寺島尚正 今日の絵日記
2022年8月29日 心にビタミン
この夏の暑さで、心身共に「夏バテ」を感じていたこの頃「心にビタミンを」と考え、劇団四季の公演を観に行った。
観劇したのは、現在、劇団四季「秋」で行われている「バケモノの子」。
以前映画を観たことがあり、ストーリーは知っている。
劇団四季はこの作品を、ミュージカル作品として、どう料理してくれるのか楽しみだった。
旧・四季劇場の伝統と歴史を受け継ぐ劇団四季の新拠点。新しい街として誕生した複合施設「ウォーターズ竹芝」内に2020年オープンした「秋」。
新装なった劇場に足を運ぶのは初めてだ。
エスカレーターで劇場まで上がり、ホールに入ると、1200人を、ゆったりとした空間が迎えてくれる。
新型コロナウイルス感染予防のため、「会話はお控えください」のボードを持った係員が多数配置され、対策にベストを尽くしている姿勢がうかがえる。
定刻に芝居が始まった。
物語は、人間と、人間の世界とは別のもう1つの世界、つまりバケモノの世界がある、という設定で始まる。
簡単にストーリーを紹介すると、
バケモノ界では、長年バケモノたちを束ねてきた宗師が、今季限りで神に転生することを宣言。数年後に試合で、次の宗師を決めることとなった。
宗師には、強さと品格が求められる。
候補者は、とにかく強いが乱暴者の熊徹と、強さも品格もあわせ持つ猪王山。
熊徹は、宗師より、弟子を取ることを課せられる。
その頃、人間界では、小学3年、9歳の少年が絶望の淵にいた。
少年は、両親の離婚で父親と別れ、母とも死別。行くあてもなく途方に暮れていた。
ある夜、弟子を探していた熊徹と出会い、化け物の世界に迷い込む。
そして、独りで生きるための「強さ」を求めて、熊徹の弟子となることを決意。
少年は「九太」と名付けられた。
初めは、ぶつかり合う2人だったが、修行の日々を重ね、互いに成長し、本当の親子のような絆が芽生え始めていった。
時は流れ、九太は17歳と成長。
熊徹の一番弟子としてその強さを知られるようになっていたが、バケモノと人間のあいだで「自分は何者か?」と揺れ動いていた。
ある日、偶然人間界に戻った九太は、高校生の少女と出会って新しい世界を知り、自身の生きる道を模索していく。
やがて訪れた次期宗師を決する闘いの日。
人間とバケモノの二つの世界を巻き込んだ大事件が起きてしまう。
正直に言おう。ミュージカルで初めて泣いた。
少年の声、青年の声、見守る師匠や母親・父親の歌声、どれも心に響いた。
最近涙腺が弱くなってきたことを差し引いても、流れる感動の涙は止められなかった。
力や強さの本当の意味、そして「心の剣」を、しっかり握ろうと強く感じた。
何より、出演者1人1人の芝居に込めた思いが、今でも心に響いている。
私も一所懸命に自分に与えられた役目を果たそう、強く思った。
「心にビタミン」大切だなあ。