(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2018年12月31日
12月30日 第339回放送
平成最後の年末となる2018年がまもなく幕を閉じます。ワザワイの「災」の字が今
年を表す漢字に選ばれました。大規模な自然災害が多く発生した年であり、パワハラや
詐欺など人災も話題になった年でした。一方、明るい話題としては羽生結弦、大谷翔平
大坂なおみの世界的活躍や、十代アスリートの目覚ましい活躍もあり、本庶祐京大特別
教授の「ノーベル生理学・医学賞」受賞という朗報も話題になりました。さらに今年は
昭和から平成にかけて各界で活躍した著名人が鬼籍に入られた年でもあり鎌田&村上の
パーソナリティが親交のあった故人との想い出を語りつつ2018年を振り返ります。
まず村上さんが挙げた名前は1月に没した星野仙一さん。闘いに明け暮れた野球人生。
現役時代は、マウンドで雄叫びを上げては打者をねじ伏せ、監督になってからは強烈な
リーダーシップで、中日、阪神、楽天と3つのチームを頂点に導き名将と呼ばれた男。
鎌田さんは「広島カープの鉄人」こと衣笠祥雄さんの雄姿を思い出しながら死を悼む。
聴取者から「女優樹木希林さんの死を覚悟しながら最後まで自分らしさを全うした姿に
感銘を受けた」というメールに対し鎌田さんが樹木さんの自宅に招かれた時の話を披露
更に、津川雅彦さん朝丘雪路さん夫妻が2人揃って旅立たれたことに触れ、映画ファン
の鎌田さんらしい俳優評を語る。また、俳人の金子兜太さんからのハガキを宝物にして
いる村上さんは父親との想い出を重ねて氏との秘話を話す。歌手の西城秀樹さんの闘病
と死亡に触れ、役者としての才能も評価。秀作の『ブルースカイブルー』に聴き入る。
また、故人のバトンを受け継ぐのも残された人々の勤めということを踏まえ、今年活躍
した棋士の藤井聡太七段や女優の安藤サクラさんに期待を寄せる想いを熱く語ります。
2018年12月25日
12月23日 第338回放送
玄関やロビーにはクリスマスツリーやリースが飾られ、街にはイルミネーションが煌き
軽快なクリスマスソングが流れてクリスマスモード満載です。今回はクリスマスを題材
にした小説、絵本、歌を紹介。鎌田&村上「鎌信劇場」は"あの名作"に挑戦します。
世界的な名作でクリスマスの定番といえば?芝居にもなり映画化もされたチャールズ・
ディケンズの『クリスマス・キャロル』が挙げられます。舞台は約170年前、英国の
ロンドンの下町。主人公のスクルージは、強欲で、エゴイストで、ケチで、思いやりの
かけらもない商人で皆の嫌われ者。クリスマス・イブの夜、そんな彼の生き方を変える
ために「3人の幽霊」が現れ、彼に関する過去・現在・未来の様々な光景を見せます。
特に「未来の幽霊」によって見せられた衝撃的な末路が教訓となり、彼は改心します。
公開中の映画『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』
は、ヒット作が書けずに、家族と貧乏生活を送っていた作家ディケンズが代表作となる
『クリスマス・キャロル』を書き上げるまでの物語。この映画にも守銭奴のスクルージ
が登場。3人の幽霊に啓示を与えられ生き方を変えていく物語の誕生を描いています。
オー・ヘンリーの代表作となった短編小説『賢者の贈り物』もクリスマス・イブの物語
貧しい若夫婦はお互いプレゼントを買うお金を工面するため一大決心をする。妻のデラ
は夫の金時計に似合う鎖を贈り物として買うために、自慢の美しい長い髪を切って売り
一方、夫のジムは妻が欲しがっていた鼈甲の櫛を買うため、時計を質に入れてしまった
物語の結末で、この一見愚かな行き違いが、最も賢明な行為であったと結ばれている。
絵本『ゆきの日』菊田まりこ作/絵(白泉社)もクリスマスの一夜を描いたメルヘン。
2018年12月17日
12月16日 第337回放送
2018年一番売れた本は80年以上前の吉野源三郎の名著を漫画化した『漫画君たち
はどう生きるか』でした。旧制中学校に通う少年が、叔父との対話を通じて貧困や差別
などの社会構造や人間関係とどう向き合って生きていくかを深く問いかける児童小説。
2位はエッセイ漫画の『大家さんと僕』で3位は児童書の『ざんねんないきもの事典』
いずれも子どもに限らず幅広い世代に支持されました。今回は「おススメの本」です。
◆『脱・呪縛』鎌田實著/こやまこいこ絵(理論社)。人生は生まれた所、育った環境
出会った人など、自ら選びようのないことにも影響される。人間は呪縛から逃れられな
い生き物か?中学生・高校生に向けて、いかに「生きづらさを生む呪縛」から自分を自
由にしていくかを説いている。偏差値ならぬ「変さ値」が大事で、自縛からの解放も!
◆『JALの奇跡』大田嘉仁著(致知出版社)。経営破たんした日本航空の再生を託さ
れた稲盛和夫さんの「奇跡」を秘書として仕えた著者が執筆。京セラの「敬天愛人」の
社是さながらに純粋な善き思いが人を動かすという「稲盛哲学」の実践物語が読める。
◆『いのちの値段~医療と費用を巡る50の物語』読売新聞医療部(講談社)。医療は
人々の暮らしのなかに影のように寄り添って存在する。だからこそ医療と医療費を巡る
現場には現代社会のゆがみが凝縮されている。そこで「いのち」と「費用」が織りなす
社会の断面を市井に生きる人々の痛みを共有しながら50の物語として描いています。
◆『才能の正体』坪田信貴著(幻冬舎)。ビリギャルの小林さやかを導いた著者は自称
「才能研究家」で、才能は誰にもあるが、開花させずに潰すことばかりしていると説き
自らの才能に気づき、伸ばす方法を伝授してくれる本。発明王エジソンの言葉に納得!
2018年12月 3日
12月2日 第336回放送
観ると元気が出たり気分転換になったり、時に人生の教訓を学べるのが「映画」です。
フィルム上映からデジタル上映に切り替わった2011年以降は年間公開本数が倍増し
去年は洋画邦画併せて1187本が公開されました。果たして今年は何本になるのか?
その中から映画好きの鎌田さんと村上さんが秋冬公開の「お薦め映画」を紹介します。
『日日是好日』大森立嗣監督。エッセイスト森下典子さんが25年にわたり通った茶道
教室での日々をつづり人気を集めたエッセイの映画化。女子大生の典子は、本当にやり
たいことを見つけられず漫然とした日々を送っていたが、タダモノではないと噂の茶道
教室の先生との出逢いで、毎年同じことが出来る幸せこそ「日日是好日」と気付く話。
『エリック・クラプトン~12小節の人生』リリ・フィニー・ザナック監督。ギターで
物語を語れるアーティスト、エリック・クラプトンの波乱に満ちた壮絶な人生を貴重な
アーカイブ映像とともに赤裸々に映し出す珠玉のドキュメンタリー映画。幼くして母親
と別れ、親友の妻に横恋慕、薬物や酒に依存、最愛の息子の事故死、そこからの復活。
『ボヘミアン・ラプソディ』ブライアン・シンガー監督。世界的なバンド「クイーン」
のリードボーカルで91年に昇天したフレディ・マーキュリーの伝記映画。フレディは
インド移民のマイノリティであり、ゲイであり、容姿にコンプレックスを抱きながらも
良き仲間と共に己の流儀を貫き世界的バンドへと飛躍していく。圧巻はエイズで死期を
察した彼が20世紀最大のチャリティ・イベント『ライブ・エイド』のステージで観衆
7万5千人を前に命懸けの熱唱。歌える「応援上映館」では共鳴して最高潮に達する。
『散り椿』木村大作監督。岡田准一さんの殺陣と美しい映像が見所の時代劇映画です。