寺島尚正 今日の絵日記
2022年6月6日 紫陽花
水無月に入り、関東も梅雨入り間近となった。
梅雨といえば、湿度が高く、ムシムシする季節。
近年は熱中症が心配される季節でもある。
すでに北海道から沖縄まで、5月末までの1か月余りでなんと2500人以上が熱中症の為、搬送されている。
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指す。
屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 救急搬送や、場合によっては死亡することもある。
熱中症が起こるメカニズムを確認しておこう。
人の体の中ではいつも熱が作られている。これを産熱という。
この熱を外に逃がす(放熱)ことで、体温は36度から37度に保たれている。
しかし、運動や作業などで身体を活発に動かすと、筋肉などで多くの熱が作られ体温は上がる。
また、たとえ身体を活発に動かさなくとも、暑いところにいたり日差しや照り返しで体温が上がることがある。
体温が上がると皮膚の下に流れる血液の量が増えて体内の熱を身体の外に逃がしやすくなる。その血液が身体全体に行き渡るため、一時的に血液が足りなくなり、血圧が下がることがあるのだ。
その際、脳に十分な酸素が送られず、酸欠状態になり、めまいや立ちくらみ、意識を失うこともある。
これが、熱失神である。
さて、著しく体温が上昇するときには、汗をかいて体内の熱を外に逃がす。
その汗をかいた後、体内に十分な水分補給がされないと、脱水症状になる。
脱水症状が続くと、全身倦怠、頭痛、悪心、嘔吐などの症状が出てくる。
これを熱疲労という。
ところで、汗は血液から作られる。
汗には電解質が含まれており、汗をかくと電解質も失われる。
最も失われる電解質はナトリウム、塩分。
汗をかいたとき、水だけ飲んで塩分を補給しないと塩分不足に。
塩分は筋肉の収縮を調節する役割があるため、塩分が少ないと足がつったり、筋肉の痙攣を引き起こす恐れが出てくる。
これが熱痙攣である。
さらに体温が上がり体温調節が追いつかなくなると、脳に影響が及び、倒れたり、意識障害をきたすことがある。
これが熱射病である。
7月から8月の日中、最高気温が高くなった日に熱中症の患者数が増加する。
また熱帯夜が続くと、夜間も体温が高く維持されてしまうため、熱中症が起こりやすくなることがわかっている。
熱中症による救急搬送は、真夏日(最高気温が30度以上)になると発生し始め、猛暑日(35度以上)では急激に増加。
一方で、これから迎える梅雨の晴れ間や、梅雨明けの蒸し暑くなった時期にも熱中症は多く見られる。
この時期は身体がまだ暑さに慣れていないため上手に汗をかくことができず放熱量が低くなる為、体温をうまく調節できないからだ。
暑い日が続くと、次第に身体が暑さに慣れて来る。
これを「暑熱順化」という。
熱中症が起こりやすいのは、気温が高いときだけではなく、湿度が高い時にも汗が蒸発しにくく、体温が上昇して熱中症が発生しやすくなる。
熱中症の原因となる暑さの要素、気温・湿度・輻射(放射)熱・気流を総合的に考慮した指数を「暑さ指数」というが、この暑さ指数が高い時に熱中症が起こりやすいため、この指数が労働現場、スポーツ時、日常生活での熱中症予防の目安として使われている。
熱中症の起きるケースには、スポーツの時、仕事場で起きる時、室内で起きる時に分けられるが、特に室内に焦点を当ててみよう。
就寝時の注意は勿論だが、家の中のお風呂場、洗面所は洗濯機や乾燥機の熱がこもりやすく湿気もある。
掃除の際などこのような場所で長時間過ごすときはこれからの季節、注意が必要という。
人間は発汗以外にも皮膚及び呼気から水分を失っている。これは意識しなくても起こることで、汗をかいていなくても水分補給は必要となる。
十分な睡眠の確保、栄養補給を基本として熱中症対策を今一度頭に入れておこう。
梅雨時にほっとするのは紫陽花。
その様々な花の姿から、涼しさをプレゼントしてくれている。