浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2022年10月24日 博多織献上柄

週末、活躍している2人の方とお話をした。
金曜日、ある会合で「MOSバーガー」の社長とお話する機会があった。
MOSバーガーのMOSは、
M-Mountain(山)
O-Ocean(海)
S-Sun(太陽)の頭文字をとっている。
この「山・海・太陽」にはそれぞれ、「山のように気高く堂々と」「海のように深く広い心で」
「太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って」という意味が込められている。

MOSバーガーはコロナ禍でも好調を維持している事でも有名だ。
それは、組織変更に加え、テイクアウトという販売形態が強みになったことが大きかったという。
変更以前は「おいしい商品を作れば、お客様は来てくれる」という思考が強かった。
しかしマーケットは多様化している。
顧客の要望をもっと聞いて商品づくりに生かすべきだと考え、お届けサービスや、ネット注文をかなり前から実施していた。
それがコロナ禍で功を奏した。
ネット注文は、コロナで最大8%まで伸びたという。
MOSの意味を貫き、情熱を持ち続けているからこその結果といえる。
とても気さくにお話をして頂けたこと、光栄だった。

翌日、博多織の伝統工芸士とお話しした。
あるご縁で、博多織のネクタイを購入した。
落ち着いた色と柄、けれど決して地味ではない。締めてみて、改めて博多織の良さが伝わってくる。
お話を聞いて、行程も大きく分けて10程あると知った。
博多織の特徴は、経糸(たていと)の本数が通常の3〜4倍あり、生地に厚みや張りがあること。帯にすると刀を差しても緩みにくいため、武士の帯として珍重され、「博多織」と呼ばれた。

鎌倉時代、宋へ渡った博多商人・満田彌三右衛門が、現地で習得した織物の技法を、1241年帰国後に独自の意匠を加えて制作したものが博多織の起源と言われている。
江戸時代、黒田長政が幕府への献上品として博多織を用い、その際の柄が後に「献上柄」として、博多織の代表的な柄となった。
その模様は仏具の「独鈷」と「華皿」との結合紋様と中間に縞を配している。
この模様にはそれぞれ意味があり、「独鈷」は煩悩を打ち払うなど、厄除け、家内安全、無病息災、子孫繁栄の祈りが込められている。
黒田長政が徳川幕府への献上品に指定した理由は、博多織が織物として素晴らしいだけでなく、この柄が意味する祈りが込められた柄だからと考えられる、という。
現在は、一般の方は勿論だが、私は力士が締めている帯でこの献上柄を何度も見ていた。
よく験を担ぐ角界である。博多帯の意味を考え改めて納得した。

話を聞いた伝統工芸士は、完成した製品の検品をしているという。
すべて手作業で行う補修作業は、実にキメ細かで豊富な経験と織物の知識を生かし、絹針を巧みに操り、完璧な商品へと仕上げている。いわば博多織のアンカーである。
そんな工芸士の趣味は、家庭菜園。
「博多織も絹ですから自然の恵み。栽培している野菜なども自然からの贈り物です。自然に感謝し、素直な心でいたいと思っています」
自分の役割や意味をしっかり意識していると感じた。

物事(組織や製品)には、様々な意味が込められている。
全てではないだろうが、私達が日々を暮らすことにも、意味が存在しているのかもしれない。
それを忘れてはいけないのだ、改めて教えて頂いた。


博多織献上柄
博多織献上柄

意味を持つ柄
意味を持つ柄

秋の鯉のぼり
秋の鯉のぼり

花の色にも意味があり
花の色にも意味があり


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