文化放送

鎌田實×村上信夫 日曜は頑張らない

鎌田 實
鎌田 實
(かまた みのる)

医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、 東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会 放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」 「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。

村上 信夫
村上 信夫
(むらかみ のぶお)

1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com

過去の記事

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2017年1月30日

1月29日 第243回放送

いま全国の自治体で頭をかかえている空き家問題。その数は実に820万戸ともいわれ
田舎だけでなく都市部の郊外でも多く存在しています。人口減少や高齢化などの課題が
ある地域に新たな人材を受け入れ、地域活動を通して活性化を図っていくという使命を
おびた「地域おこし協力隊」の女性が「空き家の活用」をしている兵庫県丹波市の話。

京都に隣接する丹波市は、村上さんの父親の故郷で定期的に訪れています。歴史もあり
風光明媚、丹波の霧がもたらす丹波栗、丹波大納言小豆、丹波山芋などは絶品という。
全国的に誇れるものもある街ながら、他の山間部同様に少子高齢化が進み、空き家問題
が発生。丹波市内にある空き家を利活用することで、移住・定住を促し、丹波と都市部
さらに海外を繋ぐような事業にチャレンジしている中川ミミさんが電話で登場します。
日本人の父とエチオピア人の母の間にエチオピアのアジスアベバで生まれたミミさんは
生後間もなく父の仕事場がある丹波市に移住して帰化しました。幼児期から両親と共に
世界各地を訪問したミミさんが強烈な印象を受けた8歳の時のある出来事。それは同じ
年頃の物乞い少女との遭遇。その原体験が国際的な仕事をすることにつながりました。
アメリカの大学に留学し、文化人類学と社会学を専攻。国際協力のNGOでキャリアを
磨きます。「住まい」を切り口に地域活性化や貧困撲滅などを目指して活動してきたが
家は人の人生を大きく左右するものであり、国の内外問わず大切で普遍的なものと自覚
「住まいるバンク」の名で空き家の持ち主と希望者との橋渡しに励んでいます。後半は
愛知県長久手市の福祉拠点で、地域包括ケアがみごとに結実している「ゴジカラ村」は
緑の森の中で幼稚園から養護老人ホームまで多世代が共感して暮らせる安心な街です。

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放送日:2017年1月29日

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2017年1月23日

1月22日 第242回放送

40年前にアナウンサーになり「ことばの持つチカラ」を日々実感している村上さんと
「いい言葉との出会いが人生観まで変えてくれた」という鎌田さん。遊行(ゆぎょう)
という言葉を知り生きるのが楽になったといいます。『遊行を生きる』がテーマです。

「遊行」とは古代インドの考え方に由来し、人生の段階を4つに区分する考え方です。
「学生期」「家住期」「林住期」そして最期が「遊行期」とされていますが、鎌田さん
の考えでは「人生の問題」から解放されて、自分に正直に、肩の力を抜いて、しがらみ
から離れて生きていく大切な時期だと捉え「この時期こそ好きに生きていい」という。
周囲からは「自由に生きている」と羨ましがられている鎌田さんですが、自分では常に
「本当に納得できる人生を送っているのか?」自問自答を繰り返していたといいます。
自分を変える124の言葉で綴る『遊行を生きる』を書き、悩みから脱したそうです。
「遊行」の言葉で村上さんが思い出したのは、平安時代末期の古典『梁塵秘抄』の話。
「遊びをせんとや生まれけむ戯(たわぬ)れせんとや生まれけむ 遊ぶ子供の声きけば
我が身さえこそ動(ゆる)がるれ」。意訳すると「子どもが遊ぶときは、時の経つのも
忘れて、夢中になる。子どもが遊ぶみたいに、夢中で生きたい」という意の歌と解釈。
もうひとつ。1997年の将棋名人戦で、谷川浩司さんが羽生善治名人を破り復位して
記念扇子に揮毫した「名人危所遊」。元は松尾芭蕉のことばで名人と言われる人間ほど
冒険心を忘れず頂上を極めても、胡坐をかかず、危うき所で切磋琢磨する覚悟が必要。
■プレゼント■鎌田實さんのサイン入り『遊行を生きる』(清流出版)を5名に進呈。
ご希望の方は、住所、氏名、電話番号を明記の上、1月27日消印有効といたします。

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放送日:2017年1月22日

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2017年1月16日

1月15日 第241回放送

この冬一番の寒波に見舞われた今週末の日本列島ですが、ヨーロッパは更に強烈な寒波
に襲われ、温暖なエーゲ海の島々でも雪が降り、内陸部にある難民キャンプでの越冬は
非常に厳しい状況下にあるという聴診器でテロと戦う鎌田さんの「イラク報告」です。

昨年末、イラクの病気の子どもたちと、戦火から逃れて来た避難民の医療支援のために
イラク北部にあるいくつかの病院と難民キャンプを訪れた鎌田さん。その拠点になった
アルビルはイラク第2の都市モスルから80キロ離れ、クルド人自治区にあるため治安
は比較的安定している街。そして代表を務める「JIM-NET」と「日本チェルノブ
イリ連帯基金・JCF」の現地事務所があります。モスルは2014年に過激派組織の
イスラム国(IS)によって制圧され支配下に置かれましたが、奪還するためにイラク
政府軍と有志連合等によるIS掃討作戦が3か月続きISを追い詰めている現状です。
そのモスルの戦火を逃れアルビルや近隣の難民キャンプに避難民が押し寄せています。
昨年10月に開設したばかりの「ハーゼルキャンプ」には、8000張のテントに3万
5000人が住み、モスルからの救急車が頻繁に到着するものの、重症者はアルビルの
病院に搬送。キャンプ内の診療所やアルビルの病院では急増する患者にベッドも薬も不
足して、白血病の子どもたちがベンチで過ごしている状況に愕然とした鎌田さんです。
弟をISに殺害された元警察官の男性の怒りや、夫と愛息3人を一度に亡くした未亡人
の悲しみなど悲劇的なリポートの間に、ヤジディー教徒でモスル医科大学に通っていた
女子学生が日本の支援で別の医大に移り卒業。将来は小児科医になる約束をしたとか。
◆愛のある「チョコ募金」の詳細はJIM-NETのホームページでご確認ください。

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放送日:2017年1月15日

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2017年1月 9日

1月8日 第240回放送

世界の潮流は保護主義・排他主義へと「内向き姿勢」を強める状況にあります。持つ者
と持たざる者が選別され、弱者が浮上する機会は更に厳しくなります。内向きにならず
開かれた世界であって欲しい!もっと人にやさしい社会になって欲しい!という願いを
込め、今年2回目の放送は『人や社会にやさしい会社/やさしい組織』を紹介します。

『鎌倉投信株式会社』社長の鎌田恭幸さんが電話で登場。「金融を通して社会に希望と
勇気を与える力になることが天命だと思い、あたたかな投資のあり方を目指して全力を
傾注する」と社会貢献に並々ならぬ強い志をもっている恭幸さん。「鎌倉投信」の商品
『結い2101』は、短期的な株価の値動きで利ザヤを稼ぐ投機とは一線を画すもので
100年先を見据えて子や孫のために残っていて欲しい会社、これからの社会に本当に
必要とされる会社、ファンとして応援したくなるようないい会社に投資する投資信託。
「いい会社」の一例として挙げたのは、食品トレー容器を製造している『エフピコ』で
安全・安心・環境に配慮した製品開発と、障がい者を16.3%雇用し、さらに取引先
のスーパーなどでも、障がい者の雇用を後押し。障がい者をしっかり雇うことで地域で
の評価が上がり、お客さんの数が増え利益も上がっているという共存共栄の関係です。
更に情報・通信業の『サイボウズ』。ITベンチャーとして創業したが、社員は激務に
耐えかねて離職者続出。そこで、社内の働き方改革を推進し、社長自ら育児休暇を3度
取得するなど、自由に働けることで離職率も激減し人気が急上昇。生産効率もアップし
利益も増した。社員を大事にする会社に一大転換したことで新しい投資家を獲得した。
最後にドクター鎌田が幸せな街づくりの為に創設した『地域包括ケア研究所』を紹介。

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放送日:2017年1月8日

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2017年1月 4日

1月1日 第239回放送

2017年の干支は「丁酉(ひのととり)」です。丁は従来の主流がなお持続する中で
下から新しい力が伸びてくる、又、幹を表すとされ、木が成長し繁茂するといわれます
酉は、酒を醸造する器の象形文字から生まれましたが、十二支では縁起の良い鶏です。
そこで新年最初の放送は、酉年に因んで「鶏と共に再起した人」が電話で登場します。

まずは、鎌田さんの知人で東日本大震災の被災者の高橋芳男さん一江さん夫妻が登場。
宮城県石巻市の「入釜谷」という地区は、近隣の医療機関が津波の被害で、高齢住民の
通院が困難になった集落です。震災直後に「諏訪中央病院」のスタッフと共に医療支援
のため被災地に入った鎌田さんが、その時に出会った夫妻です。3月12日に出荷予定
だった9000羽の手塩にかけた鶏を津波に飲み込まれ、鶏舎も流された養鶏業一家。
身体をロープで結び流され溺れかけている人々を救った話や支援を受けて再起した話。
一江さんは、食料やインフラが整わない中で高齢者の楽しみは、月一回の日帰り温泉で
松本市「神宮寺」の高橋卓志住職等の金銭的支援を受けて高齢者を誘って17回実施。
被災した時こそ「日常的な楽しみが必要」とは鎌田さんや高橋住職の考えですがそれを
実行しました。次の実施日を指折り数えて待つ高齢者の姿が支援の大切さを物語ます。
タマゴが大好きな村上さんが推薦する兵庫県丹波市にある養鶏農家「芦田ポートリー」
田んぼがあって、鶏が平飼いされているそんな丹波の豊かな自然環境の中、飼料にこだ
わり、卵づくりに取組む芦田昭也さん。2014年8月16日、丹波を集中豪雨が襲い
平飼い鶏舎4棟すべてが浸水し、飼育できない状態に陥りながらも翌年4月には再起。
卵を使ったケーキなど6次産業化で、先を見通したきめ細かい経営を続ける話を紹介。

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放送日:2017年1月1日

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