文化放送

鎌田實×村上信夫 日曜は頑張らない

鎌田 實
鎌田 實
(かまた みのる)

医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、 東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会 放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」 「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。

村上 信夫
村上 信夫
(むらかみ のぶお)

1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com

過去の記事

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2017年10月 9日

10月8日 第279回放送

きょうは二十四節季の「寒露」で、本格的な秋の始まりです。人間が最も集中できる気
温は18~25度とされていますが、それゆえ「本に親しむ読書の秋」といわれます。
読書家の鎌田さんと村上さんが「最近読んだお気に入りの本」を2冊ずつ紹介します。

鎌田さんは、文藝春秋の大西康之著『東芝 原子力敗戦』を紹介。東芝問題を語るとき
「粉飾決算」や「半導体事業の売却」の迷走ぶりが印象深い。だがことの本質はそこに
なく、問題は買収したアメリカの原子炉メーカー「ウエスチングハウス社」の経営危機
を隠すための粉飾決算であり、国策と言われた「原発」に活路を見出した買収劇失敗を
指摘。思考停止、無責任、同調主義のサラリーマン全体主義が5兆円企業を滅ばした。
村上さんは、新潮新書の『笑福亭鶴瓶論』戸井田誠著。笑いビッグ3のたけし、タモリ
さんまの共通点は孤独感がつきまとう。だが鶴瓶にはそれがなく幸福感があると指摘。
「落語家ではなく日常家」など鶴瓶を物語るキーワードを紹介しながら人物像に迫る。
続いて『軟骨的抵抗者-演歌の祖・添田唖蝉坊を語る』です。風刺やユーモアに満ちた
添田啞蟬坊の歌は、貧困が拡大する現代の世相に響き合い、心にしみいると鎌田さん。
著者は明治から昭和初期にかけて活躍した啞蟬坊について、啞蟬坊を歌い継ぐ土取利行
と明治の社会運動に詳しい鎌田慧の共著。4冊目は芥川賞作家の田中慎弥著『孤独論』
(徳間書店)を村上さんが紹介。田中さんは、高校卒業後、実家でひきこもっていた。
その間、読書と文章を書くことは続けていた。その時間が芥川賞作家を作ったと言える
田中さんは孤独を恐れてはならないと説く。多くの現代人は、仕事、人間関係、因習で
奴隷になっている。奴隷状態から抜け出す方法は唯一つ。今いる場所逃げることです。

放送分を聴く
放送日:2017年10月8日

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