浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2022年10月17日 増上寺特別公開

文化放送から歩いて10分の所に増上寺がある。
先日、安部元総理の葬儀が行われた場所としても記憶に新しいお寺であるが、徳川家康の菩提寺で浄土宗の七大本山の一つだ。
その増上寺で、現在「三解脱門展」が行われている。
増上寺の表の顔として、道往く人々にその威風堂々とした姿を見せるこの門は、増上寺の中門に当たり、正式名称を三解脱門という。
三解脱門とは、貪り「貪欲(とんよく)」、怒り「瞋恚(しんに)」、愚かさ「愚痴(ぐち)」の三つの毒から離れ、極楽浄土に入る心をつくるための門とされている。

増上寺三解脱門は元和8年、1622年に建立されて以来、増上寺の諸堂宇のほとんどが災害や戦災により焼失しているなか、江戸初期から現存する貴重な国指定重要文化財で東京都で最も古い木造建築の一つだ。
今年は三解脱門が建立されてから400年に当たることを記念し、2011年以来11年ぶりの特別公開である。
11年前、個人的に三解脱門を拝観しようと考えていたが、東日本大震災が起き中止となった。
あれから11年がたった。そして週末特別な思いで足を運んだ。

拝観料1000円を券売機で求め、特別に設えた急な階段の手摺りを掴みながら恐る恐る上った。
楼上に上がると、そこは別世界だった。
400年という時の流れに抗うような、木造の空間。時の流れに木の色は褪せている。
そこに、通常目に触れることのない由緒ある仏像が鎮座していた。
入り口近くから、中央に向かって、十六羅漢像や増上寺歴代上人像が安置されている。
中央に釈迦三尊像、その左右に8軀ずつ、16軀の羅漢像が安置。釈迦三尊の中尊は釈迦如来坐像。
向かって左の普賢菩薩坐像は象に乗り、右の文殊菩薩坐像は獅子に乗り衣には蒔絵風の模様がある。
三尊の脇壇上に腰かけ、あるいは坐っている十六羅漢像の衣は極彩色。
玉眼で、今にも動きそうな表情だ。撮影も許されている。

近年の研究では室町時代末期から江戸時代初期にかけて南都を中心に活躍した下御門仏師・宗印一門の手によるもので、制作年代は天正末年から慶長前半あたりと推測されている。
像と反対側の外に目を向ければ、江戸時代の人々が眺めたように門前の街並みを見渡すことができる。
残念ながら文化放送の社屋は見ることは出来ないが、緩やかに吹く風を頬に受け、
「400年前、この場所で、海を眺めながら潮の香りを感じていたのだろう」と、江戸の時代に想いをはせた。
そして「古と、間違いなく私達は繋がっている。今も昔も変わらない大切なことは何か」そんなことを考えた。


増上寺特別公開
増上寺特別公開

三解脱門全景
三解脱門全景

羅漢さまと上人さま
羅漢さまと上人さま

三尊像
三尊像

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