寺島尚正 今日の絵日記
2021年8月2日 暑さに咲く花
8月に入り、東京オリンピックも後半に入った。
無観客で行われているからか、歓声の無い分、
ソフトボールや野球など屋外の競技では、セミの大合唱が話題となった。
そして、1日行われた男子ゴルフではセミに加え、カラスの鳴き声が響き渡った。
特に、選手が集中している場面で「カーカー」」と鳴くカラスに、タイミングを狂わされる選手も出たという。
八王子の自宅近くでも、電線にとまり「カアカア」喧しい上に、
この時期セミを追いかけまわし、糞も平気で落としてくる。
カラスが鳴く理由を調べてみると、
1.仲間への合図
目的地に向かう際、はぐれないようにするため「カァ~カァ~」と仲間に対して送りあう。
2.縄張り確認
「カァッカァッカァッ」と断続的な鳴き声は、縄張りを主張しているときの鳴き声だといわれている。
特に朝この鳴き声を聞くことが多い。
3.威嚇、攻撃
繁殖期などは、カラスは縄張りに近づくものに対して攻撃的になる。
縄張りに近づくと、まずは「カァァカァァ」と警告してくる。
それでも立ち去らないと、鳴く間隔が速く短くなっていく。
そして最終的には「ガァッ!ガァッ!」と濁った声で鳴き、襲い掛かってくるケースがあるという。
カラスの鳴き声と回数の関係は
1回:挨拶
2回:空腹、注意喚起、強調
3回:安全、満足、位置表示
4回:警戒、危険、威嚇
5回:警戒、逃げろ
6回:敵がいる
また、澄んでいる声や濁っている声で微妙にニュアンスが変わってくるという。
意外とカラスのコミュニケーションは複雑なようである。
公園や街路などで見かけやすい「ハシボソガラス」や「ハシブトガラス」の平均寿命は、約7~8年。
この年数は、野生で暮らすほかの鳥と比べても長い寿命だ。
因みに、鳩が約6年、ツバメ約1年6ヶ月、スズメ約1~3年。
カラスの寿命が長いのは3つの理由がある。
1.優れた知能を持つ
カラスはほかの鳥類と比較して、脳が大きいため賢い。
そのため、危険な目に遭った場所やエサを確保しやすい場所などを簡単に記憶できるため、
事故死や餓死といった死因を回避しやすい。
2.エサに困りにくい
カラスは雑食性の鳥であり木の実や昆虫、さらに動物の肉までなんでも食べる。
ゴミ捨て場をあされば、生ゴミなどのエサをすぐに見つけることができるのだ。
3.天敵がほぼいない
オオタカやトンビはカラスを捕食対象とするが、街ではあまり見ない。
そのため、街のカラスは命を奪われる危険やストレスが少ないため、長く生きやすい。
ところで、「烏(カラス)」という漢字は「鳥(トリ)」の字をもとに作られたため、見た目はそっくりだ。
違いは「鳥(カラス)」という字の四画目にあたる横線一本の存在。
「鳥(トリ)」という字は、鳥の形を描いた象形文字だが、
この一本の線は、鳥の「目」を表しているという。
しかし、カラスの場合は全身が真っ黒で、顔の中の目の部分が見えない。
そこで、「鳥」という字から「目」を意味する一本の横線をとって、
「烏」という漢字ができたそうである。
今や、日本では害鳥扱いされているカラスたち。
かつては、神武天皇が大和の国をめざして熊野に降り立った際、
道案内をしたのが一羽の大きなカラスだった、というのは有名な神話だ。
それが、いわゆる「八咫烏(やたがらす)」。
金色のカラスが太陽の使者であるとされてきた。
いずれにしてもカラスと人間の付き合いは長いのだ。