浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2024年2月13日 ぬいぐるみは可愛いのに

クマによる被害が過去最悪となっている。
環境省によると、今年度にクマの被害を受けた人は1月までに全国で218人にのぼり、過去最悪だった2020年度の158人をすでに上回っている。
さらに驚いたことに、先日秋田でクマが姿を現わした。
例年であれば、クマは冬眠中でだと思いきや、2月6日昼前、秋田市御所野湯本にある会社の倉庫で体長約70~80センチのクマが見つかった。
そのままとどまり続け9日午前5時過ぎ捕獲用の檻に入ったという。
秋田市農地森林整備課は「この時季の市街地出没は過去に例のない異常事態だ。今年は暖冬で、クマ出没が早まることも予想されるので、注意をお願いしたい」と呼びかけた。
クマの被害は全国的にも増えている。今年度、クマの被害にあった人は国のまとめでは1月末までで218人にのぼり、統計を取り始めてから初めて200人を超える過去最悪の被害となっている。
都道府県別にみると、死亡した人は、北海道と岩手で、それぞれ2人、富山と長野で、それぞれ1人で、あわせて6人にのぼった。
また、怪我をしたのは、秋田で70人、岩手で47人、福島で15人青森と長野で11人と、東北地方での被害が7割を占めている。

クマが冬眠するとされる12月以降も被害は出ていて石川で3人、岩手で2人、福島で1人のあわせて6人が怪我をした。
今年1月1日から2月6日までの秋田県でのクマ目撃件数は16件。
前年同期はゼロだった。
秋田県は初めて、クマ出没警報を1月末まで延長していた。
秋田県内でこの時期にクマが相次いで目撃されていることについて、専門家は「クマは基本的に冬眠するが、冬眠する穴の周辺で人が騒ぐなどして環境が悪い場合、途中で場所を変えることがあるので、その途中で目撃された可能性がある」と指摘している。
また、秋田県内では子グマとみられる体長の比較的小さいクマが多く目撃されており「子グマは冬眠中に生まれ、その後1年半ほど母グマと過ごしたあともう一度母グマと一緒に冬眠するが、母グマが死ぬなどしてはぐれてしまった場合に、子グマが冬眠の方法が分からず、彷徨っている状況も考えられる」とし、「冬眠の方法がわからないクマは食べ物を探す必要があり、去年秋に集落で柿などを食べていた場合、この時期に集落に出て雪の下に柿などが落ちていないか探すことも考えられる」という。
クマを見かけたら刺激しないようゆっくり距離をとり、建物や車の中に避難してほしいとアドバイスした。

クマによる被害が過去最悪となる中、伊藤環境大臣はクマを指定管理鳥獣にすることを表明した。
「指定管理鳥獣」は、鳥獣保護管理法で、全国的に生息数が著しく増加していたり、生活環境や農作物、それに生態系に被害を及ぼしたりする野生動物で、集中的かつ広域的に管理が必要な種が対象となるとされ、現在はニホンジカとイノシシが指定されている。
指定されると、捕獲や調査などの費用や人材育成などについて国が支援することになる。
クマの分布は本州などの広い地域で拡大傾向にあるが、四国では絶滅のおそれが高いといわれている。
そのため、四国を除く地域で、クマを指定管理鳥獣に追加して国が捕獲や調査などの管理を支援する必要があるとした。
すでに指定管理鳥獣であるニホンジカやイノシシは繁殖力が高いため、捕獲して半減することが目標とされているのに対し、クマは繁殖力が低いため分布や個体数などについてモニタリングを定期的に実施し、目的を明確にして過度な捕獲はせず限定的にする必要があるとしている。
また、人とクマの空間的なすみ分けを図るため、人の生活圏に侵入したクマなどを排除することに加え、人とクマの生息域の間に木を伐採するなどの環境整備や個体数管理を強化した「緩衝地帯」を作り、人の生活圏への侵入を防ぐことも必要だとしている。
環境省・伊藤環境大臣は4月中にも「指定管理鳥獣」にする方針を表明した。
専門家は「3月から5月くらいの冬眠明けの時期は、クマは基本的に森で生活しているが、雪が溶けると、山菜採りやハイキングで山の中に入る人が増える。クマの分布が拡大しているため、これまでいなかった場所でも今年はいるかもしれないと考え、単独ではなく複数の人で山に入ったり、クマに人がいることを知らせるために鈴やラジオを鳴らしたりなど、しっかり対策してほしい」と話した。

日本人は古くから、クマを利用して生活してきた。
マタギの文化は有名だ。
毛皮で暖をとり、肉を食べ、捨てるところなく利用してきた。
しかし時代が変わり、毛皮もさほど価値がなくなり、クマ肉を食べなくても困らなくなっている。
では、クマの存在意義は何だろう。
以前、森に詳しい方から話を聞いたことがある。
「クマなんていなくなってしまっても人間は困らないという意見を聞いたことがあります。ただ私はそうは思いません。大型の野生生物が生きているということは、生態系がバランスよく成立している証しです。クマがいるということは、食べ物となる植物や昆虫なども豊かにあるということで、ひいては森の土や水、空気も健全な状態を保っているという目印です。クマがいなくなった森では、そのほかの小さな野生生物も知らない間に絶滅しているかもしれない。水源が汚染されているかもしれない。生態系に異変が起きている状態が心配されるのです」

環境省によると、国内では、北海道にヒグマが、本州と四国にツキノワグマが生息し、九州では2012年にクマが絶滅したと判断されている。
11月下旬から12月ごろに冬眠に入るとされ、10月から11月にかけては冬眠にそなえて行動が活発化し、ドングリなどが凶作の年は行動範囲が拡大し、人の生活圏への出没が増加する要因となる。
3月から5月ごろまで冬眠し、春から夏にかけて、親から離れた若いオスのクマは出生地から離れたところに移動する特性もあり、こうしたことも人の生活圏への出没が増加する要因となる。
中山間地域では過疎化、高齢化によって、人が森に入らなくなり、人を怖がらないクマも増えた。
結果、クマの分布が拡大し、人の生活圏の近くにも定着するようになった。
それに加えて去年は、冬眠前のクマの重要な栄養源であるドングリが凶作で、餌を求めて人里に出没することが多く、人身被害が増えてしまったという。
私達は適切な対応をしながら、最終的には、クマたちは山奥で暮らし、そして人の生活圏では人が安心して暮らせる社会を目指さなければならないのだが、直ぐに解決!とは行かないようである。
当面、クマ出没地域では要注意が続く。

ぬいぐるみは可愛いのに
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