(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2023年2月 9日
2月5日 第552回放送
「アレ、ソレ、コレで言うことが多く、固有名詞が出てこない」と6月に古希を迎える
村上さんが言えば、鎌田さんは「忘れてもいいことは忘れていい、その方が楽になる」
そして「人生の8割は忘れていいことだと思う」と説きます。テーマは『忘れる力』。
人間は記憶と忘却をコントロールすることができません。忘れてしまいたいことはいつ
までも覚えているし、覚えておかなければいけない記憶は、いつしか薄れていきます。
だけど60歳過ぎたら「忘れること」をプラスに考えて「忘れるからこそ楽になれるし
何度も新鮮な感動を味わえると考えたらいい」ということで『60歳からの忘れる力』
を上梓しました。例えば、鎌倉幕府の成立は?「イイクニ作ろう鎌倉幕府」1192年
と覚えましたが、今は「イイハコ作ろう鎌倉幕府」1185年に変わっています。そも
そも記憶には容量があります。さらに老化も加わって益々「忘れる力」は進化します。
記憶の容量をオーバーしたものは「忘れていいもの」と開き直っていい。よく考えると
人生において絶対に覚えていたいことは2割程度。あとの8割は忘れていいことです。
また、老いに対して負のイメージを抱きがちですが、それも忘れていい思い込みです。
アメリカのワシントン大学が高齢者と20代の若者に6種類の認知テストをした結果、
記憶力と認知スピードは若者。言語力と空間推理力、計算力、抽象的推論力は高齢者が
勝ったことから「年を取ればすべてが衰えていく」と思うのは間違いで、忘れていい!
1歳8か月で養子に出された鎌田さんは、実母に対するわだかまりを抱えていましたが
昨夏、仏壇に手を合わせて、実母の微笑む遺影に「捨てられた悲しみは全部忘れた」と
吐露。忘れる事は人生の推進力になります。より自由に生きるために、忘れましょう!