(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2015年5月25日
5月24日 第160回放送
「便所は単なる排泄場所ではありません!体からのお便りを受け取る大切な所です!」
という理化学研究所特別招聘研究員で腸内細菌研究者の辨野義己(べんのよしみ)さん
を迎えて「大便は健康のバロメーター。健康な腸で寿命を延ばそう」という鼎談です。
辨野義己さんは1948年大阪生まれ。獣医になりたくて酪農学園大学獣医学科に進み
ますが「腸内細菌学」という新しい学問を世界に先駆けて樹立したパイオニアである光
岡知足先生から「人と動物を含めた研究をするのが公衆衛生で、一番崇高な仕事だよ」
と諭され理化学研究所に入り40年以上に亘り、腸内細菌の研究に取り組んでいます。
世界中から集めた大便の数は8500を超え、世界一というウンチ博士。大腸内の細菌
の研究を通して腸内細菌の情報を、将来の健康のため役立てる研究を続けています。
人間は60兆個の細胞から成り立っており、そのうち2兆個が免疫細胞で、その6割が
腸に集まっています。なぜ免疫細胞は腸に集まる?それは外部から入ってきた物と一定
期間接するのが腸だからです。栄養吸収が腸の役割ですが、病原菌やウイルスの侵入経
路でもあるゆえに免疫細胞が集中しています。外部から入ってきた物を排除したり危険
な物から身を守るのは、小腸・大腸の免疫機能しかないです。がんなどいろんなものと
闘う免疫力を上げるためには、腸内環境を整えて健康な腸で勝負するのが最善です。
また、子供が産まれてくる時に母親から受け継いだ菌がいかに大切かという話を解説。
さらに近年の「女はタマル、男はクダル」という問題を指摘。便秘を気にしない女性の
無頓着に驚くばかりといい、ストレスが起因すると考えられる男性の各駅停車症候群。
「病気しないためには、いかに佳き腸内環境を保つかにかかっている!」と辨野さん。
2015年5月18日
5月17日 第159回放送
当番組で好評の健康シリーズ(不連続ですが)今回は「がんばらないがん対策」です。
「食事見直しの草の根運動」を推奨して長野県民の健康寿命を延ばしてきた鎌田さんが
並行して説き続けているのが「がんばらない生き方」。がんばり過ぎると心身共に負担
になり、「がんばらない生き方」は健康寿命に通じるといい「鎌田流がん対策」です。
先頃、がんに関する新たなデータが「国立がん研究センター」により発表されました。
それによると、今年国内で新たにがんと診断される患者は98万人と予測されています
が、去年まで3番目だった「大腸がん」が今年は13万5800人と最も多く1位です
次いで「肺がん」「胃がん」の順と予測されています。また、男性では血液検査の普及
などで「前立腺がん」が最も多く、女性では「乳がん」が最も多く、働き盛りの人達が
がんで会社を休むと1兆8000億円の損失と推計されています。がんが発生するメカ
ニズムは、私達の体内で絶えず繰り返されている細胞分裂の際に、発がん物質等の影響
で遺伝子が突然変異して「コピーミス」が起こります。これが「がん」のはじまりです
ただし、コピーミスが起きても体内の免疫細胞の標的となり「がん細胞化」せずに消滅
しますが、稀に免疫細胞の攻撃を逃れて生き残る細胞が「がん細胞」となり異常な分裂
増殖をくり返し「がん」になります。免疫力が低下すれば「がんや感染症」のリスク増
になるので、「免疫力」をあげる必要があります。手っ取り早い「食べ物」から伝授。
①「繊維質の食べ物」として、海藻・しいたけ等のキノコ・こんにゃく・緑色野菜など
②「発酵食品」は、ヨーグルト、チーズもいいが日本の伝統食から長野のすんき・京都
のすぐき・沖縄の豆腐よう等。更に免疫力アップの「入浴法」や「ラジオ体操」です。
2015年5月11日
5月10日 第158回放送
松竹映画『男はつらいよ』の第1作が公開されたのは1969年の夏。以来27年間に
わたり寅さんの妹「さくら」を演じ庶民派女優として絶大な人気を誇る倍賞千恵子さん
をゲストにお迎えしました。寅さんシリーズの中で隠れた名曲としてファンに支持され
ている『さくらのバラード』がアカペラで披露され、飛切り楽しめる歌&トークです。
寅さんの渥美清さんが1996年に亡くなられて、倍賞さんはしばらくの間「お兄ちゃ
ん・寅さん・渥美さん」の話を封印。「私が出会った男性の中でいちばん魅力的な人。
勉強家で、生き方にムダがなく、相手の立場がよくわかり、やさしく、石みたいな人。
冷たくて、温かくて、その石に触りたくなる。そんな人」と愛情たっぷりに語ります。
また27年間演じた「さくら」については、「尊敬できる人。でも私はあれほどやしく
はなれない」と評しつつ、全48作で演じた「さくら」から多くを学んだと言います。
さて、倍賞さんは『下町の太陽』『さよならはダンスの後に』『さくら貝の唄』などの
ヒット曲がある歌手ですが、『さくらのバラード』は『男はつらいよ』が始まって13
年ほどしてクラウンレコードから発売されました。山田洋次監督が作詞、山本直純さん
の作曲によるもので、寅さんが旅に出ているときの、さくらの心境を描いた名曲です。
最後に、オーケストラで楽しむ寅さんファンタジー『寅さんクラシックコンサート』の
お知らせです。『男はつらいよ』で使用したクラシック音楽は40曲以上もありますが
山本直純さんの愛息・山本祐ノ介さん指揮による、寅さんに使われたオリジナル楽曲と
クラシックの名曲を、思い出のシーンと共に贈るコンサートに倍賞さんがゲスト出演。
日程は、大阪が6月26日「新歌舞伎座」、東京は7月5日「東京文化会館」です。
2015年5月 5日
5月3日 第157回放送
「諏訪中央病院」の職員バンド「ALMOST ILLNESS」(ほとんど病気)で
鎌田さんはドラムスを担当。「リズム音痴」と指摘されるのを百も承知で、患者さんや
職員の為に一肌脱ぐところがドクター・カマタの真骨頂です。バンドの十八番はなんと
ビートの効いた白井貴子さんの『CHANCE』というのでゲストにお招きしました。
1981年にデビューした白井貴子さん。アイドル歌手とは一線を画す「ロックンロー
ルエンジェル」の名のもとに「日本武道館」や「西武球場」等、大規模なコンサートを
成功させて女性ポップ&ロックのパイオニア的存在になります。年間100か所を超え
る公演が続き心身ともに疲労困憊。また、80年代のロックシーンは陽射しを避ける?
ような「地下的な音楽」が求められ、明るい湘南で野原を駆け回って幼少期を過ごした
白井さんには、常に違和感があったそうです。そして「青空の好きなロックシンガー」
という本来の姿を取り戻すきっかけを作ってくれたのは、イギリスの道端に咲く野草の
マーガレット。地味でも足元から凛と大地に根ざして、風に吹かれながらしなやかに空
を見てやさしく咲いていれば、私もいい音楽が生み出せるだろう。「生きている造花に
なってはいけない」と気付き、生き方を転換して今日に至っています。また白井さんは
震災後、たびたび被災地を訪れて無料ライブを開催したり、陸前高田の奇跡の一本松を
モチーフにした歌『陸前高田 松の花音頭』を作詞・作曲。今春は長年の友人で振付師
南流石さんと共に岩手県・宮城県・福島県の計6ヵ所で参加型ライブイベントを開催。
歌とダンスで市民を元気づける活動を続けています。更に精神科医で作詞家のきたやま
おさむさん(元フォーク・クルセダーズ)と進行中のプロジェクトも一部開陳します。