浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2022年9月12日 彼岸前

岐阜の知人から、「彼岸花が咲いた」と知らせがあった。
東京・浜松町辺りでは、今年はまだ見かけていない。
もっとも、場所によってはすでに咲いているところもあり、千葉県八千代市の村上緑地公園の彼岸花は、早咲きの小彼岸花は咲き、遅咲きの彼岸花は芽が出始めたところという。
彼岸花は、リコリスは球根植物の一種で、葉が生えてくるよりも先に花茎を伸ばし、頂部に花を咲かせる。
秋の季語としても知られる彼岸花は、昔から日本で親しまれてきた植物である。
特徴として挙げられるのは、種をつけないこと。
基本的に種子を残さず、球根が分球して増えていく。そのため、個体ごとの変異が現れず、遺伝的に同じクローンが連綿と続いていることになるのだ。

彼岸花は、日本人にとって身近な植物で、畦道や川に面した土手、お寺や墓地などに自生し、季節の訪れを告げてくれる存在。
彼岸花はリコリンと呼ばれる毒性があることから、虫除けや獣除け、または雑草除けとして、人間の手で植えられたと考えられている。
人間が食べても、すぐに死に至るほどの毒性ではないと言うが、嘔吐などの中毒症状が現れるようなので注意は必要である。
生活に根ざした植物であることは、彼岸花が地方ごとに何百種類もの別名を持っていることからもうかがえる。

赤花を指す梵語からきている「曼珠沙華」はよく知られている。
「きつねの花火」「ちょうちん花」は見た目の美しさから親しまれたようだが、「じごく花」「しびと草」「いっときごろし」などの呼び方もある。
これは毒性を持ち、虫や獣除けとして墓地などにも植えられたことから来ているとも言われている。
このような名前から「縁起が悪い」として、日本では庭先に植栽するのを嫌ってきた経緯があるようだ。
しかし、そのような文化がないヨーロッパでは、美しい花として人気があり、品種改良も進んでリコリスとしてカラフルな花色が揃うという。
近年では日本でも逆輸入の現象で、彼岸花の仲間と捉えずにリコリスがガーデニング向きの草花として見直されてきているそうだ。

曼珠沙華が群生している場所として、埼玉県の巾着田が有名だ。
埼玉県日高市内を流れる清流、高麗川の蛇行により長い年月をかけてつくられ、その形が巾着の形に似ていることから、巾着田と呼ばれるようになった。
直径約500メートル、面積約22ヘクタールの川に囲まれた平地には、菜の花、コスモスなどの花々が咲き、中でも秋の曼珠沙華群生地は辺り一面が真紅に染まる。
HPを見ると、今年も順調に生育し、9月中旬頃からが見頃になる見込みだという。

空事の紅もまじりて曼珠沙華 斎藤玄


彼岸前
彼岸前

彼岸前
彼岸前

浜松町の曼珠沙華?
浜松町の曼珠沙華?

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