浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2023年9月19日 酢にも歴史あり

週末、料理番組で「豚ロースのバルサミコソース」の調理方法を見た。
試食の際、出演者が「酸味の中に甘みがあり大変美味しい!」と感動していた。
出演者の感動が羨ましかった。

「そういえば、冷蔵庫にバルサミコ酢があったはず・・」と思いだし早速冷蔵庫内を捜索。
冷蔵庫下段奥に、ミイラ化した納豆や忘れ去られたキュウリの漬物と共に、冬眠中のバルサミコ酢を発見した。
調理の手順は録画してある。
「あとは、豚ロース、アスパラガスとタマネギ、そしてチューブニンニクがあれば出来るぞ。」と凍えているイタリア産バルサミコ酢のボトルを手にし、料理の気運で満ちあふれてきた。
何の気なしにボトルの裏側を見た。「BEST BEFORE2021.7.11」。
嫌な予感がした。恐らく賞味期限だ。
「もう2年前か・・しかしお酢だぞ!第一傷むのか?」
調べることにした。

まず「バルサミコ酢」は葡萄果汁を熟成させた物で、熟成期間が長ければ長いほど高価になり、100年だと1本36万円もの値がつくこともある。
もっとも、スーパーに並んでいるのは「バルサミコ酢」ではないという。
バルサミコ酢はイタリアの全土で作られているわけではなく、北イタリアの モデナ地区とレッジョ地区で作られたものだけが「バルサミコ」と呼べることになっている。
ワインで言う「シャンパンはフランス・シャンパーニュ地域産のもの」と同じようなこだわりがあるらしい。
イタリア語の"Balsamico"(バルサミコ)は、英語の"aromatic"(かぐわしい、芳香の)という言葉に対応する。
バルサミコは、そもそも殺菌作用に優れた「酢」であるため、もとは薬用として評価が高いものだった。
17世紀には、うがい薬にしたり、強壮剤、養毛剤として用いたり、疫病、特にペストに対する予防効果があるとして使用された。
その結果、持ち運びに便利なように小さな樽に入れて売られるようになったようである。
特にサクラ材の樽で長年熟成をさせたバルサミコには、ポリフェノール成分が大量に含まれるそうだ。

ところで、酢の賞味期限はもともと定まっておらず、醋酸の濃度によってまちまち。
また海外では、醋酸の濃度が高い場合や、量が少しであれば賞味期限を記載する義務がないという。
高級品は熟成期間ですでに10年以上経っていることから、未開封であればそれほど気にする必要はない。
しかし、一般家庭で使われる比較的安価なものに関しては、未開封の場合でも5年間以降は変質するとされるため、それくらいを目処に使い切ることが勧められている。
私のように開封した物はどうか。
開封した場合は、外気に触れて酸化が進んでいるため、賞味期限はさらに短くおよそ1~3年とされる。
開封の有無に関わらず濁っていたり風味に変化があれば、賞味期限切れと判断した方がよいようだ。
私のバルサミコ酢は、セーフだった。

まとめると、バルサミコ酢は酢の中でも醋酸度が6%以上と高い種類の酢。
こういった酢は基本的に賞味期限の表示がないことが多く、開封後も長期保存ができるようになっているが、保存条件の影響は受けるため、やはり注意した方が良さそうである。
瓶の口から雑菌が繁殖しやすくなるためなるべく清潔にし、使用後は酸化を防ぐ目的でしっかり栓をする。
夏場は冷蔵庫に入れ、その他は冷暗所に保管して発酵しないように注意すると長く保存ができるようだ。
普段使い慣れていないバルサミコ酢も調べてみると色んなレパートリーがある。
オーソドックスなバルサミコソースは、バルサミコ酢に赤ワイン、砂糖、バターで作ったソース。
これに醤油などの調味料を加えて煮詰めるソースもあれば、バルサミコ酢にハチミツだけを加えて作る一風変わったソースもある。

基本のレシピ(2人分)
バルサミコ酢1/4カップ(50ml)
赤ワイン1/4カップ(50ml)
砂糖大さじ2
バター10g
<作り方>
上記の材料を鍋に入れて弱火にかけ、半量になるまで煮詰め、最後にバターを入れる。

実際に作ってみた。
豚肉や野菜にソースが絶妙に絡まり、久々に自分で作った美味しい料理味わえた。
それにしても、世の中知らないことばかり。
又一つ利口になった、かな。

酢にも歴史あり
酢にも歴史あり

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