寺島尚正 今日の絵日記
2022年2月14日 白はこれから
こちらを記している現在は、13日、日曜の夕方。
東京・浜松町は冷たい雨で、256mある虎ノ門ヒルズビルの上層が雨雲に隠れ始めた。
午後4時過ぎ、13日夕方から14日朝にかけて東京23区など関東南部の平野部でも大雪のおそれがあるとして、国土交通省と気象庁は「大雪に対する緊急発表」を行った。
気象庁は、今月10日から11日にかけての雪よりも、今回は雪が降る時間が長く、気温が低い時間帯が続くため、積雪も増えると予想している。
先月1月6日、東京都心の積雪が10cmとなるなど、関東南部で大雪となった際には、首都高速道路で冬用タイヤを装着していない車が多数立往生し、解消までに最大で14時間がかかったほか、主要な国道でも、冬用タイヤやチェーンをつけていなかった車のスリップ事故が多発した。
なぜ東京はこんなにも「雪」に弱いのだろう。
結論から言えば、「雪国とは雪に対する備え方の違い」があるから。
雪国では、道路も鉄道も空港も、施設の耐寒・耐雪化を施し、除雪・排雪の準備を毎年8月末から行って、来る冬に備えている。
道路では、除雪車や除雪に使える建設機械の台数。
雪国と、そうでない町を比べると、10倍というところもある。
一般住民も、スタッドレスタイヤを当たり前に装着し、スコップなど非常対策の道具も用意している。
鉄道では、首都圏のJR東日本では主要なポイントの下にカンテラを置いて炎で雪の付着を防いでいるが、大雪には歯が立たなかった時も少なくない。
JR北海道では、殆どのポイント可動部にヒーターを設置したり、主要なポイントには対策をしているので、多少の雪なら被害は少ない。
車両も、パンタグラフを押し上げる力が違ったり、冷却装置への空気取入口に雪が入らないような工夫、客室乗降ドアのステップにヒーターが設置されているなど、車両は耐寒・耐雪仕様になっている。
それでも、先日の札幌市を中心とした6日の記録的な大雪では、JR北海道は除雪が間に合わず、札幌駅を発着するすべての列車で7日の始発から終日運休した。
空港の除雪体制では、羽田空港は4本の滑走路に対し除雪車は各種合わせて16台だが、北海道の新千歳空港では2本の滑走路に対し83台あるという。
翼や胴体に積もった雪を排除して、凍り付かないよう薬剤を噴射させる装置は、羽田空港はJALとANA合わせて30台程度、新千歳空港では15台ほど。
新千歳空港は発着回数が羽田空港の3分の1ということを考えると、1台当りの受け持ち便数は羽田空港の1.2倍ある計算になる。
では、首都圏も雪国並の備えをすれば良いのかと言うと、そうはいかない。
10年に1回あるかないかの大雪のために、1台数千万円もする除雪車を何十台も購入するのは、合理的ではない。
鉄道で、全てのポイントにヒーターなどを設置したら、運賃値上げに繋がりかねない。
毎年、東京も大雪の日が増えるとなれば、供えなくてはならないが、こればかりはその年のお天気次第なのである。
気象庁は、大雪となった場合、不要不急の外出を控えることも必要だとしている。
今は受験シーズン。
大雪だろうが大雨だろうが出かけなければならない人も多いはず。
時間には余裕を持って行動して頂きたい。
近所の公園に咲く紅梅は満開、隣にある白梅は、漸く蕾が膨らんで来た。
梅咲くや 何が降ても 春ははる 加賀千代女