寺島尚正 今日の絵日記
2023年12月18日 穏やかな朝日
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が運用されてから1年が経った。
16日のニュースを見ていると、対象の市町村に住む人達へ聞いたところ後発地震注意情報の認知度は3割程度という結果だった。
この中には、関東地方の太平洋沿岸、茨城県と千葉県も入っている。
住んでいる方は勿論、年末年始に旅行などで対象地域を訪れ、注意報が出た際に慌てないためにもお伝えしておこう。
まず「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、北海道から岩手県にかけての沖合の海溝で起きる巨大地震に備え、注意を呼びかける情報である。
北海道沖の「千島海溝」と三陸沖の「日本海溝」では、過去にマグニチュード7から9クラスの地震が繰り返し起きていて、最大クラスの巨大地震の発生が切迫していると考えられている。
最大クラスの巨大地震が起きると国の想定では北日本の太平洋側を中心に巨大な津波が押し寄せ、死者は最悪の場合、10万人から20万人近くに達すると想定。運用は、2022年12月16日から始まった。
北海道から岩手県の沖合にある日本海溝・千島海溝では、過去に大地震のあとに間をおかずに、さらに大きな地震の発生が確認されている。
例えば、2011年3月11日に起きた東日本大震災の場合、その2日前にマグニチュード7.3の地震が起きており、津波注意報も出ていた。
そして2日後にマグニチュード9.0の巨大地震が起き、想像を超える津波の被害に遭ったのである。
千葉県で津波の被害による死者・行方不明者は16人。
第1波が4.5メートル。第2波が2~3メートル。そして第3波が7.6メートル。
多くの人が3度目の津波にのまれたという。
茨城県でも津波による死者が5人出た。
このため、内閣府と気象庁は想定震源域やその周辺でマグニチュード7以上の地震が発生した場合、およそ2時間後をめどに「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表し、新たな大きな地震の発生に注意を呼びかける。
対象地域は、巨大地震がおきた場合に震度6弱以上の揺れや3メートル以上の津波が予想される北海道から千葉県までの7道県182市町村だ。
関東地方は、茨城県と千葉県の計23市町村。
千葉県では、旭市、いすみ市、大網白里市、勝浦市、山武市、匝瑳市、館山市、銚子市、一宮町、御宿町、九十九里町、白子町、横芝光町、長生村の14市町村。
茨城県は、大洗町、鹿嶋市、神栖市、北茨城市、高萩市、東海村、日立市、ひたちなか市、鉾田市の9つの市町村。
気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が出た場合、巨大地震が起きる確率は1%程度で、高い精度で予測したり発生を予知したりする情報ではないと強調している。
内閣府は住民に対して「事前の避難」は求めないが、情報発表から1週間程度は、日常生活をしながらも津波が発生した場合にはすぐに避難ができるよう、備えることなどが呼びかけられている。
企業や地域に対しては津波や土砂災害のおそれのある場所での作業を控えるほか、地域に住む高齢者への声かけや連絡手段を改めて確認するなどとしている。
防災対策が行われれば、国は死者を8割は減らせるという。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が浸透していない理由については、千島海溝と日本海溝で想定される巨大地震が知られていないことや運用が始まってから1度も情報が発表されていない事もあるようだ。
この情報が発表される頻度は、2年に1回程度と見込まれているが、巨大地震が起きる確率は100回に1度程度と低いうえ、防災対応を呼びかける1週間が経過したあとに大規模な地震が起きる可能性もあるなど不確実性が高いのも事実。
専門家は「情報の内容をよくわかっていない人が多い中で、実際に情報が出されたらパニックになり、各方面に影響が出るのではないか」と心配している。
内閣府は、「情報が発信された場合、1週間程度、平時よりも巨大地震の発生に注意し、地震への備えを徹底する。具体的には、安全な避難場所・避難経路の確認などの、日頃からの地震への備えの再確認に加え、すぐに逃げられる服装での就寝や、非常持出品を常に携帯しておくなど、揺れを感じたり、津波警報が発表されたりした際に、直ちに津波から避難できる体制の準備、先発地震の被害状況に応じて、揺れによる倒壊や土砂災害等のリスクから身の安全を確保する備えをする」としている。
例え確率は低くとも、「万が一」には備えておきたい。
近くの寺の境内は赤く燃え、公園は黄色の絨毯が鮮やかである。
- 12月11日
- 12月18日