浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2024年9月24日 花一杯

今年の元日、大地震に見舞われた石川県能登地方半島が、秋の彼岸に、今度は記録的な大雨で被害を受けている。
秋雨前線に加えて台風14号が温帯低気圧となり雨雲が発達。
各地で川の氾濫や土砂災害が相次いでいて、石川県や珠洲市によると、珠洲市で住宅が山の土砂に巻き込まれ1人が死亡した。
また、11人の行方が分からなくなっている。
また、各地で住宅や施設の浸水被害が発生。
輪島市と珠洲市のあわせて8か所の仮設住宅の団地で、床上まで浸水する被害が出ているのを始め、輪島市や珠洲市、能登町では住宅の浸水被害が多数、発生しているが、22日昼時点で市や町は数を把握できていないそうだ。
被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げる。
現地の人達は「地震といい、どうしてこんな災害ばかり起きるのか、本当につらい」。
また仮設住宅に住んでいる人は「みんな地震の復興で疲れている。もうこれ以上勘弁してくれという思い。どうして輪島を狙って雨が降るのか。力が抜けてくる」と話した。
お気持ち察して余りある。
このほかの地域でも、大雨の影響で熊本県宇城市は土砂災害に警戒するため、22日午後0時半、市内全域に避難指示を出し、新潟県阿賀町は、土砂災害の危険性が高まっているとして、22日正午に町内合わせて182世帯に避難指示を出した。
富山県では22日午前、「トロッコ電車」の愛称で知られる富山県黒部市の黒部峡谷鉄道のトンネル内に土砂が流れ込み、電車に乗っていたおよそ60人が一時動けなくなった。
乗客たちは近くの駅まで歩いたあと電車で始発駅へ戻り、けが人はいないという。

関東に住む私達も決して他人事ではない。
大切なのは災害に対する準備と同時に避難場所と避難するタイミングを確認しておく事だ。
まず、日頃から自治体のハザードマップで、自分が暮らしている地域はどの被害に注意するのかを確認しておこう。
土砂災害なのか川の氾濫なのかなどだ。
加えて近くの避難所も確認しておく。
続いて警戒レベルに注目しよう。

警戒レベル1は、災害への心構えを高める段階。
気象庁から警戒レベル1「早期注意情報」が出た場合には最新の防災気象情報などを確認するなど、災害への⼼構えを意識する。

警戒レベル2は、ハザードマップなどで避難行動を確認
気象庁から警戒レベル2「⼤⾬注意報」や「洪⽔注意報」などが出ており気象状況が悪化した段階。
改めてハザードマップで災害の危険性のある区域や避難場所、避難経路、避難のタイミングの再確認など、避難に備え、⾃らの避難⾏動を確認する。

警戒レベル3は、高齢者や障がい者等が危険な場所から避難
市町村から警戒レベル3「⾼齢者等避難」が出た段階。避難に時間がかかる⾼齢の⽅や障がいのある⽅、避難を⽀援する⽅などは危険な場所から安全な場所へ避難する。
また、⼟砂災害の危険性がある区域や急激な⽔位上昇のおそれがある河川沿いに住む人も、この段階で避難することが望まれる。
また、それ以外の人もすぐに避難できるように準備をする。

警戒レベル4は、対象地域の全員が危険な場所から避難
市町村から警戒レベル4「避難指⽰」が出た段階。対象地域の⽅は全員速やかに危険な場所から避難する。

警戒レベル5は、"命の危険。直ちに安全確保"
市町村から警戒レベル5「緊急安全確保」が出た段階は、すでに災害が発⽣又は差し迫った状況なので、直ちに命を守る⾏動をとる。
警戒レベル5は、すでに安全な避難が難しい状況の場合がある。
警戒レベル3、4の段階で地域で声を掛け合い、空振りをおそれずに、安全・確実に避難を終えよう、とある。

ここで邪魔をするのが「正常性バイアス」。
予期せぬ事態が起こったときに「たいしたことじゃない」「このぐらいなら大丈夫」と判断し、平静を保とうとする心理メカニズムのことである。
正常性バイアスには、日常生活で感じる不安や恐怖を軽減し、心をストレスから守ってくれる役割がある。
一方で、地震や洪水、火災、事故といった非常時に、事態を過小評価してしまい初期対応が遅れるケースも指摘されている。

実際に正常性バイアスが働いたとされる事例が東日本大震災でも多くあった。
2011年3月に起こった東日本大震災の死者の90%以上が津波による溺死で亡くなっていると発表されている。
これは正常性バイアスが影響したと言われているのだ。
津波が沿岸部を襲ったのは、地震発生から30分ほど経過した後、つまり避難する時間がある程度あったにもかかわらず、大多数の人が避難し遅れて亡くなっているのである。
「自分のいる場所は安全だろう」「大津波がきたことなんてないから大丈夫」と、正常性バイアスが働き、事態を小さく見てしまったのが被害拡大の一因だ。
また1人がそのような行動をとると居座る方になびいてしまう傾向がある。
災害が起きた際には、迅速な状況確認や避難が重要となる。
しかし正常性バイアスが働くと「自分は被害にあわないだろう」「死ぬことはないだろう」といった考えに陥りがちだ。
そのため、避難や対処が遅れ、最悪の場合には命を落としてしまう可能性もある。
正常性バイアスは人の心に元々備わっている機能なので、完全に排除することは困難。
そのため、予め災害をはじめとする非常事態において「100%大丈夫」という状況はないと、認識しておくことが重要なのである。
昼間なのか夜間なのか等日頃から避難行動を想定しておき、「災害警戒レベル3」が自分のいる所に出たら、避難準備。
「災害警戒レベル4」が発表されたら迷わず避難すると、パターン化しておくのが、正常性バイアスなどに邪魔されないより良い行動だと考える。
「空振りより素振り」つまり被害がなくても訓練として有効だったと前向きに考えればむしろ次回に生かされるというものである。

東京は秋の花が元気に咲いている。


花一杯
花一杯

オレンジな気分
オレンジな気分

 淡いパープルも落ち着きます
淡いパープルも落ち着きます

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