしただけだ」
宗教や国の違いを超え「人として正しいことをする」こういう人が増えて欲しいです。
後半は、ウクライナ支援を続けているJCF「日本チェルノブイリ連帯基金」メンバー
イラク出身の医師で信州大学特任講師リカァ・アルカザイルさんが出演。ウクライナか
らの避難民が多く住むポーランドのクラクフを訪れて女性と子供を対象に「健康相談」
をしたところ、長引く避難生活に不安と不満を漏らす母親の姿が印象に残り、避難民に
対する医療体制の遅れも気がかりと報告。JCFへの寄付、チョコ募金も募集中です。
2023年12月 7日
12月3日 第595回放送
鎌田さんは50年前「脳卒中の患者さんが多い長野県」に赴任して以来、周囲の理解と
協力を得て『健康づくり運動』を推進。その甲斐あり「同県は長寿県」になりました。
近年は佐賀県下で『がんばらない健康長寿実践塾』を開講し、食習慣から運動まで健康
と長生きのための習慣を幅広く提案しています。その中心は「食事」です。家でも簡単
にできる『長生き食事術』の軸になるのは「きん・こつ・けつ・のう・ちょう」です。
この呪文のような5つの言葉「きん・こつ・けつ・のう・ちょう」は、筋肉・骨・血管
脳・腸の健康のことです。食事との関係で百歳まで元気でいるためのカギとなります。
◆筋肉-筋肉をつくりフレイルにならないタンパク質いっぱいの生活を送りましょう。
筋肉づくりで大切なのは、食事でまんべんなくタンパク質をとること。朝にヨーグルト
やチーズを食べたり、おやつのおせんべいを大豆食品や乳製品に替え、筋肉をつける。
◆骨-バランスのよい食事とこまめなカルシウムで骨太人生を送りましょう。骨密度の
低下は深刻な問題です。骨ごと食べられる小魚を常備こまめに食べるのも骨活の基本。
◆血管-人は血管から老いるので、薬よりまずは食習慣の改善をしましょう。酢や牛乳
で減塩に工夫。野菜や海藻で血圧を安定させる。抗酸化作用食品のゴマや鮭を摂ろう。
◆脳-認知症は生活習慣病の一つ、予防策の中心は食事術です。DHAが豊富な青魚や
オメガ3脂肪酸を含むナッツ類など「ブレインフード」を日々の料理で使いましょう。
◆腸-腸は「第二の脳」で長生きの要です。野菜と発酵食品で腸内環境を整えましょう
腸は栄養を消化・吸収する臓器ですが、免疫細胞の約7割が集中し体内に侵入した病原
菌などから体を守る働きもしています。詳しくは『鎌田式長生き食亊術』(アスコム)
2023年12月 1日
11月26日 第594回放送
高齢化が進み今後さらに患者が増えると予想されているのが「パーキンソン病」です。
脳内の細胞変性によって、手足の震えや動作の緩慢といった症状が現れる進行性の病気
について「病気と患者を取り巻く環境を多くの人に伝えよう!」と患者が原案、患者の
シンガー・ソングライター樋口了一さんが主演した『いまダンスをするのは誰だ?』に
全国の患者と家族から熱い視線が注がれています。今回は樋口了一さんとの鼎談です。
パーキンソン病は、国内には15万~20万人の患者がおり、50代以降の患者が多く
65歳以上の高齢者では100人に1人ともいわれます。高齢化とともに各国で患者が
増えており、かつては「10年で寝たきりに」と言われましたが、現在は薬物療法によ
り長期間症状をコントロールできるようになり、病気が進行したら手術を伴う治療法も
確立されおり、更にリハビリテーションも症状緩和に効果があると立証されています。
パーキンソン病歴16年の樋口さんは「サイドブレーキをかけたまま、アクセルを踏む
そんな感じ」と表現。過去には自暴自棄になりかけたこともあるが今は投薬とリハビリ
で音楽活動を続ける中で「誤解の多い病気の実情を知って欲しい」と映画出演を決意。
【あらすじ】家庭を顧みず仕事一筋で生きてきた主人公は妻と娘とも不仲な日々を送っ
ていると、ある日「パーキンソン病」の診断が下される。その事実を受け入れられずに
一人孤独を抱え、職場でも仲間が離れていく中、パーキンソン病の患者会の存在を知り
そこでの交流から、人とのふれあいの大切さを痛感する。更にそこで出会ったダンスに
挑戦していく内に不仲だった娘との関係も...。樋口さんの主張は人生を諦めないこと!