(かまた みのる)
医師・作家。1948 年東京生まれ。
東京医科歯科大学医学部卒業。
37年間、医師として地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、
東日本の被災地支援に取り組む。2009 年ベスト・ファーザー
イエローリボン賞(学術・文化部門)受賞。2011年日本放送協会
放送文化賞受賞。
ベストセラー「がんばらない」をはじめ、「なさけないけどあきらめ
ない」「ウェットな資本主義」「アハメドくんのいのちのリレー」
「希望」(東京書籍) など著書多数。
現在、諏訪中央病院名誉院長。
(むらかみ のぶお)
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や
『鎌田實いのちの対話』など、
NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を講演で回り「嬉しい言葉の種まき」を
しながら、文化放送『日曜はがんばらない』
月刊『清流』連載対談などで、新たな境地を開いている。
各地で『ことば磨き塾』主宰。
http://murakaminobuo.com
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2013年9月30日
9月29日 第77回放送
「人間は効率だけで生きているんじゃない!」と鎌田さん。「根をつめると逆に能率が
あがらないので、間を置きながら作業する!」という村上さん。一見無駄に思われがち
な「間」や「すき間」が時には円滑にことを運ぶためには大事と事例を交え語ります。
コミュニケーションの極意を一言で言えば「間」ではないかという村上さん。句読点も
同じように見えて、実は話し言葉になると画一ではないと指摘します。「間」は反芻し
ながら確認したり、理解したり、疑問を持ったり、想像を巡らせる時間なのです。
鎌田さんも「がん告知」の際に一方的に説明するのではなく、動揺する患者さんの心を
解きほぐすように会話していますが、その時に大切なのはやはり「間」といいます。
そして、「間」の達人である徳川夢声さん、独特の間を保ちながら話す俳優の菅原文太
さん、戦場カメラマンの渡部陽一さんのエピソードなど紹介します。
高校生の時は剣士だったという鎌田さん。剣道部員の中で自分だけ高校から始めたので
どうしても下手。そこで考案したのがわざと「すき」をつくり相手に面を打たせるよう
にし、すかさず相手の脇の下に飛び込んで打つ「抜き胴」の必殺技を磨いたという話。
また、近年「ギャップイヤー」という大学入試に合格した学生が一定の休学期間を得て
から入学する制度に注目が集まっています。休学中の行動は自由でボランティア活動や
留学、旅行などで見聞を広める例が多く、その後の学業や就業力にも奏功しています。
『トゥ・ザ・ワンダー』という「すき間のある映画」。作家志望のアメリカ青年がフラ
ンスで出合ったシングルマザーと恋に落ちる映画で、監督は主張せず内省を促す作品。
絵画には余白、本には行間があるように、生活にも無駄に思える短時間がとても大事。
一日の中、一週間の中、一年の中で僅かでいいからすき間/ギャップを設けましょう。
2013年9月24日
9月22日 第76回放送
○か×か、正解か不正解か、常にどちらかを選んで生きることに違和感を覚えませんか
家庭の中でも、会社の中でも、世の中も、たった一つの「正解」に縛られるのではなく
幾つもある「別解」の中から○に近い△を見つけて生きれば人生も変わるがテーマ。
正解でもない正論でもない「別解」は鎌田さんが造った言葉で別の解釈という意味。
いい子は○、悪い子は×。勝ちは○、負けは×。勝手にレッテルを貼ってきましたが
鎌田さんは、○と×の間にある無数の△に、限りない自由や魅力を感じるといいます。
「別解力」は固定観念にとらわれず新しい考え方を実践すること。出る杭は打たれる
といいますが、覚悟を決めて、出る杭になる。打たれ強くなる、そうすれば意見の違い
を乗り越えやすくなり、自分の心が不愉快にならない大人の生き方が実践出来るとも。
加えて別解力には楽観力も必要で、失敗すればするほど、別解力は磨かれていきます。
△的生き方をしている人として紹介するのは、ノンフェクション作家石井光太さん。
アフガニスタンに井戸を掘った医師の中村哲さん。鎌田さんの養父・岩次郎さんなど。
家計が苦しく重病の妻がいる身で,養子を受け入れるなど別解の考えがあればこそ。
さらに、鎌田さんは住民が脳卒中になったとき、病院で治すという一つの正解に対して
その前に地域で健康づくり運動をして病気を予防する別解を実践してきた例を紹介。
○ではない△、時には×でなければいいと△を選べば、面白い生き方が見えてきます。
■プレゼント■鎌田さんの本『○に近い△を生きる』(ポプラ新書)をサイン入りで
5名様に進呈。住所、氏名、電話番号を明記の上、締め切りは9月27日の消印有効。
2013年9月17日
9月15日 第75回放送
確執を生じた娘との間を「絵本」によって氷解した鎌田さんは、絵本の力を信じる一人
一方の村上さんも各地で朗読会を開くほどの「絵本大好き人間」を自任しています。
今回は絵本作家・いせひでこ(伊勢英子)さんと「絵本で伝えたいこと」の鼎談です。
いせさんは、旅する絵描きとして、旅をしては心動くものに出会い、また心動くものを
求めて旅をして、自分の目で見たもの、聞いたものを、時間をかけて描いてきました。
パリの路地裏で本造りをする職人を描いた『ルリユールおじさん』、阪神大震災復興へ
の思いを込めた『1000の風1000のチェロ』、少年と犬との交流『あの路』等。
鎌田さんは、東日本大震災から半年後の9月、南相馬市の中央図書館で、いせさんと夫
の柳田邦男さんと3人で絵本の朗読会を開催。子供たちの反響もよく盛会だったとか。
いせさんは震災ショックで何も出来ずにいましたが、6ヶ月の孫に触発されて筆をとり
『木のあかちゃんズ』(平凡社)を描きあげました。いろいろな木の実の赤ちゃんズ。
木の実の「芽吹きの物語」に命の繋がり、生命力の強さ、未来への希望を込めました。
続いて、いせさんの好きな「カッチーニのアベ・マリア」を流して新刊『最初の質問』
(詩:長田弘、絵:いせひでこ 講談社)を村上さんが朗読します。
詩人長田弘さんの代表作のひとつです。いせさんは4年前に結婚する娘さんに進呈して
今回縁あって『最初の質問』をいせさんが絵本にしたものですが、絵本というよりも
絵付きの詩集です。新しい道を歩む人へ贈る言葉としても引用されることの多い作品。
「あなたにとっていい一日とは、どんな一日ですか?」ジンと来る質問が続きます。
2013年9月 9日
9月8日 第74回放送
「医師という仕事は、命を預かる仕事だから覚悟決めないと出来ない」という鎌田さん
「覚悟を決めてNHKから飛び出した」村上さんが語り合うテーマは「覚悟を決める」
覚悟を持った生き方をしている人達といえばスポーツ選手。先日華々しいプロデビュー
を飾ったボクシングの村田諒太さん。ロンドン五輪の金メダリストとして一躍時の人と
なったが「みんなに誉められるたびに違和感を覚え、金メダルを過去のものにするには
新しい成果が必要」と考えて過去の栄光を断ち切り、プロの世界に覚悟を決めて挑戦。
覚悟と言えば、日米通算4000本安打を達成したNYヤンキースのイチロー選手。
「4000本のヒットを打つには8000回以上の悔しい思いをした。常にそれと向き
合ってきたことの事実こそ誇れるとしたらそこじゃないかと思います」と述べました。
トヨタの豊田章男社長が「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に参戦しましたが
事故を恐れずに「いいクルマを感じる体のセンサーを研ぎ澄ますための参戦」と談話。
福島の被災地で「絆診療所」を開設した医師の遠藤清次さんも覚悟の人。仮設住宅の住
民からの要請を受け開業を決意。「仮設住宅の孤立死を防ぎ、健康を守るきっかけにな
れば」と診療所を設けたが、スタッフの給料を賄うだけで本人は無給が続いています。
世界に感動を与えたパキスタンの少女・マララさん。武装勢力タリバンの襲撃から奇跡
的に快復し、NY国連本部で「世界中の子供達が教育を受ける権利」を主張しました。
吉田松陰の覚悟「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」
こうすれば、こういう結果はわかっているが、止まれぬ気持ちから行動に踏み切った。
これこそが日本人の魂なのだ!と数々の禁を犯しながらも将来を見据えた覚悟の人。
2013年9月 3日
9月1日 第73回放送
「皆と同じ事はしたくない!」という変わり者の鎌田さん、「変わったね」を誉め言葉
として素直に嬉しいという村上さん。変わり者同士が語るテーマは「変わり者がいい」
周りが心配する中で、医大卒業後にわざわざ地方の赤字病院を選び赴任した鎌田さん。
その病院経営も軌道に乗って注目を浴びる頃には、旧ソ連の放射能汚染下の子ども達を
救う活動を始めてみたり...誰も行かない方向に進みたがる天邪鬼な鎌田さんの提言は、
「日本がもう少し、変なことをする人を認める国になったら、明治維新の時のように
息吹を取り戻すと思う。前例主義で軌道を外さない人は、無難で無害かもしれないが、
新しい何かを産み出す可能性は少ない」と。一時期「空気が読めない」をKYと称して
変わり者扱いし、周りから敬遠される存在としたが、同じ空気が一つ場所にあることは
空気が淀み、良いことではない。淀みをかき回す方が良い。自分独自の考えを持とう!
今回エピソードで登場する人物は、戦国時代の茶人・古田織部と博多の豪商神谷宗湛。
鎌田さんの母校「都立西高」の同級生で作家の好村兼一さん、同じく作家で『世界がも
し100人の村だったら』を記した池田香代子さん、先輩のエッセイスト玉村豊男さん
等々「変わり者」を次々紹介。更に「マイナスをプラスに変えた人たち」として映画監
督のスティーブン・スピルバーグ、左手のピアニスト・舘野泉さん、音を失った作曲家
の佐村河内守さんの逸話を紹介。家では「バーカ」が最高の誉め言葉だったという漫画
家の赤塚不二夫さん父娘の話を村上さんが紹介します。創造と破壊を繰り返した赤塚さ
んの名言「これでいいのだ」は、あるがままの自分を肯定できる「珠玉の言葉」です。