浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2023年5月22日 装飾花も濃くなって

街では今年も紫陽花の装飾花が色づき始めた。
紫陽花は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木の一種である。
よく言われる知識として、私達が「花」と認識する所は、正式には「装飾花」と呼ばれ、花ではなく「がく」が発達したもの。
紫陽花の本当の花は「小さな粒々」の部分。ここを真花(しんか)といって、装飾花をかき分けると根元にある。
そして気象台が発表している開花も、この真花が咲いたことをいうのだ。

それにしても、「アジサイ」はどうして「紫陽花」と表記するのだろう。
調べてみると、紫陽花という名前は、まず「アジサイ」という呼び名(音)が生まれ、そののちに「紫陽花」という漢字があてられて誕生したようだ。
まず、アジサイという名前は「真の藍色(あいいろ)の花が集まり咲くこと」という意味から、漢字の「集(あず)真(さ)藍(あい)」に由来しているといわれている。
日本にもともとあった紫陽花は「藍色のガクアジサイ」だったので、青い小さな花が集まっているものが当時の人の紫陽花のイメージだった。
そのため、このような名前になったという。

次に「アジサイ」を漢字で「紫陽花」と書くようになったのには、紆余曲折があったようだ。
漢字の「紫陽花」には、とても美しい意味が込められている。
これには唐の時代の詩人・白楽天が書いた「白氏文集律詩」におさめられている漢詩の一節が由来になっている。
白楽天は、知人から「ある花」の名前を聞かれ、答える際に「陽光に映える紫色の花なので、紫陽花とでもしておこう」と詠んだ。
ただ、白楽天の頃の中国に、現在の紫陽花はまだなかった。
実際に、「ある花」が何かはわかっていない。
現代のアジサイが「紫陽花」と表記されるようになったのは、平安時代の歌人、源順(みなもとのしたごう)の勘違いが原因だという。
源順は「陽光に映える紫色の花」と聞いて、日本古来のガクアジサイのことだと思いこんだ。
そのため、紫陽花を当て字で「アジサイ」と呼ぶようになったのだ。
一人の歌人の思い込みから無理矢理「紫陽花」が当てられた。
七夕を「たなばた」と読む位、漢字表記から距離のある読み方である。

紫陽花の特徴を捉えているのは花言葉だ。
その1つに「移り気」がある。
紫陽花は土壌がアルカリ性であれば赤系になり、酸性化であれば青系になるといった具合に、土の性質によって花の色が変わる。
また、咲き始めはクリーム色だが、その後水色、青、青紫、赤紫へと咲き終わりまでの間に色が変化することでも有名だ。
そのため、七変化という別名もあるほどである。
浮気をイメージさせるマイナスな花言葉のために、従来は結婚式やプレゼントなどのシーンでは避けられていた。
しかし、紫陽花の種類も増し、ポジティブな花言葉が広まるにつれ、今では紫陽花を結婚式のブーケやプレゼントとして使う人も増えてきている。
その花言葉とは、「家族団欒」や「家族の結び付き」。
小さな花がたくさん集まって咲いている様子を家族に例えた花言葉だ。
日本でよく見かける青や青紫色の紫陽花の花言葉は「冷淡」「無情」「高慢」「辛抱強い愛情」「あなたは美しいが冷淡だ」などの意味。
一方ヨーロッパなどでよく見られる華やかなピンクや赤紫色の紫陽花は「元気な女性」、可憐な白い紫陽花は「寛容」という花言葉を持つ。
紫陽花の花言葉も品種改良という努力と共に変化している。
今年も紫陽花の成長を見ながら「人だって変われるんだ」そう感じた。

装飾花も濃くなって
装飾花も濃くなって

雨の季節を彷彿とさせ
雨の季節を彷彿とさせ

花火の様な
花火の様な

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