寺島尚正 今日の絵日記
2021年10月4日 昆虫(ムシ)も喜ぶこの香り
台風16号が過ぎ、土曜は台風一過晴天となった。
陽の光を浴びながら路地裏散歩をしていると
ふと花の甘い匂いを感じた。
マスク越しなのに、である。
辺りに人がいないのを確認し、マスクから鼻だけ出してみた。
やはり感じる。キンモクセイの香りだ。
以前も記した通り、今年は既に咲いている。
キンモクセイの「2度咲き」は、以前から研究者の間で知られ、愛好家の中でも「地球温暖化の影響では」などと話題になっていたようだが、詳細は分かっていなかった。
これまでに有志が調べたことがあるという。
ある住宅街で、キンモクセイの30近い株を選び、開花状況をチェック。
ほとんどの木で12日間開けて2度の開花ピークがあった。
2度目の花の数は7分の1程度に少なくなり、香りも弱かった。
花の数を調べると、2度目のピークでは、枝の途中から出る「不定芽」から咲いた花が多かった。
不定芽は未発達の花が多く、遅れて開花する傾向があるのではないかという。
またある研究者は、キンモクセイの2度咲き現象が近年の温暖化の影響である可能性を検討するため、夏季から秋季にかけて野外の気温に対して3℃高くした空間でキンモクセイを栽培した。
その結果、2度咲き現象を再現でき、外気温区の開花ピークは1度だけだったのに対し、加温区では2~3度咲き現象を確認。
また、開花の開始は遅れ、開花期間は長期化した。
外気温区では2週間程度だったが、加温区全体では5~6週間開花が継続。
考えられるのは、夏から秋季の高温化によって栄養成長が促進されたか、秋の気温低下の遅れから栄養成長停止が遅れたことが、花芽の発育を抑制した可能性だ。
キンモクセイの開花遅れと、長期間にわたる香りの持続は、夏の異常高温で栄養成長の促進と2度咲き現象が起きたからではないかとしている。
まだまだ研究中のようだが、個人的にはキンモクセイの香りが、長く街に漂うのは大歓迎である。
アレルギーの方には申し訳ないが...。
翌日、緊急事態宣言が解除されて初めての日曜。
青空のもと、午前11時に竹芝桟橋から「おがさわら丸」が銅鑼の音の合図とともに、マスク姿の旅人を大勢乗せ、ゆっくり離岸していった。よい旅を!