浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2023年11月13日 お薬手帳は大事です

先日、定期検診で病院に行った。
お知らせの棚に「いつも持ち歩こう!お薬手帳」のパンフレットが目にとまった。
よく見ると、「災害時や不慮の事故の時にもお薬手帳があれば適切な治療に役立ちます」とある。
お薬手帳は災害時にこそ重要な役割を果たすのをご存じだろうか。
それを証明したのが、2011年の東日本大震災だった。

「お薬手帳があるのとないのでは診察にかかる時間が大きく違った」
「既処方内容、併用薬などの薬剤情報、病歴などが確認できたので、医師に情報をフィードバックすると処方がスムーズになった」(薬剤師)
「お薬手帳には血圧などの変化も記録され、単純に薬剤の記録帳としてではなく、総合的な医療情報共有ツールとして活用されていた」(薬剤師)
「治療中の病名だけでなく、履歴を見ることで病状把握に役立った」(医師)
「震災で転居されてきた方の治療内容がわかり助かった」(医師)

日本薬剤師会の報告によると、震災で医療支援に入った多くの医療従事者が、被災地で診療を行う上でお薬手帳が役に立ったと語っている。
さらに2016年の熊本地震でその大切さが改めて認識されたのである。
医療用の薬、つまり病院で処方される薬は、本来医師の診察を受けた上で処方箋を出してもらわなければ薬局で受け取ることはできない。
しかし厚生労働省は2016年の熊本地震で、持病を持つ被災者が処方箋を持たずに薬局を訪れた場合でも、後から処方箋を書いてもらうことを条件に薬局で薬を受け取ることができるようにした。
薬局の薬剤師に主治医と連絡をとってもらい、処方内容を確認してもらうのが原則。
ただし、主治医と連絡をとることができない場合は、薬歴(患者の服用履歴を薬局が管理するもの)、お薬手帳、薬の包装などから持病の薬であることがわかれば、薬剤師に薬を出してもらうことができる。

災害時には、普段行く医療機関や薬局が被災によって閉まっていることも少なくない。
他県など遠方に避難することもある。
こうした場合は普段とは違う薬局に行くことになるが、初めて行く薬局には当然、自分の薬歴はない。
ただ、お薬手帳があれば、スムーズに薬を受け取ることができる。
逆に、お薬手帳を持っていなかった被災者には、普段どんな薬を飲んでいるか分からず、最適な薬を出すのが難しい。
実際、熊本地震の際、被災者から「血圧の薬」と言われて処方したものの、普段飲んでいる薬と違ったため血圧が下がらなかった、などといった事例も報告されている。
高血圧の治療薬は大きく分けて全部で6種類。
ただし症状や体質、年齢などさまざまな状況を加味して医師の判断のもとで処方する薬を決定する。
分量なども違い、その数1000を超える。

お薬手帳を持っていれば、自分が普段どんな薬を飲んでいるか、正確に伝えることができる。
過去に飲んでいた薬から病歴をうかがい知ることもできるし、アレルギーや副作用経験の有無も分かる。
医師や薬剤師は、こうした情報をもとに、飲み合わせに問題がないかなどを判断し、適切な薬を出すことができるのである。
「持ってはいるけどきちんと使っていない」という人も多いはず。
「毎回持って行くのを忘れてしまい、家に何冊もたまっている」という話もよく聞かれるが、それではお薬手帳の意味はほとんどない。

地震などの災害は、いつ、どこで起こるかわからない。
仕事先にいるかもしれないし、旅行に出かけているかもしれない。
お薬手帳は、普段から持ち歩くのが理想なのである。

お薬手帳は大事です
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