(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2022年3月31日
3月27日 第507回放送
「明けましておめでとうございます(今年は)ぼけますから、よろしくお願いします」
母親のユーモラスな新年の抱負を捩って2018年に公開し20万人を動員した話題作
の続編『ぼけますから、よろしくお願いします~おかえりお母さん~』が公開中です。
この作品の監督・撮影・語り&ひとり娘の信友直子さんをゲストに迎えての鼎談です。
前作『ぼけますから、よろしくお願いします』は認知症の母親と耳の遠い腰の曲がった
老父の暮らしを、ひとり娘である信友直子監督が自身の視点で丹念に映し出したことに
より、広く多くの人に普遍的な物語として捉えられ、夫婦や家族のあり方を改めて見つ
めるきっかけとなった作品です。年を追うごとに深刻化する「老老介護」や「認知症」
に関する問題の実態も浮き彫りにし、信友家の出来事が他人事ではなく自分事として捉
えることができるので、キュメンタリー映画としては異例の大ヒット作となりました。
今作『同~おかえりお母さん~』は前作で始まった介護生活のその後を描いています。
母親の認知症は進み、さらに脳梗塞を発症。入院生活が始まると父親は手押し車で面会
に1時間かけて行きます。昔気質で家事などしなかった父親が90過ぎて家事をこなす
ようになり、更に「わしが動けるうちは帰らんでええ」と東京暮らしの娘を拘束せずに
常に気丈に振る舞う父親。そんな中で新型コロナの感染予防で面会が困難になります。
そして、コロナ禍で母親は旅立っていきます。老いて弱っていく一方の母親の姿と気丈
に振る舞う父親の姿を直子さんは「娘としての慈愛」と「映画監督としての客観性」の
はざまで見事に描き切りました。信友監督は「体感型ムービー」で見やすく「父と母の
愛情物語」のように明るく仕上がった自信作といいます。紹介した2人も推薦します。
2022年3月23日
3月20日 第506回放送
「努力は必ず報われる」とか「努力は人を裏切らない」など、何かを成し遂げたい時や
達成した時によく使われ、努力することの大切さを説いています。でも、必ず報われる
かと言えば、報われない場合も裏切られる時もあります。今回のテーマ『努力』です。
鎌田さんが「努力の人」と認める画家の原田泰治さんが亡くなりました。いつも傍らで
その姿を見てきました。原田さんは小児麻痺に罹り両足が不自由なハンデを抱えながら
も開拓農民として過ごした伊賀良村の思い出や、信州各地を取材して原風景を描き続け
更に47都道府県を巡り、残さなければならない古里の原風景を「日本の宝」として描
き続けました。心安らぐ素朴画家を志したのは旧ユーゴスラビアのイワン・ラブジンの
素朴な作品に感銘を受けたことが切っ掛けです。古里の原風景を描いた原田作品は日本
から欧米、南米へと世界に羽搏きました。諏訪市の「原田泰治美術館」には花を手向け
て静かに手を合わせる弔問者がいます。鎌田さん等は9月に『泰ちゃん祭り』を予定。
村上さんは北京冬季五輪に出たオリンピアンの言葉を紹介。男子フィギュアスケートの
羽生結弦選手の発言「努力って報われないなって思いました」足首に負傷を抱えながら
大技の4回転半ジャンプに挑んだ姿に皆は称賛を送りましたが、メダルを逃しました。
女子スピードスケートの小平奈緒選手も五輪前に不運にも捻挫をしてしまい、4年間が
台無しになり「努力が台無しになることは、人生の中である」ことを悟ったそうです。
更に、村上さんが各地で開催している『ことば磨き塾』でも「努力」をテーマに活発な
意見が交わされたエピソードを紹介。◆『緊急!ウクライナ支援』JCF「日本チェル
ノブイリ連帯基金」は、ウクライナの母子避難民に支援を届ける活動を行っています。
2022年3月17日
3月13日 第505回放送
高齢者の一人暮らしで起こる問題は?東日本大震災後の仮設住宅・復興住宅に住む方々
の事例で浮かび上がりましたが、いま新型コロナ禍でよく似た課題が露呈しています。
独居生活は社会との断絶を起こしやすく、低栄養や認知症の発症リスクが高まります。
「諏訪中央病院」で内科外来を担当している鎌田さんは、認知機能の低下が心配される
人が増えてきたと言います。今回のテーマ『認知症にならないための生活習慣』です。
高齢者では「水の出しっ放し」や買い物に行ったのに「買い忘れ」等のうっかりミス。
50代60代の比較的若い世代でも「仕事の段取りが悪くなった」や「ミスが増えた」
という声が目立つそうです。認知症になる前には「軽度認知障害」という段階が知られ
ていますが、さらにその前に「主観的認知障害」という状態があります。俳優の名前が
出て来ないなどがコレです。仕事に支障はありませんが、効率が悪い実感はあります。
認知症は慢性炎症が原因と言われるようになり、高血圧、高血糖、歯周病、ストレスは
要注意です。それを防ぐためには抗酸化力のある野菜を食べること。もう一つは、頭と
体の両方を同時に使う運動「コグニサイズ」で脳寿命を伸ばす方法です。例えば足踏み
をしながら、数を数えていき5の倍数の時に一人しりとりをします。1、2、3、4、
ゴリラ、6、7、8、9、ラッキョウと続け50まで。4つ前に何を言ったか、数字を
言いながら忘れない「短期記憶」の訓練になります。ウォーキングやかかと落とし運動
も有効です。また日常生活の中のちょっとした行動変容も脳の刺激になります。商品を
渡す時にお客様の顔を覚えるとか、認知機能を高めるために「手書き」する。もう一つ
「自分は若い」と思うことで習慣を改善し、体に思い込ませ、行動変容を起こします。
2022年3月 7日
3月6日 第504回放送
ウクライナに侵攻しているロシア軍が数か所の原子力発電所を攻撃し掌握した?の報道
に鎌田さんは「チェルノブイリ周辺に知人がいるので心配」といいます。原発への攻撃
は国際法で禁じられた危険行為であり、爆発事故につながらないことを切に願います。
今週のテーマは『最近気になる言葉』を俎上に載せ鎌田さん村上さんが語り合います。
東日本大震災の「311」からまもなく11年。被災地東北の人々の声を聴き、思いを
馳せてきましたが、今年は少し様子が違うと村上さんの報告です。福島県在住の詩人の
和合亮一さんから聞いた話では、去年に比べて静か。今まで手を差し伸べてもらったが
今度は差し伸べる番といい、仲間の詩人と大規模噴火で被害を受けた「トンガ支援」を
呼びかけるそうです。更に「コロナ禍の詩」を読み続けているので朗読で紹介します。
鎌田さんが選んだ言葉は『親ガチャ』です。カプセル入りのおもちゃ「ガチャガチャ」
がゲームになって派生した言葉で、本人の意思が反映しないことから生まれてくる子は
親を選べないという意味です。経済力や文化的資産の有無で子どもの成長は大きく影響
を受けるのは事実としても、中高年が聞くと眉をひそめ「嫌な流行語だなぁ」と思うが
『あなたのいばしょ』の大空幸星代表は「自己肯定を図るための救いの言葉に感じる」
そうです。格差社会の中で苦しんでいる若者たちが、生きやすくなることを望みます。
村上さんは経営者専門テーラー末廣徳司さんの『未来の自分に似合う服を着る』です。
今似合う服を着るのは「現状維持の人生」であり「理想の自分に似合う服を着る」のは
装いが自信を生み、化学反応が起き、自身を活性化出来る。見栄えを変えると自分が変
わり、未来のなりたい自分に変身出来るという論。服には「その気にさせる効果あり」
2月27日 第503回放送
最近の村上さんの口癖は「ふわふわぁ~、ふわふわぁ~」です。ふわふわぁ~と言って
いるとフワフワした気分になれるからです。「ほぐす・ゆるめる・のばす」という言葉
を口にしただけで、気分はほぐれ、体もゆるんだり伸びてくる気がします。精神的にも
肉体的にも好影響をもたらす『ほぐす・ゆるめる・のばす』をテーマにお届けします。
鎌田さんが学生時代から愛読しているアランの『幸福論』の中に「ときほぐす」という
プロポ(短い文章)があります。そこには「自分の苦患に身をまかせる人は、たちまち
不幸に、意地悪くなる。これは私たちの肉体の構造からいって、避けがたい事である。
人間の心は外的条件に大きく左右される(略)...」カラダとココロと立ち居振る舞いは
繋がっているということを示しています。有名な「幸せだから笑う訳ではない、笑うか
ら幸せになれるのだ」という一節があります。強い意志を持って微笑みなさいという。
また、ストレッチして筋肉や筋膜を「ほぐし、ゆるめ、伸ばす」と気持ちいいですね。
村上さんは西村貴好さん著『背筋がスッと伸びる日本語』を紹介。使う言葉でその人の
品性が定まり、口にする言葉で、背筋が伸びたり、姿勢が崩れたりすると指摘します。
「安に居て危を思う」意味は、平穏な状況にあっても危機に対して備えることが大切。
棋士の藤井聡太さんも使った僥倖(ぎょうこう)は、幸せに幸せを重ねたような心境。
「人間(じんかん)到るところに青山あり」人間は人の住む世界、青山はお墓のこと。
幕末の僧「月性」が故郷(山口県)を後にするときに書き残した『将東遊題壁詩』の中
にあることばです。意味は故郷に骨を埋めなくても、いろんな場所で活躍すればいい。
而今(じこん)の意味は、今この一瞬を精一杯生きる。知れば背筋の伸びる言葉です。