(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2016年1月25日
1月24日 第192回放送
参議院議員の川田龍平さんとジャーナリストの堤未果さん夫妻を迎えて「尊いいのち」
や「人間としての尊厳」をテーマに、番組初のWゲストと4人で粛々と語り合います。
2008年に結婚した川田さんと堤さん。もともと母親同士が知り合いの縁で堤さん著
『グラウンド・ゼロがくれた希望』を読んだ川田さんが会いに行き初対面で意気投合。
価値観や笑いのツボが共通し「この人しかいない」、一方の堤さんも心惹かれました。
川田さんは、生後6か月で血友病と判明。治療のために非加熱輸入血液製剤を使用した
ことが原因でHIVに感染。93年「薬害HIV訴訟」の原告となり、95年に19歳
で未成年として初めて実名を公表し被害をアピールし一連の象徴的存在となりました。
厚労省に損害賠償を求める「薬害HIV訴訟」の和解成立から20年が経ちましたが、
当時の被告企業の1社「化血研(化学及血清療法研究所)」が、国の承認と違う方法で
医薬品を製造していた問題で「業務停止命令」が出ました。この件に関して川田さんは
「安全な医薬品を消費者に供給する義務を深く自覚し、同じことを繰り返さぬよう最善
で最大の努力を約束する」と誓ったにもかかわらず、国と国民を欺いたのは許せない!
堤さんはジャーナリストの父親を反面教師に、この職業には絶対に就くまいと思ったが
アメリカの同時多発テロを契機にジャーナリストの道に進むことになりました。亡き父
の「一番弱い人の側に立つこと」と「スクープではなく人間を書け」の戒めを守りつつ
著書『ルポ貧困大国アメリカ』や『沈みゆく大国アメリカ』で弱者視点から「いのち」
を描き続けていますが、鎌田さんも対岸の火事ではなく「日本も土俵際だぞ」と同意。
■進呈■鎌田實『人は一瞬で変われる』(集英社文庫)5名に。1月29日必着です。
2016年1月18日
1月17日 第191回放送
鎌田代表の「日本イラク医療支援ネットワーク」通称JIM-NET(ジムネット)は
イラクの「がんの子ども達」への医療支援を目的に設立されたが、近年のイラク国内の
情勢悪化と、隣国シリアの内戦で難民が激増して「難民キャンプ支援」を開始。今回は
薬やミルクなどを持参して「難民キャンプ」を訪問した鎌田さん渾身のリポートです。
支援の原資となるのが「チョコ募金」で、チョコ缶にかわいい花の絵を描いた少女達は
いずれも現地でがん闘病中です。「ポインセチア」を描いたナブラスはユーイング肉腫
を患うクルド人ヤジディ教徒。イラク北部の要衝シンジャール出身で過激派組織のIS
「イスラム国」に襲われ住民5000人が殺害され、多くの人が山に逃げ込んだという
地域。街は奪還したが、難民キャンプで闘病生活が続く彼女は学校に行きたいという。
もう一人は、金宝樹を描いたシリア出身のローリン。ダマスカスで白血病の治療を受け
ていたが、内戦が激しくなり国境を超えて、イラクのシリア人難民キャンプに収容され
父親のファーテルさんがJIM-NETの門をたたき、治療を再開することができた。
電気技師の父親は難民キャンプ周辺で仕事がなく、薬を買うお金もない状態だったので
ローリンの医療支援と共に、父親の仕事探しが急務と考え、鎌田さん達は屋台を準備。
キャンプ内では「茹でたソラマメ」を無料で配り、キャンプの外ではソラマメを販売。
病床の少女を抱える現状は厳しいが、働くことが父親の希望につながるとの考えです。
そして難民達は仕事がないから運動不足が著しい。「元気で故郷に帰ろう」そのために
糖尿病や高血圧など慢性疾患予防の「健康づくり運動講演会」を難民キャンプで開催。
■「チョコ募金」の申し込み電話03-3209-0051「JIM-NET」です。
2016年1月12日
1月10日 第190回放送
日本では65歳以上の高齢者のうち15%が認知症を発症しているといわれ、患者数は
460万人。予備軍とされる400万人を含めると、860万人もの数にのぼります。
しかも厚生労働省の推計によると2025年には認知症患者だけで700万人に達する
とされ、認知症の治療だけでなく、ならないためのケア、介護者の心得も要準備です。
『ドラえもん』といえば、声優の大山のぶ代さんの「声」でお馴染みの方も多いですが
いまの大山さんは『ドラえもん』を見ても無反応で、わからないらしいのです。それが
いちばん哀しいし悔しい!と介護を続ける夫でタレント砂川啓介さんが今回のゲスト。
砂川さんと大山さんは、ミュージカル『孫悟空』で共演したのが縁で1964年に結婚
芝居の稽古や麻雀を通じ、また双方とも父親は江戸っ子で、母親は宮城出身という点も
共通しており、意気投合するまでの時間はそれほどかからなかったそうです。ところが
結婚して50年、仲睦まじい夫婦は様々な困難に遭遇していました。最初の子の死産や
7年後に授かった愛娘を生後3か月で亡くしたり、大山さん自身が「直腸がん」になり
「脳梗塞」で倒れたこともありました。夫妻はその都度二人三脚で乗り越えてきました
ところが「認知症」は勝手が違い、自分がどうなったか本人が「わからない」ので厄介
当初は「どうしてこんなことがわからないのか」と指導的に語気を強めて介護にあたる
砂川さんですが、自身の「がん闘病」などもあり限界を感じたときに「妻の認知症」を
公表したことで、対外的に隠さずに嘘を言わずにすむと思うと楽になれたといいます。
認知症の患者さんに対してはバリデーションケアという治療法があります。患者さんの
価値を認めて褒める治療。「ボクが笑顔でいればカミサンも笑顔になる」と砂川さん。