寺島尚正 今日の絵日記
2024年12月23日 メリークリスマス
先日、定期券入れが見当たらなくなった。
中身は、「交通系ICカード」に加えてドラッグストアなどのポイントカード6枚を差してあるものだ。
5日前、所用で地下鉄を利用する際、いつもならバッグ外側のポケットに入っている定期券入れが見当たらない。バッグ外側のポケットは、定期入れ、名刺入れそして小銭入れとポケットティッシュを入れると決めている場所だ。
「あれ、財布やスマホなどを入れているメインの方に間違えて入れたかな?」改札手前、人の流れを除けて立ち止まりバッグを調べ始めた。
しかし、やはりない・・。
ズボンや上着のポケットを確認しても発見できなかった。
忘れ物や落とし物には人一倍気をつけている小生。ということは、会社か部屋のどこかに忘れたということになる。予備のため、もう1枚所有しているICカードも、今日に限って所持していない。先方への到着時刻も決まっていたので、仕方なく券売機で切符を買うことにした。
「何年ぶりだろう、券売機で切符を買うのは」券売機の前に立った。
ICカードにチャージをするために券売機は利用する。ただし、その際気にするのはチャージする「金額」のみだ。
一方、切符を購入する際には「人数」「目的駅までの料金」この2つを選択する必要がある。今回利用した券売機は、先ず人数から設定し、その後で目的駅までの料金を選択する順だった。
推察するに、大部分の利用者はICカードを利用しており、今や券売機は、複数で購入する観光客中心になったのではないか。
加えて、どんなに少額でも領収書が発行できる。こちらはビジネス利用で経費など精算が絡む利用者向けなのであろう。
一部の調査では、東京30キロ圏居住の. 18歳から49歳の生活者のうち、85.9%が自分のSuicaかPASMOを持っているとも聞く。
今や交通系ICカードは、鉄道やバス利用の他、スーパーなどでの買い物、飲食、様々な購入に利用できるからだ。
目的駅までの料金に小銭が10円足らなかった。1000円札を使用したところ、おつりの小銭が結構な量で、小銭入れがパンパンになった。
さらに、乗換駅で一々切符を購入しなければならず、周りの利用者がスイスイ改札を通過していくのを羨ましく思った。
「便利な世の中になった」そう感じると同時に、その便利さが一度ストップした際、私達はかなりのストレスに晒されることを体感した。
良かったのは、久しぶりに切符を手にして少年時代を想い出したことである。小学校の頃、西武新宿線に乗る際、券売機など無く、券売窓口で駅員さんに行き先を告げる。料金と交換で硬い切符を渡される。4~5歩先に改札があり、切符を改札係に渡す。駅員さんは切符用の鋏を開け閉めして、リズミカルな音を出して待っている。切符を受け取ると「パチン」と乾いた音と共に刻みが入る。子供心にはプロフェッショナルを感じる瞬間だった。
そんな光景が蘇った。あれから半世紀以上。
部屋に戻り、定期券入れを捜した。あれこれ探し、1度捜した処をもう一度確かめてみる。1時間以上費やしてもだめだった。「もう諦めよう」埃を吸ったのか、くしゃみを連発した。鼻水も出そうだったので、鼻炎用のカプセルを
取り出そうと薬入れの引き出しを開けた。
なぜか、其処に定期券入れがあった。そういえば、のどのトローチを持って行こうとした記憶が蘇ってきた。その際、たまたま手にしていた定期券入れを置いてしまったらしい。
「少年時代の記憶は鮮明なのに、昨日食べた食事を思い出せない」
そんな領域に佇む私である。
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