(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2019年4月30日
4月28日 第356回放送
皇位継承に伴う10連休という今年のGWです。生活への影響を防ぐため特に医療関係
では受診可能な医療機関をリスト化、また訪問看護や通所介護も全休にせずサービスを
提供する対応をとっています。そうした連休中も仕事をされている方々で、忙中閑あり
な人に息抜きとなる作品を鎌田さんと村上さんが選んで紹介する『お勧め映画』です。
まずはアカデミー賞作品賞、脚本賞、助演男優賞を受賞した米映画『グリーンブック』
グリーンブックは1966年まで毎年出版されていた黒人が利用可能な施設を紹介した
旅行ガイドブックです。黒人天才ピアニストのドクター・シャーリーと、彼に雇われた
粗野で無教養な白人運転手のトニー。出自も性格も全く異なる2人は人種差別が根強く
残る南部へ旅立ちますが、その先々でひと悶着が起きる物語です。幾重にも人間が作り
出す差別が組み込まれている社会派映画ですがユーモアもあり、友情も芽生える秀作。
2本目の『12か月の未来図』は、フランスでいま大きな社会問題となっている移民の
子供たちが直面する学力低下と教育の不平等を描いた作品です。物語は名門高校の教師
フランソワがある日突然、パリ郊外の教育困難中学に送り込まれるところからスタート
艱難辛苦を共にしながらも、ベテラン教師の意地で問題児たちと対峙し、問題を克服。
3本目は鎌田さんが推す『多十郎殉愛記』というチャンバラ映画。幕末の京都を舞台に
主人公の長州浪人多十郎は、尊王攘夷の夢もなくすが、愛する者のために太刀を振る。
4本目の『バイス』はジョージ・W・ブッシュ政権下で副大統領を務めたチェイニーを
描く社会派ドラマ。5本目の『記者たち』もブッシュ政権下でイラクのフセイン政権を
倒壊させるために仕組んだ「大量破壊兵器保持」情報に疑念を抱き追及する記者の話。
2019年4月22日
4月21日 第355回放送
「平成」に代わる新元号「令和」が公表されて以来「万葉集」や「大宰府」など新元号
に因んだ話題が脚光をあびる一方で「平成」を懐かしむ商戦もピークを迎えています。
この30年間に流行した商品の復刻版が人気で、カラオケでは流行歌が歌われています
昭和20年代生まれの2人が『昭和と平成を思い出のヒット曲と共に』振り返ります。
1964年(昭和39年)の「東京オリンピック」で聖火ランナーを見ようと出掛けた
高校1年生の鎌田少年が見たものは?小学5年生だった村上少年はアベベ選手の力走を
鮮明に記憶しているといい三波春夫『東京五輪音頭』を聴く。また世間が五輪ムードで
盛り上がっている同年に流行した和田弘とマヒナスターズ・松尾和子の『お座敷小唄』
は意味も知らずに歌った村上少年の選曲。1972年(昭和47年)9月に発売されて
わずか3か月で「日本レコード大賞」を受賞した異例のヒット曲ちあきなおみ『喝采』
医大2年生で人生を模索していた鎌田青年の心に沁みた歌としてリクエストされました
1975年(昭和50年)に子供向けの番組から誕生した『およげ!たいやきくん』は
日本で一番売れたシングル盤として燦然と輝いている名曲で、歌はもちろん子門真人。
1989年(昭和64年から平成元年になった年)に誕生した『川の流れのように』は
昭和の歌謡界を牽引した女王・美空ひばりを代表する曲の一つ。この年に「人生最後の
コンサート」を北九州で開催し、6月24日に「昭和の歌姫」は昇天。日本で最も売れ
た「歴代シングル」1位の『およげ!たいやきくん』に対して、平成の世で最も売れた
SMAP『世界に一つだけの花』は2003年(平成15年)発売ですが解散の報道が
あった2016年1月に解散を望まないファンによって再び注目を集めたヒット曲です
2019年4月15日
4月14日 第354回放送
「熊本地震」から3年。復興が徐々に進む中、いまだ16500人以上が仮設住宅など
で生活。被災者の暮らしをどのように再建するのか、熊本県や各自治体によるきめ細か
い支援が欠かせません。今回は「3年経った熊本の今」を現地の声と共に紹介します。
熊本県出身の絵本作家葉祥明さんの作品を展示している『葉祥明阿蘇高原絵本美術館』
は2002年に南阿蘇村に開館。祥明さんの実弟で館長の葉山祥鼎さんがこの地を一人
で開墾し、絵本の世界を広げてきました。村上さんは開館以来、何度となく足を運んで
来ましたが熊本地震後は初めての訪問。葉山さんは南阿蘇の美術館が被害を受けた時も
「大丈夫!」と落ち込むことなく、被災や復興状況を冷静に把握し、被災した美術館の
復旧に向けて陣頭指揮にも当たっていました。ところが、震災から3年経ったが崩落し
た阿蘇大橋はいまだに再建叶わず、国道57号線も迂回しなければ通れない状況です。
絵本館に来る客は激減。一日数人のこともあるといい、絵本館スタッフも、精神状態が
不安定になり休んでいる人もいるといい「震災の影響は、ボディブローのように、今頃
になって効いてくるんですよ」と笑顔なく、呟くように村上さんに語られたそうです。
続いて『熊本市動植物園』の獣医師・井手真司さんが登場。熊本地震で被災し部分的な
開園を続けていた同園は2年8か月ぶりに昨年12月に全面的に再開しました。当時は
大きな余震が続き、チンパンジーなど動物たちは怯え落ち着かない様子だったという。
大型連休には「動物の元気な姿ときれいになった園内を見て欲しい」と語る井手さん。
更に東海大学農学部の学生有志による団体『阿蘇の灯』の初代代表の橋村さくらさんが
登場し、被災した南阿蘇村で世話になった大家さんたちとの交流を続ける活動を紹介。
2019年4月 8日
4月7日 第353回放送
4月から新しい環境の中でスタートを切った人も多いでしょう。環境は変わらなくても
新年度の節目に「心機一転」という人もいます。そうした方々にエールを贈る意味から
今回は「心に留めておく言葉」とともに『ボクたちの好きな日本人』をお届けします。
まずは鎌田さん憧れの開高健。戦争、食、釣りなど人の生き様をテーマに多くの小説や
エッセイを残し、芥川賞や菊池寛賞などを受賞した作家。昭和36年、洋酒メーカーの
有名なキャッチコピー「人間らしくやりたいナ/トリスを飲んで/人間らしくやりたい
ナ/人間なんだからナ」を書きました。社会の中で「自分」を見失いかけても、自分の
身の丈を知って自分らしく過ごせばそれで良いんじゃないかと思わせてくれる名言です
開高の3大テーマは食と生と死「生まれるのは偶然/生きるのは苦痛/死ぬのは厄介」
見事にまとめています。また、かつて開高が通った新橋演舞場近くのフランス料理店の
シェフとの交流や、その店に鎌田さんが通うようになった経緯なども併せて紹介する。
村上さんは境野勝悟著『良寛軽やかな生き方』をベースに「良寛」を紹介。越後の名主
の長男として生まれた良寛は村人に期待されながらも18歳で名主への道を捨て出家。
厳しい禅の修行を積み、大和尚の地位を得たが、僧侶の位や権威を一切振り切り帰郷し
子どもたちと遊ぶことを禅の修行とした。名言「昨日、是とせしところ/今日、また非
なり/今日、是とせしところ/いずくんぞ、昨日の非にあらざることをしらん」意味は
昨日良いと言われたことが、きょうは悪いと言われる。きょうの良いが、昨日は悪いと
思われていたことを知らなきゃいけないよ。3人目は「空海」を取上げて密教の大事な
理念「意密・口密・身密」更に「欲望を肯定することが生きる源泉になる」等を解説。
2019年4月 1日
3月31日 第352回放送
あすから4月。新年度がスタートします。入社や転勤、転職で生活環境が大きく変わり
学生諸君は進学・進級で生活スタイルが変わります。慣れない職場や学校で体調を崩し
たり、大きなストレスを負う時季です。変化の大きいこの時季を健康のまま乗り切って
欲しいし、新年度の始まりにあわせて「健康維持のためのいい習慣」をつけて欲しい!
という願いを込めて老若男女共通『ドクター鎌田の健康アドバイス』をお届けします。
まずは、大事な臓器「血管」について。日本人の死因上位10のうち4つが脳卒中など
「血管に関係する病気」です。肺や心臓、肝臓とともに人間にとって最重要の臓器とも
言われる血管です。血管には動脈、静脈、毛細血管があります。全て合わせてその長さ
は?なんと全長10万kmで地球の赤道を2周半するほどの信じがたい長さ。更に血液
が全身を巡る速度は?およそ1分。それを可能にしているのが血管です。血管を大事に
しないと病気になるのは自明の理。血管の老化の原因の一つは酸化です。そこで酸化を
防ぐためには、野菜を食べること。国は野菜を1日350g摂るよう推奨していますが
摂りづらいので、野菜ジュースや温野菜でカサを減らして摂りましょう。更に柔らかく
若い血管で居続けるためのコツは「血糖値を上げない」こと。血糖値が高くなり糖尿病
になった人は、動脈硬化が起こりやすくなります。そのために良いのは野菜をたくさん
食べて「運動する」ことです。かかと落とし運動、スクワット、ウォーキングも血糖値
を下げる「有酸素運動」が大事です。さらに運動した後、タンパク質を摂るのが有効で
1日150gを肉や高野豆腐などで不足しがちなタンパク質を補いましょう。村上さん
が日本競輪学校(静岡県伊豆市・滝澤正光校長)で特別授業をした様子も報告します。