(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2018年6月18日
6月17日 第313回放送
「父の日」です。父の字源は斧と手を組み合わせた形からできたそうで、斧は指揮権の
象徴として考えられていて一族を指揮する者という意味で使われていたそうです。一方
母は女という字に乳の点を二つつけた形で子を生み育てる母親の役割を表しています。
現代は、母親に比べて父親の存在が弱いようなので今回は「父親の役割」を考えます。
昭和を代表する文豪の三島由紀夫と、20世紀に活躍した米人作家の中で最も愛された
アーネスト・ヘミングウェイは、ともにマッチョマンの印象が強い巨匠ですが、その裏
には、エキセントリックな祖母や強い母親が居て父親の存在が薄まってしまった様子。
三島の父は農商務省の高級官僚、母は有名な漢学者の娘というまさに非の打ち所のない
エリート家庭に生まれました。しかし、祖母・夏子の過保護ぶりはすさまじく、自分の
部屋に引き取り、母は授乳の時に会うのみといった徹底ぶり。遊びも女児とのままごと
や折り紙をするだけ。その反動から男らしいものに強い憧れをもつようになったとか。
ヘミングウェイは父親から釣り、狩り、ボクシングなどを楽しむ生活習慣を学びますが
なぜか母親は彼を認めず、4歳まで女の子の格好をさせられていたそうで、関係は最後
まで修復されずに終わったそうです。3人目は本気で息子を「買い被ってくれた父親」
NHKの幼児番組『できるかな』で20年間「のっぽさん」を務めた高見のっぽさん。
父親から貶されたことがないから自己否定しないし子どもたちを見下さず全肯定する。
最後はウィンナ・ワルツの作曲家「ヨハン・シュトラウス」1世2世の父子の確執です
父は同じ音楽の道に進んだ息子を快く思わずに、成長の芽を摘み取ろうとし、成功への
機会を邪魔しますが、最終的に父子の確執は雪解けし、父を超えた存在となりました。