寺島尚正 今日の絵日記
2024年7月29日 東京からパリをのぞむ
7月26日パリオリンピックが始まった。
1924年以来100年ぶり3回目のパリオリンピックは、夏のオリンピックとしては初めてスタジアムの外で開会式が行われた。
参加する国と地域などの選手団は、市内を流れるセーヌ川で大小さまざまな船に乗っておよそ6キロにわたってパレードを行った。
かなりの雨が降っていたが、フランス人は気にしないのか、演奏用のピアノなども濡れていた。
大会は8月11日まで、初採用のブレイキンを含む32競技329種目が行われる。
日本は海外開催のオリンピックでは史上最多の409選手が出場している。
そんな中、柔道女子48キロ級の角田夏実選手が日本勢初の金メダルに輝いた。
柔道人口が日本の約4倍といわれる柔道大国フランスの畳で初出場の角田が栄冠を掴んだ。
君が代が流れ、日の丸の旗が一番高いところに揚がっていくのを見ながら31才の角田は流れる涙を拭おうとしなかった。
これまでの苦労や悔しさや重圧や周りの応援が浮かんでは消えしたのは想像に難くない。
そんな角田選手は異色の経歴の持ち主だという。
いわゆる柔道エリートとは違うのだ。
千葉県八千代市出身の彼女は、高校総体で3位になったことはあったがオリンピック出場など遙か遠い夢だった。
卒業後の進学は東京学芸大学、柔道強豪ではなかった。
しかし、人生何が幸いするか分からない。
学芸大学の柔道部では、学生が練習を工夫する自由が認められていた。
内股や背負い投げなど正統派の練習に加えてOBのアドバイスで、ブラジリアン柔術やロシアのサンボの練習も取り入れた。
そうしている内に、寝技、関節技、巴投げ、いわゆる奇襲攻撃が磨かれていった。
東京オリンピック当時は52キロ級で、阿倍詩選手の壁に阻まれたが、今回階級を変え48キロ級で挑戦。
見事日本代表となり、そしてオリンピックでも巴投げや関節技が決まり、決勝戦も、巴投げで技ありを奪い金メダルを手中に収めたのである。
ところで、角田選手が試合中に左右のこめかみに貼っている円形のテープ。
ファイテン社製のものだが、五輪スポンサーではないことから社名ロゴを削ったパリ五輪仕様の円形テープを製作してもらったようだ。
角田選手、はがした試合で負けたことがあり、以来、大事な試合などでは貼ってきたというルーチンがあるという。
誰にでも験担ぎはあるものである。
「効果ありますか?」との質問に「自分はあると信じて。頭の回転速くなるとか、こめかみに貼るといい効果があるって言われ、ずっと貼ってます。売ってます。普通にマークがついてるやつ」と笑った。
「パワーテープ」の商品名で紹介されており、チタン(炭化チタン)を粘着面にコーティングしたものだそう。
チタンを貼ることで血行を促進させる効果を狙ったものと思われる。
ミニブームになるだろうか。今後、日本選手の悔い無き活躍を祈りたい。
- 7月22日
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