(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2018年11月26日
11月25日 第335回放送
1歳の乳児から100歳の高齢者まで楽しめるのが「絵本」です。東京都健康長寿医療
センター研究所の藤原佳典研究部長らの研究で、シニアボランティアが子どもに絵本を
読み聞かせするプロジェクトで検証した結果、認知症予防につながる事が判りました。
今回は2人が推薦する「絵本」と鎌田さんが初めて手掛けた「紙芝居」を紹介します。
『こわいかおのライオン』文と絵:たざわあきこ。一匹のライオンがいた。ライオンは
生まれたときから強いから、笑ったりしないできりっとした顔でいるように言われた。
だから動物たちは近づいてこない。ライオンも友達なんか要らないと強がってみせたが
彼の檻の前で少女が笑顔になると、彼もつられて笑顔になり、初めて温かさを感じた。
『百年たってわらった木』文:中野美咲/絵:おぼまこと。森の中にとてもかっこいい
木が立っていた。ぐんとのばした枝、するどい葉っぱ、ツルツルピカピカの肌。いつも
威風堂々としているので友達もなく淋しい思いの日々。堂々の振舞いに疲れうなだれる
と、垂れた枝や葉が木陰を作り、そこにリスや小鳥が集まって友達が出来たという話。
『二番目の悪者』文:林木林/絵:庄野ナホコ。金色のたてがみを持つ金ライオンは王
になりたかった。自分こそが王にふさわしいと思っていた。ところが、街はずれに住む
優しい銀のライオンが「次の王様候補」と噂に聞く。金のライオンは銀のライオンの悪
い噂を吹聴。動物たちは自分で確かめず、噂を信じて金のライオンを王にする話です。
紙芝居『かまた先生のアリとキリギリス』文:鎌田實/絵:スズキコージ。イソップ版
の『アリとキリギリス』は「働かざる者食うべからず」の教訓として知られていますが
鎌田版はアリとキリギリスが差異を認め合い、理解し合う心を持とう!という話です。
2018年11月19日
11月18日 第334回放送
ココロもカラダも健やかに!これは人類の理想ですが老いに阻まれることもあります。
その老いに伴う病気の一つに「認知症」があります。認知症と認知症前段階(MCI)
の人も加えると65歳以上の3~4人に1人の割合になります。むやみに恐れる必要は
ないが、老いとともに起こりえるものという認識は必要で、テーマは「認知症」です。
「認知症」の人は記憶や判断力の障害により、社会生活や対人関係に支障をきたす状態
になりますが、程度によって出来ることもあり人に役立つ仕事をしている人もいます。
名古屋にある『おれんじドアも~やっこなごや』という認知症当事者の会の代表・山田
真由美さんは7年前の51歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断され、職場に
居づらくなって退職。家に閉じこもり孤立を深める生活の中で、近所のスーパーで店員
が戸惑っている山田さんに声を掛けて会計処理がスムースに運んだことを機に認知症を
隠さず「勇気を持って周りに伝えれば、たくさんの助けを得られる」と気付き、人との
つながりを取り戻すことができた経験を活かして、去年6月から認知症の当事者自身が
認知症の人や家族の相談に応ずる窓口を区役所内に開きました。認知症でも人の役に立
てることを行政の関連機関で山田さんは実証しています。もう一人は鎌田さんが『陸前
高田の在宅療養を支える会』の訪問先で出会った86歳のトクさん。トクさんは要介護
1で軽い認知症ですが、91歳の義姉ヨシさんの介護を続けています。ヨシさんは寝た
きりの要介護5で、更に脳卒中の後遺症があり言葉もうまく出ませんが、2人の間では
理解できています。鎌田さんが「介護は疲れない?」と聞くと「疲れるけれども私が嫁
に来たとき姉さんがよくしてくれた。そのお返し」という返答に胸が熱くなりました。
2018年11月12日
11月11日 第333回放送
11月11日。東日本大震災から7年8か月が経過しました。月命日の11日には岩手
宮城、福島の3県で行方不明者の捜索が警察署ごとに実施されています。今回は鎌田さ
んと村上さんが東北に行き見聞きした事や東北への想いをゲストと共に語り合います。
宮城県石巻市のグループから「心の復興活動」の一環として「大人の為の絵本朗読会」
を依頼された村上さんが出向いた会場は「レジリエンスバー」という不思議なカフェ。
レジリエンスとは、困難な状況にも関わらず、しなやかに適応して生き延びる力という
意味があり、復元力、回復力とも訳されます。会場の1階は大正時代からの地元地方紙
「石巻日日新聞」が運営する「石巻ニューゼ」で、館内には震災翌日から発行した号外
の手書き「壁新聞」と被災直後の石巻市、東松島市、女川町の写真が展示されています
子どもが取材した記事を3か月に一度の11日発行する「こども新聞」も継続中です。
岩手県陸前高田市に出向いた鎌田さん。震災を機に地域医療や地域包括ケアを説き続け
た縁もあり、ケアマネジャー、訪問看護師、介護士、医師らが『陸前高田の在宅医療を
支える会』が結成され、それぞれの専門性を活かして在宅の高齢者らを支えています。
会のメンバーによる『劇団ばばば』を旗揚げして、仮設住宅や災害復興住宅の集会場で
お芝居を見て笑ってもらいながら、健康づくりや介護予防のノウハウを広めています。
後半は、福島県「浜通り」の復旧復興に関わるキーパーソンの『石川建設工業』石川俊
さんが登場。震災直後、津波で荒れた道路を整備して自衛隊などの車両が通れるように
した石川さん。震災後も南相馬市に残り被災地の医療を守り続けた高橋亨平先生の遺志
を継ぎ、市の目標に向かい再生エネルギー事業を興し、祭りの再興に尽力しています。