(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2023年4月20日
4月16日 第562回放送
村上さんの初任地はNHK富山放送局。5年の歳月を過ごしてそれなりの「富山通」を
自認していましたが、森田裕一著『富の山の人』を読んでますます興味を持ちました。
今回は、330年続く不変不滅の仕事のシステムを著者の森田裕一さんが紹介します。
富山出身の著名な経済人は、安田財閥の安田善次郎、コクヨの黒田善太郎、YKKの吉
田忠雄、ホテルニューオータニの大谷米次郎、丸井グループの青井忠治などがいます。
錚々たる創業者たちが大きな影響を受けたのは「おきぐすり」配置家庭薬の哲学です。
「先用後利」と呼ばれ、まず家庭薬をお得意先に預けて、自由に使ってもらい、半年後
に訪問したとき、使った分だけの薬代を頂戴し、使わなかった分も新しい薬と交換する
というビジネススタイル。会話を重視して各家庭に合わせて薬を配置することも大切。
「おきぐすり」の発祥は江戸の元禄。富山藩主前田正甫が参勤で江戸城に登城したおり
腹痛で苦しむ福島藩の重鎮に『反魂丹』を処方して治した一件が、全国的に知れ渡って
各藩がこぞって富山の薬を利用するようになったとされ、以来330年続いています。
また当時の富山藩は財政難で、正甫公が主導する財政再建事業と位置づけられました。
東京生まれの森田さんは従事30年でのべ8万軒の家庭を訪問。富山出身の父重雄さん
は従事67年の現役販売員でのべ20万軒以上の家庭を訪問、4代続く顧客もいます。
「おきぐすり」の「成功の7条件」は、礼を尽くす・売ろうとしない・得意先を親戚と
思う・研究熱心・付加価値・ルールを守る・勝てる場所に行く。前の5つはお客様との
接点で生じる事項であり、後の2つは江戸時代以来の置き薬商人がこの商売を確かなも
のとするために実行してきたことです。江戸時代から続く「仕事の哲学」の教えです。