(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2015年2月23日
2月22日 第147回放送
「イスラム国」を名乗る過激派組織が人質にしていた2人の日本人を殺害。1人は世界
各地の紛争地帯や貧困地域を取材して伝えていたジャーナリストの後藤健二さんです。
後藤さんの遺した言葉などを通して、今回は「平和を願うことばと平和」を考えます。
鎌田さんが代表を務めるJIM-NET(ジムネット)のスタッフは、10年前のイラク
で後藤さんとの交流が始まりました。教師をしていたイブラヒム先生の奥さんが白血病
になり、イラクでは治療ができず、ヨルダンの首都アンマンに逃れ、病院で治療を受け
ていました。夫妻の面倒見ていた日本人スタッフが帰国せざるを得なくなり、その時に
ヨルダンにいた後藤さんにイブラヒム夫妻の支援継続を依頼したら、二つ返事で了承。
奥さんは亡くなりましたが、先生のイラク帰国を金銭面でも応援したのが後藤さんです
これがきっかけでイブラヒム先生は日本好きになり、小児病院の院内学級の先生として
イラクの戦争で傷ついた子どもや、白血病の子どもを助ける活動をずっと続けています
後藤さんが2010年9月7日に発した言葉。「目を閉じてじっと我慢。怒ったら怒鳴
ったら終わり。それは祈りに近い。憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。そう教え
てくれたのはアラブの兄弟たちだった」。この「アラブの兄弟たちだった」に同意した
鎌田さんは、16億人とされるイスラム教徒の99%は優しい人と体験から言います。
村上さんが紹介した作家の佐藤優さんの言葉。「世界の紛争が収まらないのは、やられ
たらそれ以上にやり返さないと気が済まないという負のスパイラルに陥っているから」
「やり返さない」という選択が出来るかどうかが大切。ハンムラビ法典「目には目を、
歯には歯を」は、やられた分しかやり返さないのが本来の教義という。なるほど!!
2015年2月16日
2月15日 第146回放送
「人生楽あり苦あり」といいますが、人生には様々な難題が降りかかるものです。家族
も長い間には、家庭円満、順風満帆といかないこともあります。今回は家族の間に再三
降りかかった難題を乗りこえてきたワークライフバランスの達人佐々木常夫さんです。
佐々木さんは、ロングセラーの『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版)をはじめ
ビジネス書を何冊も上梓され、新刊は『それでもなお生きる』(河出書房新社)です。
佐々木家に降りかかった難題は、自閉症の長男に続いて年子の次男、長女が誕生するも
奥さんが肝臓病とうつ病を患い40数回の入退院を繰り返し、自殺未遂の追い打ちも。
育児・家事・看病をすべてこなすために、毎日6時に退社する必要に迫られて、家庭と
仕事の両立を図るために、最短距離で最大の成果を生み出す仕事術を極めながら、部下
を統率するマネジメント能力を磨き上げたので佐々木さんは同期でトップの役員就任。
入社当時の目立たぬ社員は、30歳過ぎて上司からの叱責が切っ掛けで上昇志向に転じ
大阪と東京を6度も転勤しながら破綻会社の再建や幾多の事業改革に取り組みました。
佐々木さんの人生観を変えた本は、強制収容所から奇跡的な生還を果たしたユダヤ人の
精神科医ヴィクトール・フランクルの書いた『夜と霧』(みすず書房)。「どんな状況
でも人間は生きていける」「人生から問われていることに全力で応えていく」との教え
から「自分に与えられた意味と使命を見出し、すべての運命を引き受けた」と。これは
若くして未亡人となり、苦労して4人の息子を育てた母親に重なるという。どんなに辛
い時も「運命を引き受けて、その中で頑張ろう」と笑顔の母親だったとか。佐々木さん
は「いつの時代でも、幸せはその人の考え方や生き方によってもたらされる」という。
2015年2月10日
2月8日 第145回放送
聴取者からの「受験生諸君!緊張は集中力を増し、好結果につながるので頑張って!」
という入試時期ならではのメールを紹介。社会人になっても資格試験や昇進試験がある
ので、今回は鎌田さん村上さんが受験生時代を語りつつ、日々緊張の生活を送っている
であろう受験生や受験生の家族にエールを贈る『受験生に贈る人生論』がテーマです。
まずは、受験にからきし弱い!と自称する村上さんの話から。15歳の春、都立高校の
受験に失敗。落ちたショックは大きく、ムラカミ家は真っ暗。丁稚奉公に行けと怒る父
姑に叱責される母。私立高校の2次募集で滑り込み合格。幸か不幸かその校風に馴染み
将棋三昧の生活。当然のように大学受験は5戦全敗。浪人して「明治学院大学」に進み
「勉強」とは違う「学問」の楽しさに触れて謳歌。全ての経験は無駄にあらずと実感。
鎌田さんが奮起する最初のきっかけは杉並区立和田小学校時代。算数が得意でリーダー
的存在だったが、知能検査の結果「知能指数はそれほど高くないぞ!」と担任から告げ
られて他人の倍の努力をする必要があると自覚します。名門の都立西高校に進み、養父
岩次郎さんの反対を押し切って医学部を目指し、朝は4時半に起床で勉強をする生活を
始め、浪人時代は1日15時間の猛勉強。受験勉強のコツは「繰り返す事」に尽きる!
続いて、2人が選んだ著名人の名著・名言から受験生に向けて「人生論」を贈ります。
鎌田さんは坂口安吾『堕落論』から「人間は弱いから永遠に堕ちぬくことはできない」
と、哲学者の三木清『人生ノート』から「人格とは秩序である。自由も秩序である」。
村上さんは齋藤孝『くすぶる力』から「くすぶりは、人生を推進させる原動力である」
山本一力『明日は味方。-ぼくの愉快な自転車操業人生論』ペダルを漕げば倒れない!
2015年2月 2日
2月1日 第144回放送
黄昏つつある頭頂部がトレードマークの鎌田さんに「毛のことを気にしているの?」と
村上さん。「あまり気にしていないよ!」と答えながら「でも、75歳に見られたり」
とやっぱり気にはしている様子。今回は『毛のない生活』『毛の力』という2冊の本を
著した山口ミルコさんをゲストに迎えて、毛と闘病生活とクロテンの話で盛り上がる。
1965年東京生まれの山口ミルコさん。ミルコは本名で、ロシア相手に仕事していた
商社マンの父親が命名。ロシア語の「ミール=平和」に由来しています。大学卒業後は
「角川書店」雑誌編集部を経て「幻冬舎」に移り、編集者として文芸から芸能まで幅広
い分野の書籍を担当した敏腕編集者として鳴らし、2009年の春からフリーランス。
出版社を辞めてすぐ、乳がんとわかり手術を受け、放射線や抗がん剤による治療を受け
その顛末を、見事な文章で綴った闘病記(?)が『毛のない生活』(ミシマ社)です。
乳がん告知は退職した直後の4月4日。全身から血の気が引く感覚で人生最大の驚き。
自分が「がん」という病気で変わってしまうことが怖くて最初は受け入れられなかった
といいます。中学時代から楽器を演奏するミルコさんは、乳がん手術で腋の下のリンパ
節郭清となると右手に障害が残り演奏ができなる変化を受容出来なかったそうです。
それまで編集者として猛烈に働いたエネルギーを、無職になった身ゆえに闘病に注ぎ、
気が済むまでがん対策に燃えました。禁酒禁煙、化学物質排除、肉類や乳製品控える。
十分な睡眠。自宅は玄米菜食、外はマクロビ。衣食住を変え20世紀的生き方と決別。
「自分の感覚が、いちばんの主治医」を信じて、主治医と衝突しながらも見事に克服。
後半の『毛の力』(小学館)は、シベリア大陸のクロテンの歴史をたどるいい話です。