寺島尚正 今日の絵日記
2022年5月30日 目で涼む
6月を前に厳しい暑さがやってきた。
5月29日日曜日、栃木や群馬では35度超えの猛暑日となった。
5月中に全国で初の猛暑日が観測されるのは、2019年5月25日に大分県竹田市で35.0℃を観測して以来、3年ぶり。
また関東地方が全国で初の猛暑日になるのは、2018年6月25日に栃木県佐野市で36.4℃を観測して以来、4年ぶりである。
都心でも最高気温が31.2度と今年初めての真夏日だった。
都内では29日午後3時までに熱中症の疑いで3歳から86歳までの男女5人が病院に搬送されたという。
私も昼頃「第83回岩本町・東神田 ファミリーバザール」に行った。
車道の一部を通行止めにして衣料品や日用雑貨のテントが200以上出店していて、お買い得品を多く購入できたが、額からは汗が流れ、ミニタオルと水分補給が欠かせなかった。(6月4日、5日も開催)
この時期はまだ体が暑さに慣れていないため熱が体の中にこもり、熱中症の危険性が高くなるので気をつけたい。
猛暑、酷暑という言葉にすっかり慣れてしまっている昨今。
エアコンを適宜使うことは大切だが、視覚や聴覚を利用して暑さを軽減するのも効果はあるようだ。
視覚でいえば、木々が風にそよぐ動きや、星の瞬き。
音でいえば、小川のせせらぎや、しとしと降る雨音、風鈴の音など。
これらに共通するものは何だろう。
「1/fゆらぎ」という言葉を聞いたことがないだろうか。
自然界に存在するものには、必ず「ゆらぎ」がある。
私達には一定に聞こえても、それは厳密には一定ではなく「ゆらぎのない自然物」は存在しないという。
一方で、日常生活でゆらぎがあると困るものの代表は、階段や時計。
定規や秤などの計測器もゆらぎがあっては困る。
しかし天体の軌道運動をはじめ、宇宙を形成するあらゆる分子の動きにはゆらぎがある。
時計は、これら天体が本来持つ小さなゆらぎを修正して人工的に刻ませているのだ。
また、その「ゆらぎ」が大きいと意外性・突発性が高く、次に何が起こるか分からないので人は不安になる。
逆に「ゆらぎ」が小さすぎると、安心だが、単調で変化がないので飽きてくる。
1/fゆらぎは、規則性と突発性、予測性と逸脱性が適度に組み合わさったゆらぎで、居心地のよい空間と情報を与え、人の心を落ち着かせるのである。
福岡県田川市にある三井寺の境内では、毎年この時期、風鈴が飾られ、およそ1万個の風鈴の道は50メートルにわたる。
風が吹き抜けると涼しげな音色が響き渡り、境内は早くも夏の景色に彩られる。
早くも風鈴の音が恋しい気温になってきた。