(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2020年8月24日
8月23日 第424回放送
新型コロナウイルスの蔓延による日常の変化で「ステイホームで読書の機会が増えた」
を挙げる人がいます。もともと本好きの鎌田さんと村上さんもさらに読書量が増えたと
か。今回は「世の中の出来事と関連付けて鎌田&村上が最近読んだ本」を紹介します。
森鴎外の『高瀬舟』を再読した鎌田さん。京都で起きたALS(筋萎縮性側索硬化症)
患者「嘱託殺人事件」で、女性患者の依頼を受け薬物を投与して殺害したとして医師の
2人が嘱託殺人の容疑で逮捕起訴されました。女性が「安楽死」を希望していたとして
この事件を契機に安楽死の是非を議論するのは納得できないという鎌田さん。その理由
は積極的安楽死が許されるための4つの条件の1つしか条件を満たしてないからです。
鴎外の『高瀬舟』は弟を殺害した罪で遠島になる兄の喜助と護送する同心庄兵衛の話。
首を切って自殺を計り苦しむ弟に遭遇した喜助は「苦しいから刃物を抜いてくれ!」と
いう弟に、抜いたら大量出血で死ぬのはわかっていたが弟の願いを聞き入れたのです。
折悪しく近所の婆さんにその現場を見られて、喜助はお縄になり罪人として遠島の身。
庄兵衛は「喜助の行為は果たして殺人なのか」と思い、鴎外も読者に結論を委ねます。
「安楽死」について国民的議論をする必要はあるが、事件を端緒にせず落ち着いた状況
の中で自分の命を自己決定する条件は何かを議論する時が来るという見解の鎌田さん。
村上さんは斎藤孝著『極上の死生観』を紹介。死生観とは生と死に対する個人の考え方
で、生の意味を問い続けて死の不安に打ち克つこと。還暦過ぎたら普段からどう生きて
どう死ぬかを考えておく必要がある。もう1冊は池上彰著『伝える仕事』です。難しい
ことをやさしく面白く伝える達人の池上さんが手本にした先達の伝え方を紹介します。