寺島尚正 今日の絵日記
2021年11月15日 秋の空
日本三名園の一つで「梅の名所」となっている水戸市の偕楽園では、梅の花を綺麗に咲かせるための枝の剪定作業が行われている、とのニュースを聴いた。
水戸市の偕楽園には、およそ100種類3000本の梅の木が植えられていて、毎年2月から3月に本格的な見頃を迎える。
現在、剪定作業が行われ、ベテランの職人が必要のない枝を見極め、業者が鋏で上に長く伸びたり複雑に生えたりする枝を切り落としている。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という諺がある。
桜の花は、枝が細かく分かれたその先に咲き、主に枝の先端に花芽が多く付きやすいため、一度剪定して新たに伸びた枝の途中には花が咲かない。
また、桜の枝は切り口から腐りやすいため剪定してはならないといわれる。
特に桜の品種であるソメイヨシノは幹に腐朽菌が入るとたちまち侵され、中が空洞になってしまうとある。
桜の剪定は難しいのだ。
こんな理由から、桜は古い枝を大切にしていないと全く花が咲かず、「桜切る馬鹿」となりやすい。
一方、梅は伸びた枝全体に枝から直接花が咲くため、小枝を刈り込んで新しい枝を伸ばした方がそこにも多くの花が咲いてくれる。
加えて梅は剪定しないと樹形が崩れてしまうという。
梅は古い枝はすぐに枯れてしまうので、積極的に剪定し新しい枝を伸ばした方が良いので「梅切らぬ馬鹿」というわけだ。
正確には、桜は剪定しない方が良いのではなく、梅はいくら切っても大丈夫な訳ではない。
とにかく桜は腐朽菌に弱いので、太い枝を切った途端に感染しやすくなる。
では剪定しない方が良いかというとそうではなく、桜も適度な剪定をした方が元気を保てる。
桜の剪定方法は、とにかく太い枝を切らないこと、そして、細い枝のうちにしっかりと手入れし、太い枝を切らなくて済むように管理してあげることなのだ。
しっかり剪定してあげると樹木の風通しがよくなり、腐朽菌や害虫の発生抑制につながるのだ。
梅の管理も基本的にはサクラと一緒。
太い枝はなるべく切らないようにする。
細い枝を剪定し、風通しを良くする。
これに尽きるという。
ただ、梅の方が桜に比べて腐朽菌に強いというだけで、やはり太い枝を落としたところから腐りやすい。
樹木は基本的に強剪定で大ダメージを受ける。
しっかりと毎年管理してあげることが大切なのだ。
桜、梅ともに適切な時期に適切な方法でお手入れをしてあげる、という事なのだ。
街を歩くと、木々の紅葉と山茶花の花が目につくようになった。
山茶花の一輪咲て秋暮れぬ 正岡子規