寺島尚正 今日の絵日記
2021年8月30日 残暑から秋刀魚を憂う
今週は9月。残暑は厳しいとはいえ、もう秋である。
秋の味覚の代表的な鮮魚と言えば秋刀魚。
旬の秋刀魚は脂ののりが良く、塩焼で食すのが毎年楽しみだ。
秋刀魚は餌を食べてから排出するまでの時間が短いために、
内臓にえぐみがなく、塩焼の時に「はらわた」も美味しく食べられるのが特徴。
さらに秋刀魚には、血液の流れを良くすると言われる成分が含まれており、
またドコサヘキサエン酸も豊富に含まれていて、悪玉コレステロールを減らす作用があると言われている。
その秋刀魚船が北海道より北の海域で漁をし、各港に水揚する時期となった。
生の秋刀魚の販売時期は毎年8月末~10月のおよそ1ヶ月だけだ。
秋刀魚は8月末頃、北海道東で最初に水揚げが始まる。
そして徐々に三陸沖まで水揚げが南下。
三陸沖の海は、親潮と黒潮がぶつかる世界三大漁場。
そのためエサが豊富で秋刀魚に脂が乗るという。
この期間の秋刀魚は、脂も乗っていて、新鮮な秋刀魚でしか味わえない「秋刀魚の刺身」が楽しめる。
その北海道沖秋刀魚漁の主力となる棒受け網漁を行っていた大型船が27日朝、
根室市の花咲港に戻り、初水揚げを行った。
秋刀魚の水揚げ量が11年連続で全国一の根室市の花咲港、
27日は、およそ79トンが水揚げされ、前の年の1%の、
わずか6トンと過去最低だった去年の初水揚げこそ上回ったが、例年と比べて低い水準だ。
気になる脂の乗りも十分ではなく、100グラムに満たない身が細いものが多いという。
秋刀魚漁不振の原因は、いくつか指摘されている。
海の潮流や水温の変化、同じ餌を食べるマイワシの増加などが影響していると言われているが、はっきりと分かっていない。
水産庁は7月30日、8~12月の道東から常磐海域におけるサンマの長期漁海況予報結果を発表した。
今後の棒受網漁の対象となるサンマの来遊量は「(史上最低となった)前年は上回るものの、
(低水準だった)一昨年は下回る」という過去2番目に少ない予測だ。
秋刀魚のように環境が変わって減る魚種もあれば、増える魚種もある。
近年、資源量が増えている魚種は、マイワシ、マサバ、ブリなど。
マイワシは、ここ数年、数量だけでなく、脂のノリや味も良い状態にあるという。
価格も安く、栄養的にも動脈硬化を防ぐEPAを多く含むなど、優れた魚といえる。
秋刀魚が引き続き取れない場合、その代替となり得るのは、マイワシといえる。
一部の秋刀魚加工メーカーが、マイワシへのシフトを始めているという話も聞いた。
一方で、必ず変化が起きるのが自然界。
日々の食文化など守っていくために最も大切なのは、自然の変化に対応することなのではないだろうか。
とはいうもの、なるべくお安くいただきたいものである。
残暑の気温と同じく「高い」のは、もう遠慮願いたい。