寺島尚正 今日の絵日記
2024年1月22日 琥珀色のふくよかな味も摂りすぎには注意
今年も受験シーズンの時期となった。
いよいよ大詰め。中学から大学受験まで、夜遅くまで勉強頑張っている受験生も多いことだろう。
一方で、長時間の勉強は眠気との戦いだ、と言う人も少なくないはず。
近頃は「エナジードリンク」との飲料をよく見かけるが中には子供がカフェインをとりすぎてしまうケースもあると聞いた。
1つ例を紹介すると・・数年前の夜間救急外来に小学6年生の男の子が来た。
症状は「気持ちが悪い」。
診断すると、結果はカフェイン中毒だった。エナジードリンクの飲み過ぎ。
対応にあたった医師によると、エナジードリンクやコーヒーなどを飲み過ぎた子供が、夜間救急でカフェイン中毒と診断されるケースは今や珍しくないという。
カフェインを含む飲み物は、子供と縁遠いイメージだが、実際には多くの子供が飲んでいる。
日本体育大学による、2020年に全国の10~18歳の人を対象にしたエナジードリンクに関する調査結果がある。
その結果、「飲んだことがある」と答えた割合は、小学生 男児45% 女児27%・中学生 男子58% 女子32%・高校生 男子67% 女子45%
女子よりも男子のほうが、飲んでいる割合は多くなった。
この調査では、エナジードリンクを週1本以上飲むと答えた子どもは、頭痛や胃痛、吐き気、疲労感が強くなる傾向にあることもわかった。
では、カフェインは子供にどんな影響があるのか。
日本小児科学会によると、カフェインは神経を興奮させる作用があり、過剰に摂取すると吐き気や強い鼓動、けいれんを引き起こす。
子供は肝臓の代謝機能が大人に比べると劣るためで、症状が長引くという。
では、どの位の量なら飲んでも問題がないのか。
結論としては、日本で独自の基準はない。
国の食品安全委員会では、参考として海外の情報を公表している。
カナダ保健省は1日あたりの最大摂取量を4~6歳は45mg・7~9歳は62.5mg・10~12歳は85mgだと出ている。
農林水産省によると、ほうじ茶・せん茶は100mlあたりのカフェイン量は20mg。コーヒー1杯(150ml)は90mgだ。
エナジードリンクは、商品によってカフェイン量は異なるが、売れ筋のものは1本あたり150mgだという。
エナジードリンクに換算してみると、子供が摂取できる量は、1本150mgとして換算すると、4~6歳は約3割・7~9歳は4割ほど・10~12歳は半分ほど。
と言うことは、1本を飲み干すと、最大摂取量を越えてしまうこととなる。
メーカー側も注意喚起を行っていて、エナジードリンクの缶の裏側には注意書きがある。
代表的な商品にも「お子様は飲むのをお控え下さい」「お子様にはお勧めしません」などと出ているのだ。
海外の一部の国では子供の購入をめぐって規制の動きがあるが、日本では、コンビニエンスストアや自動販売機で子供でも簡単に購入できる。
そもそもカフェインは、お茶やチョコレート、風邪薬にも含まれているから、気づかないうちに取り過ぎてしまうおそれがあるのだ。
カフェインの影響で、夜寝るのが遅くなり、朝が起きられなくなる。
日中は眠たい状態で、学校生活に支障が出てくる。
そうやって生活リズムが崩れて悪循環に陥るのに気をつけたい。
子供達のカフェイン過剰摂取は、周囲の大人も正しい知識を持たなければならないようである。
結びに、農水省のサイトのカフェインに関する情報をお伝えする。
「私たちの生活の中で、身近な飲み物に含まれている「カフェイン」。
身近なだけに、カフェインについて、十分に理解した上で、摂取したいものです。
【カフェインの過剰摂取が及ぼす影響】
めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こる可能性
下痢や吐き気、嘔吐の可能性
高血圧リスクが高くなる可能性
妊婦の方が過剰摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性
【カフェインを摂取するときの注意点】
アメリカでは、健康な大人では1日当たり400mgまでであれば、カフェインを摂取しても健康に危険な悪影響を及ぼさないとしています。
これは、コーヒーでは3~5カップ分に相当します。
市販されているエナジードリンクや眠気覚まし用の清涼飲料水には、コーヒー数カップ分に相当するカフェインが入っているものもあるので、1日に何本も飲まないように注意しましょう。
日曜は、東京も気温が上がらず、熱いコーヒーが有難かった。
しかしカフェインの過剰摂取は大人も要注意なのである。
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