寺島尚正 今日の絵日記
2025年1月14日 マスクを忘れず
インフルエンザが、今シーズン過去最多の患者数となっている。
2024年第52週のインフルエンザの全国定点報告数は、64.39で過去最多となり、全ての都道府県で増加。43の都道府県で「警報レベル」となっている。
インフルエンザに罹患した医療関係者も多くいて、インフルエンザと新型コロナウイルスに同時に感染したケースもあると聞く。2025年第1週定点データは、年末年始の暦の関係で、多くの医療機関が休診しているため、いったん下がったように見えるデータが出てくると考えている。専門家は、保育園・幼稚園・学校が再開する第2週以降、どのような動きになるかを注視している。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症だ。インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られるが、風邪よりも全身症状が強いとされている。子どもではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している人では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがある。合併症にも注意が必要だ。
また、高齢者施設では集団感染するケースも起きている。
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3つの型に分けられる。
冬に流行する季節性のものは、A型とB型。
A型は大変異により数十年に一度大流行を起こす。
C型は、散発的に起こるもので、季節的な流行は起こさない。
A型は144の亜型に分けられ、B型は2系統に分けられる。
典型的なインフルエンザでは、せきや頭痛、鼻水やのどの痛みなど上気道の症状に加えて、38度以上の高い熱、倦怠感や関節痛などの全身症状が起こる。また、症状が急激に表れるのも特徴だ。
最近のインフルエンザの研究では、「発熱せず、鼻水やのどが痛いだけの軽症例」が多く存在していることがわかってきた。また、ウイルスが体内に存在しても自覚症状がないケースも少なくない。こういう人が活動することで、ウイルスは広まっていく。
インフルエンザは、高齢者や乳幼児など免疫力が低い人がかかると重症化しやすく、「肺炎」や「インフルエンザ脳症」などの重い合併症が現れることがある。
そのインフルエンザを予防するのが、インフルエンザワクチンの接種といわれている。ワクチンの効果については、年齢などにもよるが、発症を約50~60%減少させる、重症化を防ぎ成人の入院を約70%減少させる、高齢者の死亡リスクを約80%減少させるといった報告がある(NHK)。
ワクチンを打った後にインフルエンザにかかることもあるが、ワクチンを打たないでかかるより重症化を抑えることができ、発熱期間も短くすることができるといったデータがあるので、単に予防するだけでなく、重症化を抑えるという観点からもワクチン接種が大切といわれる所以がある。
ワクチンは、2015年から、B型が1種追加されて4種ウイルス混合になり、発症予防、重症化予防ともに効果が高くなると期待されている。
このインフルエンザのワクチンは毎年つくりかえられる。世界中の国々で流行したインフルエンザウイルスの株から、次のシーズンにどんな株が流行するかが予測され、夏ごろまでにワクチンがつくられるのだ。
ワクチン接種後、約2週間してからウイルスと闘う「抗体」ができ、最も効果が高くなるのは、予防接種をしてから1~2か月後だという。
インフルエンザの主な感染ルートは、咳やくしゃみ、会話による飛沫感染と、ウイルスのついた手で口や鼻に触れることで感染する接触感染の2つといわれてきた。せきで約90万個、くしゃみで約200万個の飛沫が発生するといわれていて、5分間の会話でも咳と同じ程度の約90万個の飛沫が発生するとされている。加えて「エアロゾル感染」だ。「エアロゾル」とは、空気中にインフルエンザウイルスを含んだ微粒子が漂い、それを吸い込むことで感染するのではないかという。
インフルエンザを予防するために大切なのが「手洗い」「マスクの着用」。
一般的な不織布のマスクは、インフルエンザのエアロゾル感染の原因となる非常に小さな微粒子を50%~80%カットしてくれる。また湿度を保ち、のどの粘膜を正常に保つことができる。「室内の湿度・温度を適切に保つ」ことも予防につながる。空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなるからだ。インフルエンザウイルスが伝播しにくくなるよう、湿度は50~70%程度、温度は20~25℃程度を保つと良いとされる。
専門家は「インフルエンザは、本来、健康で免疫力があれば自然に治る病気なので、適度な運動、睡眠はしっかりとり、バランスの良い食事をとることが大切」と話す。体の抵抗力を高めるためには、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取が効果的ということだ。
発熱や全身のけん怠感などの症状が強くてインフルエンザかもしれないと思ったら、医療機関を受診しよう。合併症を起こすリスクの高い人は早めの受診が勧められている。
人混みはなるべく避けて、活動する場合はマスクをする。外から帰ってきたときには、手をしっかり洗ったり部屋の換気をしたり基本的な感染対策を徹底することが重要である。
- 1月 6日
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